新人事制度 大阪での報告①~③
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HOWSでの報告は今回が最終回です。酔流亭自身も含めた“反対派”の実践についてふりかえります。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ところで、私たちはこういう状況を変えようと闘ってきたはずなのに、どうしてそれができなかったのかということも考えてみなければいけない。 東京中郵の「慣行休息剥奪」(1984年)の体験から 私自身の身近な体験として、すこし古いですが東京中央郵便局で「慣行休息」が剥奪されたときのことを思い出します。80年代なかばのことです。 それまで中郵には泊まり勤務の時間帯には正規の就業規則を上回る休息時間がありました。慣行休息と呼ばれていました。当時の泊まり勤務は「16勤」と呼ばれていて、拘束が16時間、泊まり一回で二日分の労働です。現在の深夜勤と違って夜中に数時間の仮眠時間がありましたから今と比べればずっとましだったけれど、それでも拘束時間が長いからラクな勤務ではなかった。三交代制で、ほぼ3日にいちど泊まります。それで、そうした過酷な勤務であることを根拠として就業規則を上回る休息時間を闘いの中で勝ちとって来たのでした。全逓が9割を占めていたこと、東京中郵事件の勝利などの力です。いっぽう当局のほうでは、この休息をいつか奪い取って「正常化」したいと虎視眈々と狙っていました。「臨調行革」のムードが高まっていた80年代に入って当局はいよいよそれに乗り出してきます。 ところがそのとき、全逓中郵支部は政党支持問題で揺れていました。発端は社会党への政治カンパとして組合員一人2000円の臨時徴収が機関決定されたことです。83年には統一地方選挙と参議院選挙が両方ありましたから。支部内でほぼ半数の勢力を持つ共産党の人たちがこれに反発した。 特定政党を労働組合が支持して政治資金のカンパまで強要するのは誤りだと私も思います。だから共産党の人たちが反発したのはわかる。しかし共産党の誤りは、組織内に残って粘り強く批判していくのでなく組織分裂にまで走ってしまったことです。いや共産党にすれば「飛び出したのではない。排除されたのだ」と言うでしょう。だが「政党支持は自由だ」という主張(それ自体は当然です)に固執するあまり、かねてから共産党を排除したがっていた右派幹部に排除の絶好の口実を与えてしまった。しかも当局からの「慣行休息剥奪」の攻撃が迫るまさに直前にそれをやったのです。全逓中郵支部の分裂が83年、慣行休息が奪われたのは84年です。 当時の全逓中郵支部は、支部長は社会党系でしたが分会段階での活動家の過半は共産党系が占めていましたから、この人たちが抜けてしまっては団結は大きく損なわれます。組織の建て直しに大わらわで当局との闘いどころではない。いや残った個々の活動家はそれなりに奮闘したけれど慣行休息を守ることはできなかった。これをみて共産党の人たちは「そらみろ、全逓は闘わなかったじゃないか。慣行休息を手渡したじゃないか」と批判します。私に言わせれば話が逆さまです。日和見に走り勝ちな幹部を突き上げて闘いを引っぱっていかなければならない人たちが外に飛び出してしまったのです。これで充分な闘いができるわけがない。 83年は選挙の年でした。社会党が労組の組合員からなりふりかまわずカンパを取ったように、共産党も選挙で競合する相手と職場では腕を組んで闘うより、なりふりかまわず自分の選挙に集中したかった。共産党の議会主義の誤りがもたらした組織分裂です。 共産党以外の左派も反省しなければならないことは多い。旧社会党の左派だった協会派の人たちは、共産党や新左翼に対するときは組合の機関決定を盾にして押さえ込むというようなことをやってきた。思想で勝負する、競争するということをせず「反共民同」の権力に頼った。やがて自分たち自身が排除の対象となるや、そういうやり方をしていた人たちの多くはあっさり転向して本部路線に変わってしまう。思想が内面化されていなかったのでしょう。もちろん変わらずに頑張っている人もいますが。 私たちが新東京郵便局でやってきたことについても述べておかなければならない。全国大会の代議員選挙で反対派として立候補したところで「分裂分子」の札付きになりました。分会の役員からも外される。それをやるのは職場にいる役員ですから、中央本部の幹部よりもこの人たちのほうが憎らしくなる。じつは現場にいる役員だって本部方針に必ずしも納得しているわけではなく、ただどう動いていいかわからないものだから、とりあえず上からの指令どおりに動く他ないのですが。だから、いがみあうのではなく彼らを説得していく働きかけが必要なのだけれど、それを充分やってきたとはとても言えないと思う。 ユニオンで頑張っている活動家、私のように本部を批判しつつJP労組に残っている者、それに「これでいいのか」と自問しつつJP労組で現場の役員をやっている人。いま置かれている立場を超えて繋がっていけるネットワークが必要だと思います。『伝送便』誌などはそのネットワークを作るのに努力してきたし成果を挙げていると思いますが、こういう動きをもっと強くしていきたい。 『伝送便』誌と4・28反処分闘争 『伝送便』は1978年に創刊。去年の秋には創刊30年を祝うレセプションが雨宮処凛さんをゲストに東京で開催されています。創刊当時、何度か編集部に出入りしたことがあります。そのころは全逓内の左派活動家の集まりで、編集会議にも学生運動出身らしき活動家が多かった。そんな雰囲気に、どうも居心地が悪くて遠ざかってしまった。また繋がりができたのは10年ほど前から。そのときには読者は随分増えていたし、誌面も全国の職場をつなぐ情報誌・交流誌として充実してきていた。4・28反処分闘争とともに成長してきたのだと思う。4・28の被免職者を支えようという志を持つ人が全国にいたから『伝送便』がこの人たちを繋ぐ媒体となった。闘いがメディアを育て、メディアが闘いを支えるという、いい関係を作っていると思います。 ところで78年の反マル生越年闘争は、あれだけの戦闘性を発揮できたことを誇りにしてよい闘いだったと思いますが、同時に、その戦闘性が生かされることなく弾圧にさらされて路線転換に利用されてしまった痛苦の経験でもあります。全体状況を見渡して運動に働きかけ支える動きはなく、当時の全逓指導部のやったことはいわば勢いに押されての出たとこ任せであった。そして状況に流されるまま今日では御用労組への転落というところまで行き着いてしまった。先ほどの労働組合の政党支持というような話とはもちろん別のこととして、労働者階級の党と労働組合とのまともな協力関係があったためしがない。旧全逓―現JP労組指導部の腐敗と裏切りに私も強い憤りを持つ者ですが、しかし左に引っぱって行く働きかけが無ければ、組合官僚が迷走をくり返すのは当然といえば当然でもあります。東京中郵の例のように、共産党は逆のことをやっている。これが運動にどれほどマイナスになっているか。『伝送便』のような現場のネットワークを大切にしつつ、それとはまた別の課題としてこのことを考えていかなければいけないと思っています。 (完)
by suiryutei
| 2009-07-12 21:10
| ニュース・評論
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Comments(7)
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convenientF at 2009-07-13 02:27
ご苦労様でした。しっかり保存しましたよ。
先に民営化された専売、電電、国鉄の民営化における労働雇用の問題には既に資料があります。 次に振り返って掘り下げなければならないのは「利用者の便宜」の問題であろうと考えます。 専売、電電、国鉄それぞれに固有の問題はあるわけですが、一般庶民の生活はどうなったのか。 専売のタバコ部門の分離はなんのためだったのか。人間の生理的弱みに付け込んで国庫収入を増やす下心あったのではないか。某大国のように大統領一派の資金源にする理由付けを利用したのではないとしても.... NTTが社会保険庁の年金、郵貯簡保などのコンピューターシステムの開発運用をマル受けすることは社会コストととして容認可能なレベルに治まっているのだろうか。 国鉄の赤字ローカル路線切り捨ては、現代の地方疲弊の元凶ではないのか。 そして普通の郵便システムの民営化も現代の地方疲弊の元凶ではないのか。
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convenientF at 2009-07-13 02:27
「何でも民営化派」、「小泉竹中盲信者」は耳を貸さないでしょうが、社会サービス先進国における特定の公的サービスを民営化するかいなかの判断にこそ、国民に対する愛情が表れます。
本当にありがとうございました。 蕎麦屋ツアーの報告も、もちろん楽しみにしております。
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suiryutei at 2009-07-13 09:50
CFさん、おはようございます。
ブログのいつもの内容とはだいぶ違う連載になったので、読んでくださる方も大変だったと思いますが、温かいお言葉ありがとうございます。 国鉄の赤字ローカル線切捨てが地方疲弊の元凶、同感です。そして民営化当時、国鉄職員の自殺は年200人にものぼったそうですね。利用者にも働く者にも犠牲を強いた民営化でした。
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高麗山
at 2009-07-13 17:48
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理解していたつもりの事柄が、いかにあやふやであったかを思い知らされました。 勉強にならました、ありがとうございました。
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suiryutei at 2009-07-13 22:08
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Fou
at 2009-07-14 01:50
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私も毎日読みました。
資本主義、新自由主義、自由主義、社会民主主義、社会主義、共産主義、etc. 今、私たちの社会はどのような原則(主義)を指針とするのがよいのかを私たち普通の市民が真剣に考えて選択しなければならない歴史的時点にさしかかっているのかも、と改めて考えさせられました。 国立大学の「独立法人化」も教育・研究の「株式会社化」を目標にした政策だったのか?と感じます。 私たちが生きるための社会には競争にまかせて勝ち負けを競わせることに終始してはならない分野があるのだと思うのですが。 増して、人間の能力を単に「対価計算できる」売り物のように扱ってはならないということを私たちの社会のコンセンサスとしなければならないのだと思うのですが。青臭い!と一蹴されてしまうかもね。
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suiryutei at 2009-07-14 22:38
Fouさん、こんばんは。
「儲けるためには法を侵さない限り何をやってもいいという考え方が、実は資本主義の根幹にある。それが社会・経済を悲惨な状況に陥れるという認識は、アダム・スミス以来、経済学の歴史の底流としてあるわけです」(『世界』4月号での宇沢弘文・東大名誉教授の発言)。 その認識が最近は忘れられていたようで、民営化の流れもここから来ていると思います。利潤追求第一でやっていけば全てうまく行くというのが民営化論者の考えですから。 今回の報告は職場での問題にしぼりましたが、民営化が社会に何をもたらすか、これからも考えていきたいと思っています。 読んでくださって、ありがとうございました。
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