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泊まり勤務から帰宅して、朝食を摂りながら朝刊を開くと、「同盟も、9条も」という言葉が目に飛び込んできた。今朝の朝日新聞『社説』である(『「同盟も、9条も」の効用』)。50年前のきょう、岸信介首相とアイゼンハワー大統領との間で、米ホワイトハウスにおいて現在の日米安保条約への署名が行われたのだ。 で、社説のタイトルにも明らかなように、朝日新聞は日米安保も憲法9条もともに評価する。「日本が基地を提供し、自衛隊と米軍が役割を分担して日本の防衛にあたる。憲法9条の下、日本の防衛力は抑制的なものにとどめ、日本が海外で武力行使することはない」。 「日本が海外で武力行使すること」に憲法9条が歯止めをかけてきたのは、そのとおりだろう。しかし、日本が提供する軍事基地から出撃した米軍が「海外で武力行使する」のはかまわないですましていいのだろうか? 日米の軍事協力が際限なく深まることに9条は歯止めをかけてきたけれども、同時に日米安保は9条の平和主義を空洞化・欺瞞化させてもきたのだ。そのことに目をつぶってはいけないと思う。 さて、ほんらいなら、これから酔流亭の思うところを述べなくてはいけないのだが、今日は昼間、寝そびれてしまった。夜また出勤である。これ以上パソコンの前に座るのがつらい。同じ問題を論じた三年前の旧ブログを以下に転写することで勘弁を。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 朝日新聞「憲法記念日」社説について (『酔流亭日乗』2007年5月27日) すこし前のことになるが、今月13日に奥多摩の三頭山に登ったとき、登山口に着くまでの電車の中で読むものが見当たらなくて困ってしまった。文庫本の読みかけはちょうど切れていたし、山登りをするのであるから、かさばる大きな本は持って行きたくない。どうしようかと思案したら、3日発行の朝日新聞朝刊に載った『社説特集』をまだちゃんと読んでいなかったことに思い当たった。なにしろ21本の社説を一挙に掲載してあるので(紙面8ページ分ある)、いつか読もうとそこだけ抜き取っておいたのだ。これなら薄いし軽いから荷物にならない。 東京駅から乗った中央線の車中で読む。読んでいくうちに、ちょっと舌打ちしたいような気分になった。憲法9条、平和ブランドを捨てる必要は無いと説く(これには賛成)一方で、日米安保を使いこなす、なんてことも主張するのである。まったく朝日新聞というのは、優等生ぶりっ子というか、「いい子」でいたいんだなと思った。 なるほど事実として日米安保も憲法9条もこの日本国に同居している。しかし、それはお互いに相手の存在を認め合って仲良く共棲して今日に至ったというものではない。日米軍事協力の強化を望む声一辺倒ではなかったから、軍事を拒む9条は守られてきたのだし、いっぽう非軍事の世論も力及ばずして日米安保の強化を止められなかったのである。この両者のあいだの葛藤、緊張関係を見ずして「憲法9条と日米安保、自衛隊の組み合わせによる成功戦略」(社説No.14)と言い切ってしまうのは、いささか安易ではなかろうか。 アメリカの核の傘にいながら、9条がアメリカからする軍備増強の要求を拒む盾となったことが軽武装・通商国家としての繁栄をもたらしたというのは、事実としてそうであろう。しかし、その繁栄とは、軍事的負担は沖縄に負わせ、冷戦下の緊張は朝鮮半島に引き受けさせて、日本列島だけがいわば「うまくやって」得られた繁栄でもある。そのことに思いを致すなら、日米安保と9条の「組み合わせ」とは、胸を張って誇っていいことばかりではあるまい。 もちろん高度成長が始まる年(1955年)に生まれた酔流亭も、その繁栄の恩恵をたっぷり受けて育った世代である。偉そうなことは言えぬ。しかし、これからも9条と軍事同盟の「いいとこどり」でやっていけるかといえば、とてもそうはいくまいと思うのである。 と言えば、「日米同盟が嫌なら、日本が独自で軍備を強化する他ないでしょう。それこそ9条どころではありますまい」と反論されそうである。しかし、これは冷戦と軍拡がこれからもアジアで続くという固定観念に囚われた発想だと思う。 アメリカの軍事力は世界で傑出している。中国の軍拡が憂慮されるといっても、日本列島各地の在日米軍基地に配備されたミサイルと比べれば中国のそれなどまだ精度において比ではない。まして北朝鮮のテポドンごときは。 中国や北朝鮮の人々と列島に住むわれわれと、彼我どちらが“軍事的脅威”を感じているかといえば、冷静に考えてみればやはり向こうのほうだ。日米安保条約の“極東条項”はアジアに向けられた牙である。この牙を、今すぐには抜けなくとも、時間がかかってもより小さなものにしていかなければならない。中国の軍拡を危惧するのであれば、こちらがまず軍縮の実を示すことによって彼の国が軍拡に走る根拠を失わしめればよい。 「こちらが備えを弛めたら北朝鮮は何をやるかわからないじゃないか」と言う人があろう。なるほどあの独裁体制は無茶苦茶である。ところで、あの異常な独裁は何ゆえ存続してきたか。「自分たちは四囲を敵に囲まれている」という恐怖感を人々に煽ることによって生き延びてきたのだ。国を取り囲んでいるのは憎悪ばかりではないと人々が気づいたとき、独裁は綻(ほころ)んでいく他ないのである。北朝鮮の内情を我々よりはるかに知っている韓国が「太陽政策」をゆるがせないのは、もっともなことだと思われる。 全てを真似する必要は無いが、ドイツの例が一応の参考にはなろう。 この国では、1989年には25万人が駐留していた米軍兵力を今日では7万人にまで削減した。93年には基地の地位協定の見直しも行われている。そして削減された米軍兵力に見合うだけの軍拡をドイツが独自で行ったという話は聞かないのである。緊張緩和が進む中で、同盟国内部のやりくりだけでなく、軍事力そのものが漸時的であれヨーロッパから減らされていく方向にあるのだ。 この間(1989年~現在)に、ベルリンの壁崩壊→仮想敵としてのワルシャワ条約機構解体という劇的な変化があったからだが、同時に忘れてならないのは全欧安保協力機構の存在だ。同じ「安保」という訳語を使っていても安保条約のような軍事同盟とは別物である。まだ東側に社会主義国が存在していた70年代頃から、体制のことなる国が同じテーブルについて信頼を醸成する処置を積み上げ、政治的な緊張緩和から軍事的な緩和(軍縮)への道を切り拓いて行った。 当初は社会主義国の側のほうがこれに積極的だったのに、緊張が緩和していくにしたがって、民主主義の点では問題の多かった社会主義国の内部で市民革命が起き、体制が変わってしまったのは皮肉だけれど、平和な国際環境は民主主義に息を吹き込むという好例であろう(西側のタカ派と言われる人たちは全欧安保を東のプロパガンダだと言って否定的であった。今日「太陽政策」を支持する人のことをまるで北朝鮮の手先呼ばわりするのと似ていよう)。 もとより、ヨーロッパにも軍事同盟としてのNATOがまだ存在するし、数年前にはユーゴ空爆なんかもやっている。ヨーロッパ流で全て結構ということにはならない。しかし、全欧安保のさらなる進展は、軍事同盟の必要性そのものをいずれ俎上に載せることになろう。「仮想敵がいないのに、何のための軍事同盟?」と。「力の論理」が捨て去られたわけではないから、絶対平和主義の勝利とはただちにはなるまいが、少なくとも軍縮を求めていくのに有利な環境はもたらされる。 9条と日米安保の関係もこれに同じ。 9条を活用しつつアジアに緊張緩和を導き入れることによって、軍事同盟としての日米安保はその存在理由を問われることになろう。9条と日米安保は、一方が他方を食い破れるかどうかという関係なのであって、調和のとれた「組み合わせ」なのではない。 このブログ始まって以来、最長の日記になってしまったようである。そろそろ論を結ぶ。 日米安保によりかかるのではなく、憲法9条を武器として軍事同盟の内実を蚕食していく闘いを起こそう。ヨーロッパとアジア、地理的歴史的差異があるとしても、全欧安保協力機構のような構想がアジアでも有効だと思う。姜尚中氏などがかねてから提唱しているように、北朝鮮問題を巡る「六ヶ国協議」(日・米・中・露・韓・北)は、その礎石となる可能性がある。 なお朝日新聞について言えば、上述したような不満を酔流亭は持つものだが、社説で9条堅持を明言したことは評価されてよいと思う。おおいに議論しつつ、9条を守ろうとする人々とひろく手を携えていきたいものである。
by suiryutei
| 2010-01-19 15:30
| ニュース・評論
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Comments(6)
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ame
at 2010-01-20 06:03
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>中国の軍拡を危惧するのであれば、こちらがまず軍縮の実を示すことによって彼の国が軍拡に走る根拠を失わしめればよい
日本は8年連続軍縮中ですが、中国は日本の軍縮なんか関係なく大軍拡しています よって「軍縮の実を示すことによって彼の国が軍拡に走る根拠を失わしめればよい」は全く無意味という事がすでに証明されています >在日米軍基地に配備されたミサイルと比べれば中国のそれなどまだ精度において比ではない。まして北朝鮮のテポドンごときは。 軍事費10兆円を超えて世界第二位の軍事大国になった中国と、小国の北朝鮮の脅威を同列に語るのは無謀すぎます 対中国の場合、20年前であれば通常兵力で日本が上回っていましたが、最近ではその優位も無くなりつつあります ミサイルの精度も先進国とそれ程差があるとは思えませんし、台湾向けの弾道ミサイルも精度を上げています それと北朝鮮のミサイルは核弾頭搭載ですので命中精度なんて関係ありません
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ame
at 2010-01-20 06:04
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>そして削減された米軍兵力に見合うだけの軍拡をドイツが独自で行ったという話は聞かないのである。緊張緩和が進む中で、同盟国内部のやりくりだけでなく、軍事力そのものが漸時的であれヨーロッパから減らされていく方向にあるのだ。
ドイツは米国を助けるためにEU軍の一員としてアフガンに4500名もの部隊を派遣しています またEU全体が「軍事費を削減している」なんてニュースは聞いた事ありません >「仮想敵がいないのに、何のための軍事同盟?」と EUは今でもロシアを仮想敵国にしています ロシアもEUの拡大に非常に神経を尖らせています そもそも仮想敵国とは必ずしも「敵国」を意味しません 同盟国をも仮想敵国に想定して準備することもあります
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suiryutei at 2010-01-20 17:38
ameさん、初めまして。ようこそ。拙ブログに目を留めてくださって、ありがとうございます。しかし、貴方のご意見に同意することはできません。
2009年度の日本の防衛予算は4兆7741億円で、前年より0.1%の減です。また過去10年間では1.7%の減となっています。憲法9条がまだいくらかは歯止めになっているのでしょう、日本が近年、急速に軍拡を行ってきたとは言えないと私も思います。 しかし、前年比0.1%減という数字は「相手国が軍拡に走る根拠を失わしめる」と胸をはれるほど「軍縮の実を示した」と言えるものでしょうか。ameさんの議論には、ちょっと飛躍があると思います。中国の軍拡は私も憂慮しますが、世界で群を抜く軍事強国アメリカと固く同盟し軍拡とはいえぬまでも近代的装備を整備してきた隣国の存在(もちろん日本のことです)が、中国の人びとの意識に全くのぼっていないとお考えなら、他者への想像力をあまりに欠いてはいませんか。 それから日米安保強化を唱える人たちが「中国と北朝鮮の脅威」をよく口にするので、それに賛成しない私としてはこの両国に言及せざるをえないわけで私のほうから両国を同列に語ったわけではありません。
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suiryutei at 2010-01-20 20:39
字数の関係で分けて書きます(コメントは500字までなので)。
私は「軍事力がヨーロッパから」減らされていく方向と書いたので、EUが軍事費を削減していると言った覚えはありません。EUを美化する気もありません。くり返しになりますが、在独の米軍事力が1989年の25万人から現在の7万人になったことはヨーロッパからの軍事力の削減になりはしないでしょうか。 そして「仮想敵がいないのに、何のための軍事同盟?」という問いかけは、緊張緩和と軍縮が進めば、そういう問いかけが出てくるだろうし、そのようにもっていかなくては、という話です。ヨーロッパにおいても現在がそうだとは言っておりません。ブログ本文をもう一度お読みくださればうれしいです。
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風屋
at 2010-01-21 10:07
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酔流亭さんのご意見に全面的に同意です。
というか、 同盟国まで仮想敵国と想定して準備するなんてのは 軍事費(防衛費)を使うため(軍需産業振興のため)の 詭弁にしか見えないのはワタシだけでしょうか(^^; オバマはじめ、世界中ができるだけ争いごとをなくそうと 彼のシリアやイランでさえ動き始めているこの時代、 対立してもいない国を わざわざ仮想敵国にするなんて意味ないし(^^;
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suiryutei at 2010-01-21 10:18
風屋さん、こんにちは。岩手は寒いでしょうね。
ダムや空港が、本当に必要というより景気対策(建設工事の需要をつくる)のためにたくさん作られてきたように、軍事的脅威というのも不況脱出やら軍需産業を儲けさせるためにつくりだされたという面がありますよね。 ニュー・ディールのあと世界大戦で不況を脱した歴史に要注意だと思います。
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