新人事制度 大阪での報告①~③
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昨日、郵便局で働いている(働いていた)友人たちと神田の喫茶店で会ってあれこれ話した。そのとき用意したメモを貼り付けます。なお、いま「働いていた」と過去形をカッコに入れたけれども、昨日あつまった面々は酔流亭を含めて、もうOBのほうが多くなってしまった。 それから下のメモは『伝送便』来月号のために用意している原稿の一部を抜き取ったものです。来月号は28日に完成する予定で、今日あたりから編集作業に入ります。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 三月二十八日、政府の働き方改革実現会議(議長・安倍晋三首相)は最終会合を開いて「働き方改革実行計画」を決定した。まず問題なのは、やはり時間外労働の上限規制はこれでいいのか、という点である。
②の特別条項で月一〇〇時間、二~六か月なら平均で八〇時間という数字は、厚労省の過労死認定基準をそのまま持ち込んだものである。不幸にも過労死が起きた場合の労災認定基準としてならこれが画期的な意義を持つことは言うまでもない。一九六一年から八七年までの認定基準は、発症の直前、少なくとも当日に従来の業務内容にはなかったほどの過激な業務に従事したと証明されない限りは労災と認定しなかった。だからこの時代、労災と認定された過労死はほとんどゼロだ。一九八七年になって、発症前一週間以内に日常業務に比して特に過重な業務に就いたことによる過重負担も認めて、わずかに基準をゆるめた。これらの旧基準に対して現行の二〇〇一年基準の画期性は、一か月一〇〇時間、二~六か月八〇時間と期間を長くとることによって過労死の要因としての蓄積疲労を考慮できるようになったことだ。電通過労死事件の高橋まつりさんの労災認定でも一番の決め手となったのは自殺前一カ月の彼女の時間外労働を労基署が一〇五時間と算定したことである(実際はもっと多かったろうが)。
しかし、過労死が起きてしまったときの認定基準と、労働者の健康確保(死にさえしなければいいというものではない!)のための上限規制では性格がちがう。長期にわたって疲労が蓄積して死に至る場合もあれば、短期間でも荷重な勤務が集中したために心身が破壊される場合もあるからだ。現に二〇〇一年基準も「業務による明らかな過重負荷」の原因として ①発症直前から前日までの間に、異常な出来事に遭遇した場合 ②発症前一週間程度の時期に、特に過重な業務に就労した場合 ③発症前一か月間に時間外労働がおおむね一〇〇時間超、発症前二~六か月間の月平均時間外労働が概ね八〇時間超 の三つを挙げている。そのうち①は時間外労働とは別のことだから措くとして、○ヶ月にわたって平均して○○時間以内なら・・というやり方では③には有効でも②のケースを防ぐことはできないのである。
ところで、そんなザルではあれ経営側がともかくは上限規制を受け入れた魂胆は何か。それと引き換えに、「週四〇時間・一日八時間」という労基法本来の労働時間に縛られることのない労働者を増やしていくことである。このかんの労働時間弾力化・変形労働時間制の拡がりによって、一日八時間・週四〇時間が守られている労働者は現状でもすでに半分を切って三九・六%である。残りの六〇・四%は交替制勤務とかフレックスタイムとか事業場外みなし制とか裁量労働制で働いている。このうち裁量労働制というのは、あらかじめ決めた労働時間だけ働いたとみなす。実際にそれ以上はたらいていようと労働時間に数えられない(実際の労働時間は平均一時間以上長くなっているという調査がある)。今はコピーライターとか新聞記者、あるいは企画といった業種に限定されていて、労働者全体のうち一・七%ほどである。他の勤務形態では弾力化されたとはいえ週四〇時間という基準があるけれども裁量制ではそれが崩されている。さらに新設が狙われている高度プロフェッショナル制では時間外労働という概念が全くない。残業代ゼロというやつである。
政府、経営側は一九八七年の労基法改定のときは週四八時間から四〇時間への「時短」と引き換えに労働時間を弾力化することに成功した。二匹目のドジョウを狙って、今度は上限規制を受け入れることとの交換に、その最大上限(過労死ライン)の枠内では好きなように働かせる「自由」を手に入れたいのだ。 さすがに連合も裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制には反対してきた。ところが「働き方改革実行計画」にはこれらを進めていくことが明記されてしまった。二四人のうち労働側は神津・連合会長ただ一人という実現会議の歪(いびつ)な構成から予想されていたことだが。 焦点は秋の臨時国会である。実現会議から労働政策審議会の場に移った「実行計画」の動向に目を凝らしつつ、上限規制をまともなものにする闘い・労働基準法改悪をゆるさぬ闘いを創り出そう。労組はじき全国大会の季節だ。ユニオンもJPもそう。すでに旗幟鮮明な労組はさらに闘いの強化を。連合系の労組にあっては現場から声を押し上げて行くことで指導部をして動揺・屈服させるな。
by suiryutei
| 2017-04-21 09:31
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