新人事制度 大阪での報告①~③
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私たちは三列でスクラムを組んだ。列に交じって聞き取りをしていた沖縄キリスト教学院大学の女子学生はスクラムの外に出す。車が近づいてくる。 「座り込もう!」 それを合図に、スクラムを組んだまま腰を落とす。三列の中で私は二列目の真ん中あたり。一列目と左側からからごぼう抜きが始まった。抗議の声は上げるけれども、こちらからは決して手を出さない。最前列の人たちがみんな抜かれ、二列目も三列目も左から一人ずつ抜かれていく。私より左のそのまた左の人が抜かれたところで (いよいよ来るな) そう身構えたが、そこでごぼう抜きは止まった。車両が通れるだけの幅を確保したと警備側が判断したようだ。そこを数台の工事車両が通って米軍基地の中に入っていく。機動隊を指揮しているのは「中隊長」と呼ばれていた。座り込む人たちを犯罪者呼ばわりして憚らぬ男だという。このときも「公務執行妨害」という言葉を何度もちらつかせる。いっぽう、座り込むお年寄りに手をかけるときはすまなそうな表情を見せる隊員も。 テント村を訪れる人たち 午後になるとバスでツァーの一団が到着。女性の添乗員がマイクを握って挨拶をする。 「本日は北海道から兵庫まで四十一人が来ました」 こんなふうに、連日、全国から座り込みの応援に人々がやってくるようだ。それから東村の人がクーラーボックス一杯のパイナップルを差し入れてくれた。オスプレイが飛来する“標的の村”高江のある東村はパイナップルが名産。小さく切って楊枝まで添えてあるから、すぐ食べられる。冷えて甘くて美味しかった。お手洗いに行きたくなったら、歩いて行ける距離ではないからテントの人に声を掛けると、「トイレ・コンビニ」という看板が回る。車の同乗者を募るわけだ。そうやって送迎してくれる。お手洗いは浜のほうにあって、感動したのはその清潔なこと。野外にコンクリート建てで、一人ずつしか利用できない、つまり男女兼用のものだが、中は掃除が行き届いている。便器なんか実にキレイだ。優れた運動が生み出す規律をそこに感じた。 キャンプ・シュワブのゲート前では夕刻の四時、デモ行進とシュプレヒコールでその日の行動は終了。私が訪れた七月十三日は少ない時間帯でも一〇〇人、のべにすれば二~三〇〇人は来ていたのではないだろうか。比嘉さんと私はそれから名護の市内に入ってビジネスホテルに荷を解いた。翌十四日は高江に向かう。 やんばるの森 沖縄本島北部の森に囲まれた地域を<やんばる>(山原)という。やんばるの森には地球上でここだけにしかいないヤンバルクイナやノグチゲラなどの固有種や絶滅危惧種が数多く生息している。世界自然遺産候補のリストにも挙がった。実際、比嘉さんの運転する車が森の中の道を行くに従って私の携帯に「圏外」の表示がちらつき出した。自然のなか深く入っていく感じである。ところが、この豊かな自然に総面積七八〇〇ヘクタールもの米軍訓練場が居座っている。その北部訓練場はジャングルでの戦闘訓練を目的に一九五七年に使用が始まり、三年後に開始されたベトナム戦争でのゲリラ戦訓練が行われた。二十二ヶ所のヘリパッドがあり、住民は爆音や墜落の危険にさらされている。ヘリパッドとはヘリコプター着陸帯のこと。さて高江は人口約一五〇人、美しい山と川に囲まれているけれども、米軍北部訓練場とも隣り合わせ。二〇〇七年から、高江集落を取り囲むようにして新たに六ヶ所のヘリパッドの建設が始まった。オスプレイも飛んでくるからオスプレイパッドである。県道から一五〇m、一番近い民家まで五〇〇mしか離れていないものもある。 比嘉さんと私が座り込みテントに到着したのは午前九時ごろであった。一〇人ほどの人たちの中に、フランス人とイタリア人の二人がいる。どちらも二〇代くらいの若い人。男性がフランスで女性(かなり美人)がイタリアだという。日本の友人から高江のことを聞いてやってきたとのこと。海外でも知られているのを実感した。ところが本土の私たちは辺野古はともかく高江のことはどれほど知っているだろう。 感心したのは比嘉さんである。片言で話しかけて、会話を結構成立させているのである。こういうとき私は全然ダメだ。なお比嘉さんと行を共にしている間、ハンドルを握りながら、あるいは名護市の居酒屋で、またホテルで私の寝酒に付き合いながら、比嘉さんはつねに朗らかに色々なことを論じ、私は退屈することがなかった。一坪反戦地主会は良き人材を事務局長に得たと言うべきか。 テントには沖縄全逓のOBの方もいらしたので、最近の労働運動の状況についても雑談、『伝送便』七月号とJP労組金沢大会会場前で撒いた『奔流』を置いてきた。座り込みの日常の余暇に読んでもらえているとすれば嬉しい。 調査船に抗議 午前十一時、羽地内海で抗議行動があるという情報が入った。羽地とは波静かな入り江。辺野古でボーリング調査に携わっている作業船やスパッド台船が台風の余波の荒波を避けてそこに停泊しているという。そこで私たちもその抗議行動に参加しようと高江を後にした。向かう途中、さる土建会社の看板を見て比嘉さんが言うことに、 「この土建会社も前は基地の工事を請け負っていたんだが、今は介護施設の建設なんかが主。そんなふうに切り替えていくのは大変だったろうけれど先を見る目があった」 土建業界が保守の地盤であるのは本土も沖縄も同じだろうが、沖縄での最近の選挙に見られる保守の分岐には、土台におけるこうした変化もあるのだろう。そして、そこから本土こそ学ばなくてはならないのではないか。福祉よりも「てっとり早くカネになる」公共事業に頼ってきたのが戦後日本の「土建国家」=土建ケインズ主義だったのだから(土建ケインズ主義については私の旧稿『郵政民営化を「潰した」亀井大臣』を参照されたい)。 七月二十九日に東京で開催されたシンポジウム『いま、沖縄と本土を考える』において翁長雄志・沖縄県知事が明言したように、いまや「米軍基地は沖縄経済の発展にとって最大の阻害要因になっている」のである。「アジアはどんなに経済が発展しても戦争が起きれば終わり」だからだ。 羽地内海に到着すると、浜に人が集まっているし、前日の辺野古では見ることができなかったカヌーが何艘も沖に出ている。このとき沖縄タイムスのツイッター<辺野古刻々>が配信した写真に私もチラリと写った。作業船に向かってシュプレヒコールを上げている後姿。このように沖縄タイムスと琉球新報の地元二紙は、連日そして終日、抗議行動に張り付いて動きを伝えている。安倍政権取り巻きから目の敵にされる所以だが、メディアの在り方として立派であると思う。 ここで私のお守り役は比嘉さんから麓さんにバトンタッチ。比嘉さんは一坪反戦地主会が取り組む裁判(普天間基地の使用認定取消訴訟)の記者会見準備のための会合があったのである。この夜は嘉手納市内の麓さんのご自宅に泊めていただいた。
by suiryutei
| 2015-07-31 08:54
| 旅行
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