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かなり評判になった白井聡『永続敗戦論』は、こんな言葉の引用から書き出されている。 「私らは侮辱のなかに生きている」 これは、2012年7月、代々木公園で開催された<さようなら原発10万人集会>(参加者は主催者公表17万人)の演壇で、大江健三郎氏が中野重治からの引用として述べた言葉だ。酔流亭も当日、代々木公園にいてスピーカーから流れる大江さんのそのスピーチを聴いていた。 中野の短編小説『春さきの風』に出てくる。戦前の共産党員一斉検挙(3・15事件)で、若い母親が乳飲み子ごと検束され、幼子は留置所で体調に異変をきたして死んでしまう。その母親が夫に宛てて書く手紙の最後の一行が 「わたしらは侮辱のなかに生きています」 なのだ。 『永続敗戦論』は、今から近所の図書館に返しに行くところなのだが、そんなこともあって、読んでいる間、中野重治のことを考えていた。中野は敗戦後じきに書いた小説『五勺の酒』の中で、天皇個人に対して同情的ともとれることを書いている。ところが、最晩年、いわゆる沖縄メッセージの存在を知る。敗戦の二年後、昭和天皇は自己の保身のため、沖縄の軍事占領が継続されることを米国に要望したのである。敗戦直後は知られていなかったそのことが、機密文書がようやく公開されたことによってわかり、死の数か月前、中野はそれを「沖縄と沖縄びととにたいする鬼畜のふるまい」と書きつけた(一九七九年三月、中野重治全集第一四巻「うしろ書き」)。 鬼畜のふるまい。この言葉が頭に響く。天皇を頭に頂くわれわれの社会は、天皇は代替わりしたとはいえ、「鬼畜のふるまい」を今も沖縄と沖縄びととに対して続けているのではなかろうか。 『永続敗戦論』について、また中野重治の天皇観について、今まとまったことは書く時間がない。上のことだけ書き留めておきます。
by suiryutei
| 2015-11-25 15:42
| 文学・書評
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Comments(2)
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