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ヘミングウェイの短編『キリマンジャロの雪』を読んだ(新潮文庫)。 HOWS(本郷文化フォーラムワーカーズスクール)に設けられた文学ゼミ『世界の短編小説を読む』(講師=立野正裕・元明治大学教員)がこの作品を取り上げたからである。 高校の二年か三年のときである。指導熱心な英語の先生が、普段の授業に物足りない奴は参加してみろと呼びかけて『武器よさらば』を英文で読む課外授業を企画してくれた。酔流亭は理系の勉強はからっきしだったけれど英語の読解についてならそう悪い成績ではなかったから、それに参加した。しかし途中で、それもかなり早い段階で脱落した。 それが負い目になったというわけではべつになく、あの小説家は何となくマッチョな、そしていかにもアメリカ的なイメージがあって、以降40数年間、著作を手にとる気にならなかった。『老人と海』も映画では観たけれど原作は読んでいない。 だから、その作品を一話ともかくも最後まで読んだのは、今回の『キリマンジャロの雪』が初めてである。しかし、この短編はなかなか良かった。 書き上げられた1936年は、1899年生まれの作者がまだ30代後半。スペイン市民戦争の現場に足を運ぶ直前である。 主人公は小説家であり、サファリ(狩猟・探検旅行)に赴いたアフリカで、初めはささいな足の怪我だったのが悪化して死の淵にいる。壊疽にかかって腐っていく足を寝床に自分の来し方が頭に浮かぶ。もちろん主人公がそのまま作者なのではない。しかし、虚実とりまぜて作者その人も滲み出てくる。マッチョだと敬遠してきたのは酔流亭の早トチリであったか。 主人公が昇天するラストが鮮やかだ。 ところで、前記した高校のときの課外授業で一緒だったM君と、それから10年ほど経って思いがけない場所で再会した。1982年、イスラエル軍がベイルートを包囲してアラファト率いるPLO指導部が苦境に立ったとき、都内で開催されたパレスチナ人民に連帯する緊急集会でバッタリ顔を合わせたのだ。高校を卒業したあと彼がどのような人生を歩み、また今日どうしているかはわからない。同窓会に出れば会えそうな気もするが、そういう場にはこちらがずっとご無沙汰している。 なお、1982年、アラファトたちは包囲を脱することを得たが、パレスチナ民衆の苦闘は今日も続いているのは周知のとおり。
by suiryutei
| 2017-07-21 09:08
| 文学・書評
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