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『伝送便』誌今月号に載った記事を転写します。今回はNHKの大河ドラマ『天地人』について。 最終回が放送された先月22日は、酔流亭は泊まり勤務だったからビデオに撮っておいて、つい数日前にそれを視た。直江兼続(妻夫木聡)と妻・お船(常盤貴子)が庭の紅葉を見つめるラストシーンは美しかったですね。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大河ドラマ『天地人』あれこれ 先月放送が終了した今年のNHK大河ドラマ『天地人』を、日曜に深夜勤が入ったときは視損ねたけれど私はけっこう楽しみにしていた。謙信の跡目を継いだ上杉景勝を家老として支えた直江兼続が主人公である。 不満もある。織豊政権の時代が舞台なのに、秀吉の朝鮮侵攻にほとんど触れず素通りしてしまったことだ。もっとも歴史的事実として直江兼続も侵略軍の一将として海峡を渡っているのだから、描きづらくはあったろう。しかし現代の脚本家として、その歴史への批判的視点を提示するべきではなかったか。 いっぽう面白かったのは、我が国における初期絶対主義の形成と流産が、このドラマからは覗えるように思われた点だ。信長、秀吉の「天下統一」は、同じ時期のイギリスのチューダー王朝やフランスのブルボン朝の絶対主義と対比されよう。朝鮮侵攻にしてからが、これを絶対主義段階における重商主義政策の暴力化したものと捉えたのはカナダの外交官で歴史家だったハーバート・ノーマンであった(H・ノーマン『日本における近代国家の成立』)。殖産興業が商品の販路を海外に求めるのだ。 話が前後したが、商品生産の発展は、内にあっては封建諸侯による割拠状態を打破する中央集権権力を要求する。小国家がひしめきあって国境を越すたびに関所で税を取られたのでは商売はやりにくくてしょうがないからだ。かくて、全国的統一市場の形成と歩を揃えて絶対主義権力が成長していく。ところが、我が国にあっては、この絶対主義は完成することなく流産してしまう。朝鮮侵攻の失敗が大きい。『天地人』で小栗旬が演じた石田三成は、豊臣家に忠実な絶対主義官僚という役回り。前記したようにドラマでは素通りしているけれど、侵攻の実務を仕切ったのは彼である。二度の朝鮮侵攻の後ほどなくして秀吉が死ぬと、対外戦争で疲弊した諸侯の不満は三成に集中する。徳川家康は、この諸侯の不満にうまく乗っかることで天下を簒奪するのだ。ドラマの中盤、関ヶ原合戦がもうじきという頃に、松方弘樹の徳川家康が三成に向かってこううそぶいたのはなかなか迫力があった。 「自分の力で領地を切り取ってきた者相手に、どれほどのことができるかやってみよ」 絶対主義は、それが完成するとすれば諸侯とのどれほど激しい闘争を通じてのことであるかを思い知らされる文句である。秀吉というカリスマを失った官僚・三成にそれをやり遂げるだけの力はなかった。 だから、成立した家康の権力=徳川幕藩体制とは、織豊政権の絶対主義的性格をなかばは受け継ぎ、他方、封建諸侯の中央集権への抵抗にも片足をかけた政権である。これは絶対主義と封建割拠との混合体制なのだ。時代がずっと下って、1930年前後の日本資本主義論争が明治維新の性格をめぐっておおいにもめたのも、ここらに由来しよう。前者と後者のどちらを重視するかで、絶対王政を倒した市民革命とも、絶対主義的統一のようやくの完成とも、両様の解釈が可能となる。事実、明治維新とは絶対主義の形成と民主主義革命の進行との二重の過程であり相克であった。 さてNHK大河ドラマの来年の主役は坂本竜馬らしい。織豊時代と明治維新ばかりが繰り返しドラマになるのは、統一国家の形成期とはまた国民が創出される時代でもあるからだろう。ネーション(国民)を超えるピープル(人民)の視点がもっとあっていいのだが。 ※関連する過去ログとして ☆『今年の大河ドラマ「天地人」』(09年10月15日)
by suiryutei
| 2009-12-02 08:18
| 映画・TV
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Comments(5)
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匿名
at 2009-12-03 07:25
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あの~、兼続は朝鮮の役では家臣に対して、略奪禁止令を出してますよ。そして上杉家の任務は築城でした。
すいません、気になったので。 でも天地人の脚本や演出が悪いから分からなくなるのですよね。 せっかくの大河なのに残念でした。 失礼しました
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歴史を「何かしらの事物が時間的に変遷したありさま、あるいはそれに関す文書や記録のことを言う」と定義すれば、それは当然事実に基づいたいたものでなければなりません。小説(ドラマ)を「作り話」と定義すると、厳密にいえば「歴史小説」という言い方は成り立たないはずです。と、難しいことを言わなければ、事実と事実の間隙を「作り話(創作)で繕った物語」と考えれば気になりません。が、「講釈師見てきたような嘘を言い」と解釈すると、やっぱり釈然としないジャンルです。
追記)御当地ネタです。ドラマでは春日山と海がえらく近いように描かれていますが、あんなに近くない」というのが市会で話題になり「誤解を招くからNHKに訂正してもらおう」との意見も出ました。
ごく近くに住む者としてもうひとつ。兼続が景勝軍の不利な戦況を立て直すために桑取の地に援軍を求めて山越えし、応じた桑取軍が大八車(?)で米を運びこんだシーン。舗装してあるのならともかく、あのコースなら凸凹のけもの道程度の道、担いで運んだ方がずっと楽だったと思います。 。時代考証以前の話ですね。けっこうご都合主義でドラマを作っているようです。
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suiryutei at 2009-12-04 21:29
匿名さん、ああ、そうでしたか。ご教示ありがとうございます。
たしか司馬遼太郎さんの小説『関ヶ原』だったかな。兼続は朝鮮からもっぱら書物ばかり持ち帰ったというようなことを書いてあったように思うのですが。このあたり記憶が正確でなくてごめんなさい。 しかし、他の諸将と比べて、ひどいことはしていないのですね。
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suiryutei at 2009-12-04 21:36
umeさん、こんばんは。
今回の大河、直江兼続と真田幸村の連携で千姫を救ったとか、いくら娯楽ドラマといってもちょっと話を作りすぎている・・・。 ところで私、一昨日、旅の途中に直江津に途中下車したのです! このことをumeさんに報告したいと思っていたら、留守中にコメントをいただいていました。 ちょうどお昼だったので、駅の近くのお店で五目釜飯を食べ(釜飯が炊き上がるまでお酒一本)、洒落た喫茶店をみつけてコーヒーを飲み、午後2時過ぎの鈍行で富山県の泊海岸に向かいました。
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