新人事制度 大阪での報告①~③
最新の記事
タグ
労働(124)
辺野古(46) 郵便局(43) 文学(31) コロナウイルス(31) 韓国(19) 朝鮮半島(12) 映画(11) NHK朝ドラ(10) ひよっこ(9) 大西巨人(9) なつぞら(8) 神田まつや(8) 労働者文学(8) 神聖喜劇(7) 関西生コン労組(6) 狭山事件(6) ブレイディみかこ(6) ケン・ローチ(6) 蕪水亭(6) 最新のコメント
記事ランキング
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... ブログジャンル
画像一覧
検索
|
大好きなケン・ローチ監督の新作映画『天使の分け前』を観てきた。 時代は現代、舞台はスコットランドである。この地の酒といえば、やはりスコッチ・ウィスキーですねえ。 それ以上に絶望的なのは、親の代から憎み合っている喧嘩相手にしつこく付きまとわれていること。街で顔を合わせれば殴り合いになる。ヤクザな生活を送ってきたロビーが更生しようとしても、この“宿敵”がそれを許さないだろう。 ところが、そんなロビーはいくつもの幸運に恵まれるのである。 まず、彼の子を産んだ娘は、ロビーが傷害事件を起こして服役したこともある凶状持ちなのに彼への愛を捨てない。 つぎに、前科者に義務付けられた「社会奉仕活動」(映画では公共の建物にペンキ塗りなんかやっていた)の監督官ハリーが包容力ある人物で彼の下の若者たちに親身である。 そしてもうひとつの幸運は、ロビーにはウィスキーのテイスティングに天賦の才能があること。前記ハリーがウィスキー好きで、彼がその才を見出すのだ。 この才能を足がかりに、ロビーが「奉仕活動」で知り合った仲間たちと不遇からの脱出を賭けるのが映画の後半。詳しくはこちらを見てね。 http://tenshi-wakemae.jp/ 普通はロビーのような境遇の若者にこんな幸運が重なりはしない。だから、これは現代の「おとぎ話」である。けれども、この御伽話から、イギリスのそして我が国もそうだが今日の世界の若者が置かれている状況がリアルに浮かび上がってくる。搾取がとことん進んだ状況である。登場する若者たちは失業者だ。ということは、搾取が進めば挙句はその搾取もできなくなるのである。それは労働から搾り取ることなのだから。 その一方に、持ちきれぬほどの富の使い道を知らぬ極少数の富者がいる。映画の後半、“幻のウイスキー”一本にべらぼうな金を惜しまない億万長者たち。 ロビーらが“一発逆転”に投企する話の道筋は、いつものケン・ローチらしくないとちらりと思わぬこともない。それは状況の変革に向かうのではなく個人としての脱出だから。しかし、老ケン・ローチは、今回はこういう形で自分の孫世代の若者たちを励まそうとしたのだろう。観終った気分は爽快であった。 もうひとつ嬉しいこと。ローチさんはもしかしたら酒好きなのではないか。ハリーが若者たちを見学に連れて行った郊外の造り酒屋(もちろんウイスキーのです)で、蒸留過程を説明するふっくらした女性従業員の、いかにも私はこの仕事が好きなんですという表情をご覧なさい。清酒とウイスキーの違いはあれ、酔流亭まで嬉しくなった。 ※過去のローチ作品について書いた感想の過去ログです。 ☆『映画「麦の穂をゆらす風」(ケン・ローチ監督)を観る』(06年11月25日) ☆『民営化された戦争で ~映画「ルート・アイリッシュ」』(12年4月10日)
by suiryutei
| 2013-04-26 09:34
| 映画・TV
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||