新人事制度 大阪での報告①~③
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新聞『思想運動』3月1日発行号の<労働者通信>欄に寄稿した文章です。 ともあれ郵政民営化はなお足踏みすることはあっても後戻りはできない段階に入った。いよいよ剥き出しとなる市場原理を梃として、労働現場における合理化・権利破壊はいっそう進むだろう。去年暮れのマイナンバー通知配達時の混乱は記憶に新しい。連日三~四時間の超勤に加えて、廃休まで迫られて一〇日間以上連続の勤務といった事態まで生じた。 これまで、ゆうちょ・かんぽの金融部門の収益が採算性の無いのみならず斜陽(ここ一〇数年で郵便物数は約三割減少)の郵便事業部門をカバーしてきた。ところが金融部門の株式売却が進めばその繋がりが切れる。郵便事業を担当してきた日本郵便はその危機を郵便から物流部門へと重心移動することで乗り切ろうとしている。しかるに物流業界は成長産業とはいえ過当競争で低利益体質。ここで勝負するには極限までの合理化が必至となる。すでに二〇一四年度、過労死が一番多かった業界は運輸・郵便で九二件である。郵政における「責任組合」を自負するJP労組が合理化への抵抗を放棄している中で、このままでは極めて危険な事態が現出するだろうことは目に見えている。 かつては、日本の資本主義経済を独占資本に都合よく回すために、採算二の次で金融・通信サービスを国営で提供してきた。今日では、同じ目的で金融・通信に加えて物流サービスを、労働条件を切り下げることによってギリギリ採算をとりながら提供しようというのである。 郵政版「限定正社員」のまやかし 数年来われわれもそれへの反対運動を構築すべく尽力してきた「新人事・給与制度」は、力及ばず去年から本格施行となった。この競争主義的賃金制度は、そうした物流業界へのシフトも睨んでのものに他ならない。同制度でとくに注目しておかなくてはならないのは「一般職」が導入されたことである。金融二社を含む日本郵政グループ全社に導入された。とはいえ、それが狙うのは、ことに人力依存の高い日本郵便において労働力コストを切り下げることだ。正規・非正規あわせると郵政グループ全体では約四十二万人が働く。そのうち約三十八万人強が日本郵便であり、さらにその半数近い十八万人強は非正規雇用だ。 「一般職」とは、非正規から正規への登用というポーズを執りつつ、しかし本当の狙いは正規雇用を二つに分割して低賃金正規を創り出すことである。「一般職」が拡大していっても正規雇用の中で低賃金層が増えるだけであって、労働力構成全体における非正規率はほとんど減っていかない。いま政府がにわかに提唱し始めた、まやかしの「正社員化」「同一労働・同一賃金」とそれは歩調を合わせている。メンバーシップ型とも特徴づけられる日本型雇用の企業にとっての旨味は労働者の企業への拘束の強さ。その旨味は最大限維持しつつ、非正規雇用の低賃金において「同一」を実現しようというのである。 ならばわれわれの課題は明らかだ。資本の構想する労働力構成の枠組みを打ち破る正規雇用化を闘い取り、労働者同士のあらゆる格差をゆるさない闘いを創り出していくこと、これに他ならない。郵政ユニオンが取り組む「労契法二〇条裁判」の意義もここにあるだろう。労組の枠を超えた協働を拡げよう。
by suiryutei
| 2016-03-08 09:29
| ニュース・評論
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