新人事制度 大阪での報告①~③
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『伝送便』誌に記事を書いたときは、発行されたらすぐブログにもUPするのが習いである。ところが今月は何かと忙しく、同誌8月号掲載文をまだ転写していなかったことを今ごろ思い出した。写真の下に貼り付けます。 ネットで北部局の求人情報を検索してみると「時給九二〇円~」となっている。東京の最低賃金は九〇七円。郵便局の時給は地域の最低賃金を一〇円単位は切り上げて、それに二〇円足したところからスタートする。だから東京ならば九〇七円を九一〇円として二〇円たした九三〇円が下限である。東京北部局といいながら所在が埼玉県なので、その下限が適用されないのだ。なお埼玉県の最低賃金は八二〇円だから、埼玉県における基準(八四〇円)はクリアしている。 いよいよ郵便工場に さて、この北部新局は日本郵便東京支社管内の三番目の地域区分局として出現した。すなわち新東京、多摩集中局に続くものである。一般の利用者のための窓口業務は行わないし、集配も無い。郵便局というより郵便・物流工場という性格は新東京、多摩集中より徹底している。 郵便番号などなるべく使いたくないのだが説明のためやむなく使うと、北部局開局前は東京の郵便は郵便番号の上二桁の10-17が新東京、18-20が多摩集中局の受け持ちであった。北部開局によって新東京から16.17地域、多摩集中から18地域が北部に移管された。すなわち現在では10-15が新東京、16-18が北部、19・20は多摩集中の受け持ちである。そしてもっと重要な変化は、都内全域の一般局における郵便内務の区分業務がこの三局に集中していくことである。最新の区分機をこの拠点三局に配備し、これまで各々の一般局で行われていた道順組立処理のあらかたも拠点三局で行うようになる。だから、この拠点三局では深夜労働がいよいよ主役である。集まってくる郵便・ゆうパックを深夜に区分して翌早朝に送り出すというのが業務の流れだからだ。深夜勤専門の期間雇用労働者は通常、週四〇時間(一〇時間労働の深夜勤四回)。深夜勤は夜七時から翌朝六時までと夜九時半から翌朝八時半までの二コースである(どちらも実働一〇時間+休憩一時間で拘束一一時間)。深夜・深夜・明け・深夜・深夜・明け・週休の一週間だ。深夜が三回続いて、明け・深夜・明け・週休というシフトをやらされている人もいる。また「七深」といって、夜一〇時一五分~翌朝六時までの実働七時間(休憩四五分)を週五日やる人もいる。昼夜が完全に逆転する毎日である。 一般局では人が要らない? いっぽう、基幹的な区分作業を拠点局に持って行かれることによって一般局では深夜労働は減る。去年秋、都内に住む知人が居住地に近い郵便局でアルバイトを希望した。この友人は昼間は家を空けられない事情があったので深夜勤務を希望したのだけれども、深夜勤をやりたければ新東京か北部へ行けと言われて結局、郵便局で働くことを諦めた。前記二局では通勤に遠すぎる。 深夜勤は無くなっても、その前段の作業があるから、帰宅が深夜になる夜勤は減らない。のみならず遠距離からは通勤の困難な早朝出勤が増える。拠点局で区分処理された郵便・ゆうパックは今度は明け方に一般局に送られてくるからだ。 憂慮されるのは、業務が移管されることを理由に雇用が脅かされることだ。今年の春闘における会社とJP労組の<大綱妥結>では、事業所閉鎖等により勤務場所が消失した場合、無期に転換した期間雇用労働者は原則として解雇とある。ここで言う無期転換は労働契約法十八条によるわけだが、この「原則」は有期・無期とも非正規雇用労働者に適用されると考えていいだろう。業務移管は事業所閉鎖とは違うし、交渉の中で「・・当然、解雇回避義務に基づく所要の対応は必要と考えており、これまでの効率化時と同様、業務移管先での勤務、近隣事業所勤務の打診等を行っていく・・」と会社に回答させてもいる。しかし、「これまでの効率化」においても多くの仲間が涙を呑んできたのを私たちは知っている。通勤が遠距離になったり、異動先の環境になじめず辞めていったり。そうした一方的な不利益を強いられることをゆるさぬ構え・闘いが必要だ。 物流が中心 北部局の状況に話を戻そう。人員は最近一〇〇〇人を超えたので常駐(週三日)の産業医が置かれるようになった。ぽろぽろ退職者が出ているから、常時募集している。ゆうパック部では去年のスタート時、正規雇用六四名、期間雇用労働者二〇〇名だったが現在はもっと増えている。局舎の一階がゆうパック部、二階はなくて三階が大型厚物の郵便、四階が大型棚物郵便と特殊(書留・速達)郵便、五階は小型通常郵便、そして六階が物流ソリューションとなっている。新東京局では三階にあるゆうパック部が一階に据えられ、以前の郵便局にはなかった物流ソリューションが置かれたことに見られるように、成長分野のゆうパック・物流を中心にした設計だ。実際、新東京局では大型トレーラーは発着業務を行う構内に入ってこれず、裏のホームに回ってもらうなど苦労している。そうした苦労解消を図っての北部新局開局でもあった。 国内宅配便事業のシェアは、二〇一四年度の一位がヤマト運輸で四五・一%、二位が佐川急便の三三・三%。そして三位が日本郵便で一三・四%である。上位二社には水を空けられているとはいえ、日本郵便は一年前の二〇一三年度一一・九%より伸ばしている。シェア拡大で会社上層の意気は上がっているのだろう。七月四日、日本郵便の横山邦男社長は新聞各紙のインタビューに答えて「国内の物流事業での企業買収や提携もあり得る」「グローバル展開の前提として国内で圧倒的なシェアを持ちたい」と強気である。事実、このインタビューの直後には流通大手イオンとの提携も発表された。しかし、ダンピング競争に明け暮れ、低利益体質の物流業界でのシェア奪い合いとは労働条件の切り下げ競争に他ならない。このあたりの事情は去年刊行された横田増生著『仁義なき宅配』(小学館)に詳しい(本誌二月号に書評記事掲載)。 郵便では「北部開局、三週間経過したけど書留郵袋の仮り上げはいまだに全くやっていない。毎日、延発のオンパレード」「有証大郵袋、書留郵便物ともに便ごと回計ごと一日ごとに符合していない。書留職場では当然の『あたり』はない」(去年九月時点でのJP労組機関紙に載った通信から)という状況から、開業一年がたって「北部も業務はうまくまわっているようだ」と言われるようになった。しかし、その「うまく回っている」背景には働く者の大変な苦労がある。北部局の計画課で働くBさん(正規雇用、四〇代)は連日二時間くらいの超勤は当たり前で、月間で四〇時間前後になるという。「これでは私生活に使える時間が無い。サービス残業はやらないけれども服務表にある休息なんかはとれないことが多いですよ」。 ※関連する過去ログとして ☆『新一般職とは何か』(14年2月28日)
by suiryutei
| 2016-08-11 17:21
| ニュース・評論
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