新人事制度 大阪での報告①~③
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『伝送便』誌8月号に寄せた文章を転写します。 JP労組定期全国大会前夜の六月一七日、開催地・名古屋で労働者文学賞にまつわる会合があったことは、本誌前号で久保茂さんが報告してくださった。四・二八に勝利した人たちのうち池田さん神矢さん黒瀬さんと三人もが顔を見せてくれたことと共に私に嬉しかったのは、この会で増田勇さんと初めてお会いすることができたことだ。増田さんの昨年度小説部門受賞作『郵便物裁断』は、静岡県内の郵便局で実際に起きた事件に取材している。配り切れなかった郵便物を局長の指示で裁断してしまったのである。人員不足と労働強化がひどい中での労働現場の疲弊と荒廃が浮彫られてくる。こんにちJR北海道などで起きているのと同じ問題が郵便ではこうした形で顕われてきた。 労働者文学の名にふさわしい優れた作品である。が、増田さんが書かれたもので私にとってもっとも印象深いのは『内藤さんが死んだ』だ。深夜労働が拡大していくなかで、作者の同僚<内藤さん>が健康を損ね、死んでしまう。直接の死因は脳腫瘍。福島第一原発事故後のこんにち、低線量被曝と健康破壊の因果関係は存在するとしても、それを明瞭に立証することがなかなか困難であるように、深夜労働と内藤さんの死との因果も、これを明らかにすることはむずかしい。 「しかし、死期を早めたことは確実だ。内藤さんだけでなく、深夜労働にたずさわっている人すべてが、自分の身をけずり、日々命をちぢめて仕事をしているのだ。ただ直接殺されることがないから、目に見えるようになっていない。病気という形で目に見えるようになってからではもう遅すぎるのである。労働者は、『深夜労働の原則的廃止』を声を大にして叫ばないといけない。みんなの声が小さすぎるから、全逓全国大会のような結果になってしまうのだ」 (『内藤さんが死んだ』から引用) この作品は一九八六年発行の雑誌『全逓文学』に発表された。しかし私が目にしたのはずっと遅く、五年前の二〇〇九年に刊行された『<全逓文学>五〇周年作品集』に収録されたとき。その二年前の二〇〇七年、私の職場では二人の在職死亡が出た。四九歳の非正規雇用Kさんはくも膜下出血で、五七歳の正規雇用Yさんは心筋梗塞で。二人とも深夜労働に従事していた。だから内藤さんの死は作品の世界の中だけのこととはとても思えなかった。KさんとYさんのことは今年の労働者文学賞ルポルタージュ部門受賞『深夜労働』に触れられている。『内藤さんが死んだ』を読んで受けた衝撃がなかったら、『深夜労働』が書かれることはなかったろう。 ところで前掲の『<全逓文学>五〇周年作品集』については本誌二〇〇九年一〇月号に書評記事が載っていて、こう結ばれている。 (全逓文学会の)<活動が培ってきたものを継承する者ありとすれば、私たち『伝送便』の読者ではなかろうか> 増田勇さんは『伝送便』の年来の読者だし私はいま編集委員。そして『伝送便』の顔と言うべき池田実さんは今年、福島での除染労働を三十一文字に詠んで朝日歌壇に四週連続で六首を入選させた。五年前の大言壮語、いくらかは実現しているとすこしは胸を張ってもいいかな。なお全逓文学会は『<全逓文学>五〇周年作品集』の発行をもって活動にいったん幕を引いたけれども、OBたちは『A・Zの会』として今日も活発。<アフター・全逓文学会>という意味のようだ。 ※関連する過去ログとして ☆『<全逓文学>五〇周年作品集を読む』(09年10月2日)
by suiryutei
| 2014-08-08 09:04
| 文学・書評
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