新人事制度 大阪での報告①~③
最新の記事
タグ
労働(124)
辺野古(46) 郵便局(43) 文学(31) コロナウイルス(31) 韓国(19) 朝鮮半島(12) 映画(11) NHK朝ドラ(10) ひよっこ(9) 大西巨人(9) なつぞら(8) 神田まつや(8) 労働者文学(8) 神聖喜劇(7) 関西生コン労組(6) 狭山事件(6) ブレイディみかこ(6) ケン・ローチ(6) 蕪水亭(6) 最新のコメント
記事ランキング
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... ブログジャンル
画像一覧
検索
|
連休のとき大阪でJPネットの総会に参加した帰りの小旅行のことです。なおその総会の日付を原文では4月29日と記してしまったが、これは酔流亭の間違いで、正しくは28日であった。 JPネット大阪の総会(四月二十八日)に参加させてもらった帰途、名古屋で新幹線から高山本線に乗り換えた。池田実さんと一緒である。四・二八反処分闘争および本誌を引っぱり、今年退職した池田さんを慰労したいと思った。それには美味い酒と料理。高山よりちょっと先の飛騨古川という小さな町なら、もってこいだ。絹が日本の輸出品の主力だった明治大正の頃、飛騨から野麦峠を越えて岡谷の製紙工場に働きに出た糸ひき工女たちは正月の短い帰郷の折には雪の峠越えのあと古川で荷を解き、迎えに来た家族と一夜を過ごすこともあった。この町の人たちが人をもてなすに情が篤いのはそんな歴史もあずかっているのかもしれぬ。それに町の真ん中には二軒の造り酒屋が軒を向い合せ、そのうちの酒蔵の一つには故・武満徹のレリーフが嵌め込まれていて、こう語っているのである。 酒は自然が人間に示す友愛の徴だ 随って何よりも先ず謙虚に接しなければならない その飛騨の地酒を、宿の美しい女将に注いでもらいながらたっぷり酌み交わす。前記武満徹がよく足を運んだように古川は音楽と縁の深い町。じつは池田さんも音楽にはなかなか造詣が深くて、本人はあまり言いたがらないけれどもチェロを奏す。 翌朝の食膳には飛騨名物の朴葉味噌が出た。炭火の上に朴の葉を載せ、ぶつ切りに刻んだ葱を混ぜた味噌を焼く。これが酒に合うのね。二人で徳利を六本空けた。前夜の酒は一升を超えている。自分のことは棚に上げて言うのだが、池田さんがこんな大酒呑みとは知らなかった。 帰路は高山本線で富山に抜けた。あとは北陸本線などで越後湯沢まで行き、上越新幹線に乗り換えれば夕方には東京に戻る・・・筈であった。ところが富山駅で間違える。反対方向に向かう特急に乗ってしまった。駅のアナウンスに「特急はくたか号は・・番線」とあったから、切符を見て「そうだ、<はくたか>だ。この列車だ」。 ところが、当たり前のことだけれど、「はくたか号」には上りもあれば下りもある。そこに思い至らなかったとは何という失策。 先に気づいたのは池田さんだ。 「右手に北アルプスの山が見える筈なのになあ」 気がついても、なにしろ特急列車であるから走り始めれば停車駅が少ない。われらを載せた特急「はくたか」は北陸の首都・金沢まで行ってしまった。 戻りの特急が出るまで小一時間。これはやはり飲んで時間をつぶすしかない。うまい具合に、金沢駅には地下に「百番街」という商店街があって北陸の特産物、菓子やら海産物やら酒を売る店が並ぶ。そこに昼から飲める店があった。しかも店内は北陸の地酒銘柄が書かれた札が壁にずらり貼られているではないか。黒龍・菊姫・三笑楽・・・・。それも東京では考えられないような安い値段。これは列車を乗り間違えたおかげで宝の山に迷い込んだか。 私は「梵 ときしらず」をたのんだ。池田さんは、さて一杯目は何を飲んでいたかな。彼がお代わりにもらったのが「遊穂」で、これは私も半分わけてもらった。すっきりと、いい酒である。 「オレの座右の言葉は『災い転じて福と為す』なんだ」 旅程を組んだ私のしくじりを慰めて池田さんはそう言ってくれたのだが、これまでの彼の人生はたしかにそう。心に残る旅になった。
by suiryutei
| 2013-06-03 20:02
| 旅行
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||