新人事制度 大阪での報告①~③
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久しぶりに新刊書を買った。寺島実郎著『脳力のレッスン』(岩波書店)。 昨日、出勤途中に買おうとして、まず上野駅構内のかなり大きい本屋で捜したのだけれど、見当たらない。店員に訊くと「専門的な本ですので置いていません」と言う。けっして専門書ではなく、書名でもわかるように一般向けに書かれたものだ。著者の寺島氏はTVにもよく登場するし、本の内容は現在の状況への発言である。前日の新聞に大きく広告も出た。しかし岩波書店というだけで難しいと思い込んでしまうのだろうか。 東京駅で下りて八重洲のブックセンターに行ったら、すぐ見つかった。それにしても岩波の営業担当はすこし考えたほうがよいのではないか。 さて、この本は雑誌『世界』に連載されている同題のコラムをまとめたものだ。酔流亭は『世界』の購読者ではないので、たまに地元の図書館で流し読みをしながら「早く単行本にならないかな」と待ちわびていた(このあたり、酔流亭もいわゆる「岩波文化」を敬遠する気持ちが働くのかもしれない。『世界』の執筆者は大学の先生が多いが、名前の下にいちいち○○大学と書き込まれているのは何の意味があるのかね)。 横道にそれた。 寺島氏は、酔流亭が現在その発言をもっとも傾聴する論者である。イラク戦争へと突き進んでいったアメリカの動き、日本国内の流れ、そして世界の動向に対する鋭く誠実な論考を積み重ねてこられた。その発言の全てに酔流亭は賛成するわけではない。寺島氏は大企業のトップに近いところで国際ビジネスの最前線に身を置いてきたビジネスマンでもある。酔流亭はといえば、二十歳で大学を中途退学して労働現場の一員となって以来、企業人として自己実現を果たすというような生き方からはなるべく遠いところにいたつもりだ。物事の感じ方・受け止め方に微妙に違いが出てくるのは当然だろう。 「小さな花」と題する稿の中で寺島氏が「私自身を率直に見つめてみて、自分が常に『小さな花』の側に立ちうるかについては自信がない。組織人として生きてきた私は、組織秩序を守ることの価値も共有しているし、体制を維持する側の論理に立って発言しなければならない立場にも立ってきた」と述べているのは正直な感慨だと思う。そのうえで酔流亭はそれに続くつぎの文章に深く共感し完全に同意する。 「・・色々な立場はあっても、自分の持ち場において美しいものへの感性と不条理を拒否する正気だけは持ち湛えなければならないと思う。時代の空気が安易に流れることを誘惑する状況下で、ぎりぎりの知的緊張の中で思索を深め、行動したいと思う。たとえ、政治行動の前面に立たなくとも、それぞれの持ち場で時代をしっかりと見つめ、民主的手続きの中で正当な意思を表示し続ける名もなき民の存在こそが世界を支えるのである」(本書257ページ)。
by suiryutei
| 2004-12-10 10:08
| 文学・書評
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Comments(2)
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