新人事制度 大阪での報告①~③
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『伝送便』誌今月号に書いた記事です。 管理者 五〇〇枚 課長 四五〇枚 課長代理 三五〇枚 主任 二五〇枚 社員 一五〇枚 再雇用 一〇〇枚 期間雇用 三〇枚 梅雨入りしたばかりの頃、始業ミーティングでこんな数字が読み上げられた。暑中見舞い用の葉書であるところの<かもめーる>の、位置に応じた販売数「目安」だ。こんなふうに具体的な数字を割りつけられてはノルマという他ないのだが、しかしその語は決して使わず目安と言う。それから課長って管理者に含まれるんじゃないの?と思われそうだけれども、郵便局における課長というのは、ついこのあいだまで課長代理と呼ばれていた人たちのこと。営業するとき課代であるより課長のほうが押し出しが効くので最近名称変更された。だから現在の課代は、このあいだまでの総務主任が「昇格」した。こんなふうに、何かにつけ営業優先なのが今日の郵便局である。なお私の職場は外と接する機会に乏しい内務だからこの程度のノルマいや目安で済んでいるのであって、外回りする集配などは数字がずっと高い。しかし、書く人もたいしていない暑中見舞いの葉書など、どうやったら売れるのだろう。自分で買い取るしかないではないか。かくて通称「自爆営業」が蔓延することになる。最近出版された本書は、丁寧な取材に基づいて、その自爆の実態を暴いた。本誌の読者なら、紹介されているケースのいくつかは聞き覚えがあるかもしれない。それもそのはず、我が『伝送便』からの情報も活用されているからだ。著者はもちろんそのことを明記しているし、したがって我が事務所の主(ヌシ)、下見徳章・編集委員も何度も登場する。裏話をすれば、彼、自分の名が頻出する本の書評は書きにくかったらしく、それでいま私が替わりにこの稿を書く次第。 郵便局の目玉商品である年賀は、これなら暑中見舞いよりは売れる。しかし、その分「目安」も跳ね上がるから、やっぱり自爆するしかない。本書に紹介されている某局では正規雇用が一人一万枚、非正規雇用七千枚がノルマ(もうはっきりこう書きます)である。正直にそれだけ買ったら、そのうちの相当数は金券ショップにでも持ち込むしか手はないよね。ところが、この窮余の策が、いよいよ自分の首を絞めることになる。たとえば一枚四三円で年賀葉書を買い取った金券ショップは、それを四五円で店頭に並べるからである。いっぽう郵便局の人間はコンプライアンスというやつで定価の五〇円で売ることを義務づけられている。ショップに行けば四五円で手に入るものを誰が五〇円出して買うだろうか。そしてコンプライアンスは局員が金券ショップに持ち込むことも禁じているから、これがますます我らの首を絞める。というのは、一度にまとめて注文すると「こいつ、ショップに持ち込むんじゃないか」と疑われるからだ。そこで、たとえば、まず千枚注文して、そうしてすこし日にちをあけてまた千枚・・・。ところが、日にちが経つにつれショップへの売値は下がっていく。「一二月に入れば四〇円を切る」。 なんだか出口のない世界だが、その出口も本書は指し示している。詳しくは手にとって読んでほしい。 ポプラ新書 定価780円(税別)
by suiryutei
| 2014-07-04 10:09
| 文学・書評
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