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季刊『社会評論』2010冬号に掲載された文章です。すこし長いので、3回に分けて連載します。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 迷走つづく鳩山政権内にあって、わけても暴走気味といおうか存在感充分なのが亀井静香 金融・郵政改革担当大臣。 雑誌『文藝春秋』09年12月号の特集『新聞が書かない鳩山政権の深層』に、『私が「郵政民営化」をぶっ壊す』と題する亀井大臣のインタビュー記事が載っている(聞き手はニュース・キャスターの後藤謙次氏)。彼のスタンスがいくらかは覗えるようである。 土建ケインズ主義 冒頭、「鳩山内閣の中でも亀井さんの存在感は突出しています。・・・金融・郵政改革担当大臣という立場を超えた発言もしている」と振られて、 「私は連立与党の基本政策閣僚委員会のメンバーですから、ある意味では国連常任理事国みたいな立場におるもので、外交・防衛を含めて国政全般に責任を負っていると思っています。・・・・私はべつにケインジアンでも何でもないけれど、民間が弱い時には政府が助けなきゃいかんわけです。福祉も内需を生むかもしれないけれど、景気刺激効果が高いのはやっぱり公共事業。公共事業は全部悪だと決めつけるのはおかしい」。 本人がケインジアンという言葉を出したから言えば、これはいわば土建ケインズ主義であろうか。公共事業とは、国、自治体、公社、公団などが予算や財政投融資または自己調達資金を使って行う事業のこと。新幹線や大規模ダムが典型だろう。すこし古い文献だが朝日新聞の故・石川真澄記者が雑誌『世界』1983年8月号に発表した『「土建国家」ニッポン』という論考によれば、1980年度の日本の行政投資の総額は27兆8765億円で、これはその年の国民総生産239兆1548億円の約11・7%を占める。「GNPの10%以上も公共事業につぎこんでいる国は、少なくとも主要先進国にはないだろうと思われる。日本の2・5倍、世界最大のGNPを持つアメリカの公共投資はほぼ3%と推定されているので、かなり多めに見積もっても実額で1千億ドルを超えない。ところが日本の公共投資はドルに換算すると千2百億ドル以上になる(いずれも1980年)。この数字は日本が世界最大の公共投資国であることを意味しているはずである」「日本が世界最大の公共投資国であるということは、とりもなおさず日本は『土建国家』と呼べることを意味している」。 この数字(公共投資の比率の高さ)に示される構造が、同時にこれまで自民党の集票を支えてきた。公共事業を「とってくる」ことで自民党の政治家は土建業を中心とする関連企業から汚い金も含めて選挙資金を調達し、それら関連企業の社員たちを選挙の運動員とすることもできた。4年前、郵政民営化に反対して自民党を追われた亀井大臣も、こうして自分の地盤を固めてきた保守政治家であることを、まず確認しておきたい。その地盤は、前回総選挙でホリエモンという”刺客“を当時の小泉政権から送り込まれながらも、それをしのいで議席を守りきったほど強固なものである。 しかし、この数字は否定的な意味だけを持っていたわけでもないだろう。日本より公共投資の比率がはるかに低いアメリカは、では国家予算を何に食われていたかといえば、膨大な額が軍事費に投じられてきた。土建であれ軍事であれ、無駄であろうとなかろうと人為的に需要を創り出して拡大再生産に走り、そうやって資本主義経済をもたせてきたという構造に変わりはない。土建国家ということは、軍事国家ではないことの証しでもある。年がら年中、土木工事をやって国土を荒らすのも問題だが、戦争で人を殺すよりはましとも言えよう。 公共投資にまわる金の少なからぬ部分が郵便貯金や簡易保険を通じて全国からかき集められ、そしてこれが民営化論者による郵貯潰しの口実になったわけだが、郵便の貯金や保険が明治時代に創設されたときの元々の狙いは、それを通じての戦費調達であった。ところが戦後は、私たちの汗としての郵便貯金が戦費にまわされることは憲法9条によって封じられた。いっぽう、福祉や医療、教育など真に生活に必要なものに予算を充分にまわさせるほどには私たちは強い運動を組むことができずにきた。そうした戦後日本のありようが土建国家であり、亀井大臣はそれを体現した政治家ということができる。「福祉も内需を生むかもしれないけれど、景気刺激効果が高いのはやっぱり・・・」という、福祉には冷淡な冒頭発言になるわけである。 (つづく)
by suiryutei
| 2010-01-10 22:18
| ニュース・評論
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