新人事制度 大阪での報告①~③
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東京に桜の「開花宣言」が出たのは25日である。その日、酔流亭の勤務は休みだぅたが、夜、『伝送便』誌来月号の初校があった。 午後になって家を出る。まず神田駅前で床屋にかかった。その床屋から、やはり神田にある『伝送便』事務所まで歩いて10数分。ほとんど途中と言っていいあたりに蕎麦の[まつや]がある。校正作業の前に腹ごしらえしていくことにした。下の写真は[まつや]の前の桜です。ソメイヨシノよりもうすこし早く咲く種類のもののようで、すでにかなり咲いている。 顔なじみの花番さん(蕎麦屋ではお運びの女性をこう呼ぶ)が店に入っていくのを見かけた(写真に写っている通行人は違います)。夕刻からの繁忙の時間を前にした休息時間を終え店に戻るところだったのだろう。声をかけるにはちょっと距離がある。もうすこし早足で歩いてくればよかった。 ともあれ、桜の咲く下で楚々とした彼女は一幅の画のようであった。今年も春が来たのだと思った。 翌日の26日は昼の勤務。帰りにまた[まつや]に寄った。なにしろ前日は校正作業の前だったから酒を飲んでいない。蕎麦屋で酒を飲まなければ大事なことをやり残した気分である。 この店で一人で飲むときは入口近くのすみっこに座ることが多い。独り酒にはその場所がふさわしい気がする。ところが、その夜は奥のほうに席が空いていて、花番さんがそこに招じ入れてくれた。奥から店の入り口のほうを眺める格好になったから、窓ガラスを通して外の桜が見える。早くも花見酒ができるとは望外のことであった。 じき、男女二人連れの客が同じ卓の向かいに座った。男性は60がらみ。女性はその半分くらいの年齢だろうか。ビールを注文した。井伏鱒二の短編『晩春の旅』を思い出した。 井伏が九州旅行に出たときのことである。戦後だが、まだ新幹線は通ってなく、東京から博多まで急行で24時間かかった。食堂車に行くと男女二人連れと相席になる。その男女は、いま酔流亭の向かいにいる二人と同じくらいの年恰好。 車窓から煤煙らしきものが入って目を痛そうにしている井伏を、その相席の客の女のほうが食堂車の洗面所に連れて行って目の掃除をしてくれる。井伏は男とビールを酌み交わす。別れるとき男は 「じゃあ失礼しまさあ。しかしですな。私ら二人の人事関係のことだけは、考えないことにしてつかわされ」 酔流亭の前にいた二人は蕎麦を食べ終えると男性のほうが店の人に 「丸ノ内線に水道橋という駅はある?」 と尋ねた。 「今から後楽園にボクシングを観に行くんだ」 余計なことのようだが、酔流亭はつい 「丸ノ内線に水道橋という駅はありませんが、後楽園のところは通りますよ」 店の人も 「後楽園駅があります」 二人が席を立つとき女性は会釈していった。案外礼儀正しい。その夜、後楽園ホールでボクシングの世界タイトルマッチがあり、日本人選手がKO勝ちしたことを翌朝の新聞で知った。 酔流亭は焼き鳥を肴にビールの小瓶に燗酒二合。蕎麦は胡麻を摺ったつゆにつけて食べた。 それから『伝送便」来月号は31日に完成→発送の予定だから、桜が満開のころ読者にお届けできると思う。
by suiryutei
| 2014-03-28 09:30
| 身辺雑記・自然
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