新人事制度 大阪での報告①~③
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『伝送便』誌新年号の特集は<労働災害>。特集の冒頭に掲載された報告を転写します。 新東京郵便局で去年(二〇一四年)三月に開催された、二〇一三年度最後の安全衛生委員会の議事録によれば、冒頭、議長は 「現在の局内の状況ですが、ゆうパックが増えています。三月に入り一日当たり三〇万個以上の多い日が続いています。夜間帯は特に大変なこととなっており、作業スペースが一杯一杯になり作業の安全面が確保できにくい現状」 とした上で、 「それでも、新東京の処理が遅れてしまうと他の郵便局を含め全体が駄目になってしまうので頑張って乗り越えていきましょう」 こう挨拶している。現場の苦渋が伝わってくる。安全衛生委員会とは、労働安全衛生法が定める、労働者の意見を事業者の行う安全衛生に関する措置に反映させる制度で、毎月一回開催される。議長はその事業場の事業を実質的に統括管理する権限及び責任を有する者が就く。議長以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ないときには労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名される。委員会における議事の概要は労働者に周知することも義務づけられているから、職場の掲出物が貼られているところに毎月の議事録も貼り出されているはず。 安全衛生委員会議事録から その「作業の安全面が確保できにくい現状」とはどうなっているのかというと、同じ二〇一四年三月の議事録に「今年度業務災害の総括について」という項目があり、 「件数は三月二十五日現在で四十五件。昨年度は総合で三十三件でしたので、今年度は件数がとても多くなっています」 これが二〇一三年度の状況であった。その四十五件の中にはロールパレットの上段から落下し頭蓋骨を骨折(二〇一三年七月二十二日発生)といった重大事故もある。翌八月、所轄の江東区亀戸労働基準監督署の臨検が入った。 ●労災多発部には安全管理者が不在のため増配置すること ●一〇〇〇人以上の事業所には専任の衛生管理者が一名以上必要であるが(その時点では)いないため配置する必要がある ・・・等の指摘を受けた。新東京局では二〇〇〇人以上が働いている。安全管理者とは、労働安全衛生法において定められている、事業場の安全全般の管理をする者。また衛生管理者とは、労働環境の衛生的改善と疾病の予防処置等を担当し、事業場の衛生全般の管理をする者で、一定規模以上の事業場では衛生管理者免許等の資格を有する者からの選任が義務付けられている。これら労基署の指摘を受けて、産業医が専任の衛生管理者になるなどの処置がとられた。 二〇一四年度は当初は順調だった。 「今年度は業務災害が抑えられています。いつも業務災害が多いゆうパック部で発生していないことが非常に良い状況を生み出しています。衛生面ですが、最近気温が上昇し夏に向けて暑くなってきているので、熱中症予防のために冷房をいつもより早めに入れ、働きやすい環境を整えるようにしています。これからお中元繁忙に入り、短期アルバイトも五〇〇人近く雇う予定で人が多くなりますが、安全な職場にするよう話し合っていきましょう」(六月の安全衛生委員会議事録における議長あいさつ) 「六月に発生した業務災害は三件、七月は今日現在で四件の業務災害が発生しています。・・・二十五年度は七月末までに十九件の業務災害が発生しています。今年度は今日現在で一〇件と前年度に比べるとまだ少ない件数ですが、六月、七月と増加傾向にあります」(七月の議事録から) それが真夏になって急増してしまう。 「七月に発生した業務災害は八件、八月は今日現在で九件の業務災害が発生しています。七月には勤務終了後、ロッカー室に向かう途中、階段で転倒し右足小指の骨折および両足首捻挫で全治二ヵ月の災害が発生、また八月の業務災害九件のうち七件がパレット関連です。そのうち中板が落ちて頭部負傷が二件、足を轢いて小指を骨折が二件、と重大事故が発生し緊急事態となっています。現在までに実施している業務災害防止施策のほか、一人ひとりが災害に遭わない、遭わせない注意が必要です」(八月の議事録から) 何が労災を増やしているのか 深夜労働に従事する身として、酷暑の夏に労災が増えるのは実感でわかる。昼間に充分な睡眠を摂ることは春や秋の過ごしやすい季節だって難しいのに、炎天下ではなおさらだ。深夜勤は泊りが連続するから、一晩徹夜で働き、睡眠不足の状態でもう一晩の徹夜労働を迎えなければならない。深夜勤従事者が多い新東京局では、このことが労働災害の大きな原因なのは言うまでもない。冒頭にも触れた一四年三月の安全衛生委員会議事録には業務災害分析シートも載っていて、それによれば一日二十四時間を六時間ずつ四つに割って災害が一番多く発生している時間帯は午前〇時から六時までである。十三年度一年間に起きた四十五件の労災のうちなんと二十二件がこの時間帯に集中している。睡眠不足からくる疲労がピークに達し睡魔に襲われる時間だ。この数字を突きつけられれば、労働災害を本当になくそう、減らそうというのであれば、深夜労働の緩和へ向けて進むほかないと思うのだが、どうか。 さて秋になって発生件数はいくらか落ち着いた。 「九月に発生した業務災害は五件、一〇月は今日現在で一件の業務災害が発生しています。九月は重い赤鉄パレットを動かすため両手でつかみ、右側に回転させた時、右膝を捻り炎症をおこし約二ヵ月休業の災害が発生しています。また、一〇月一六日に有人牽引車に連結されたパレットの連結部を別の社員が外している途中、運転者は連結部を外し終わったと思い違え、有人車をスタートさせてしまい、まだ作業中だった社員が連結金具のフックで右手の指を裂傷し縫合、二週間休業する災害が発生しています。危惧していた『まさか』のケースで事故が発生していますので、くれぐれも注意してください」 「『まさか』のケース」というけれども、パレットの連結やその解除に手間取って痛い思いをすることは日常茶飯だ。老朽したパレットが多くて、連結部のフックなどがゆるくなったり変形してしまったものが多いから。 そして有人牽引(けんいん)車といえば二〇〇九年の年末(一二月一四日)、銀座郵便局で起きたエレベーター転落死亡事故を思い出す。これは五十九歳の労働者が牽引車をバックさせていて連結用のフックがエレベーターの扉に接触、斜めの角度からドアをこじ開けるような形になった。二階での作業中であったため牽引車もろとも一階に転落して死亡した。年末繁忙の錯綜とした業務の中で起きた惨事である。現在の新東京局における業務の錯綜ぶりはおそらく当時の銀座局をはるかに上回る。有人牽引車に加えてフォークリフトが構内を行きかう。最近急増している特別割引郵便物は板に盛られて搬送されてくる(板パレット)ことが多いから、これをコンテナ等に板ごと積み込むのでフォークが使われる頻度が増したのである。パレットは大型化してノッポになった。上背のあるパレットに荷物が満載されると、パレットを動かす際に見通しが効かない。最近ゆうパックの職場で災害が異常に多い(十三年度四十五件のうち三十八件がゆうパック部!)のもこれが一因。ヘルメット着用や安全靴使用を徹底させるなど現場は努力しているのは間違いないけれども、労働条件・環境の根本的改善こそなされなければ。 日本郵政の二〇一四年九月期中間決算が発表され、郵便は純損失が前年より一〇倍になって三八六億円の赤字だという(ウェブ伝送便掲載記事参照)。赤字は人件費が膨らんだせいとまことしやかに囁かれている。現実は人手が足りないまま無理な業務運行を強いられていることが労働災害を増やしているのに。
by suiryutei
| 2015-01-07 05:59
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