新人事制度 大阪での報告①~③
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日経連「経営労働政策委員会報告」の繰り言 ちょっと寄り道をすると、日経連が毎年出している「経営労働政策委員会報告」というのは春闘に対する経営側の指針ですが、その2014年版にこう述べられていました。 非正規労働者全体の人数や割合が増加していることを捉えて問題であると論じられることも多いが、非正規で働く人々の年齢や雇用形態の構成、増加の要因などを十分踏まえておく必要がある。非正規労働者数の内訳をみると、全体の45%が女性のパートタイム労働者であり、そのうち約70%が「世帯主の配偶者」である。このように、家計補助的な主婦パートが、非正規労働者全体の約30%を占めていると考えられる 家計補助的なパートだって相当数いるのだから非正規雇用が拡がること自体を問題視するにはあたらない、と言いたいようです。しかし別表は雇用構造の変化を1987年と20年後の2007年で比較したものです。正規雇用が減ったぶん増えた非正規雇用というのはほとんどそっくり常用非正規です。すなわち家計補助ではなくこれで生計を立てている人たちなのです。だからこそ低賃金かつ(短期の)契約期間が満了すれば雇止めされるかもわからない非正規雇用の増大が問題なのだ。この報告の執筆者はいったい何を見ているのでしょうか。それに家計補助的ならば時給1000円にも届かない低賃金でもいいのでしょうか(最低賃金の全国最高は東京都で現在869円)。家計補助的パートタイマーといえば経労委報告が引き合いに出す主婦とともに学生がイメージされますが、最新の調査では家賃を別にして学生が使える金額の平均はいま一日1000円を切っているそうです。1990年前後のピーク時には2000円をはるかに超えていたのに。育ちざかりの世代が一杯の牛丼がご馳走なのです。 「あるべき姿」から見えてくるもの 郵政に話を戻して、つぎは現状(2013年4月)と会社が提示した「あるべき姿」との対比です。ここでも13年の非正規(時給制+月給制)の数は前記したように(?)ですが、ともあれ正規も非正規も全体として縮んでいく中でも地域基幹職の主任・一般の削られ方が激しく、「あるべき姿」が実現した暁には両コース合わせると5万人近い減です。一方、正規の中の新一般職は合わせて6万人近くに増える。 さらに4月25日、会社は「あるべき姿」を更新して提示してきました。これまでの「あるべき姿」は2010年5月の物数調査に基づいて算出したものですが、今度のは2013年5月の物数調査によるもので、郵便事業では地域基幹職(+再雇用)は58.300人で変わらず、新一般職と時給制はどちらも少し増えて41.100人と75.700人になっています。全体では175.100人です。 この更新版を私は郵便事業コースしか見ていないので、ここに絞って改めて図示すると、こうなります。 <郵便事業コース2010年物調に基づく「あるべき姿」> 地域基幹職(管理者と再雇用を含む) 58.300人 新一般職 39.500人 非正規雇用(時給制) 61.700人 <郵便事業コース2013年物調に基づく新「あるべき姿」> 地域基幹職(管理者と再雇用を含む) 58.300人 新一般職 41.100人 非正規雇用(時給制) 75.700人 全体では増やしている(159.500人→175.100人)のに、地域基幹職の数は変えず、増分は新一般職(1.600人の増)と時給制(14.000人の増)でまかなおうとするところに、正規雇用を抑え非正規雇用を拡げてきた「新時代の『日本的経営』」路線がなお貫かれているのを見ることができます。この「新時代の『日本的経営』」路線とは何か。去年今年の学習会でも考えてきたことなのでしつこいような気もしますが、改めて整理しておきたい。というのは、近年この路線が質的に深化してきたことを象徴する事例が他ならぬ郵政における新一般職だと思われるからです。 (つづく)
by suiryutei
| 2014-05-21 21:52
| ニュース・評論
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