新人事制度 大阪での報告①~③
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延び延びになっていた日本郵政の株式追加売却が今月末にも行なわれそうだ。昨日の朝刊がそう報じている。 はじめ7月と言われていた株式売却が延期になったのを知ったとき、酔流亭はそれについて思うところを書いて『伝送便』誌9月号に寄稿した。そのときから事態は少し動くわけだが、日本郵政をめぐる状況そのものには変化はない。よって、その文章を下に再掲します。 <9月1日更新記事の再掲です> http://suyiryutei.exblog.jp/27084529/ 民営化も五輪もぶっ飛ばそう! ―日本郵政、株式売却延期にー
七月にも、と言われていた日本郵政の株式第二次売却が延び延びになっている。株価が振るわないからである。今これを書いている八月二〇日時点で一三五九円だ。二年前に東証一部上場したときの売値一四〇〇円を下回っている。その理由は本誌読者ならご存知だろう。日本郵便が買収したオーストラリア物流大手トール社は業績不振が続くし、郵便に比べれば手堅い筈の金融二社(ゆうちょ・かんぽ)だってそれぞれに問題を抱えている。たとえばマイナス金利下での国債運用の困難。日本郵政は今年三月期ではとうとう民営化後初の赤字決算を計上した。
上場してから
東証一部上場を果たした一昨年十一月、それまで日本郵政の全株式を保有していた国はその一一%を売却して六九三〇億円を得た。いっぽう日本郵政はゆうちょ・かんぽの株をやはり一一%売って、それぞれ五九八〇億円と一四五〇億円を得た。 このあたり「親子同時上場」のややこしいところ。日本郵政はその後、子会社である二社の株売却益(五八九〇億円+一四五〇億円)で国から自社株を買い取ったから、国は合わせて一・四兆円強の売却益を得、そうして現在国が保有するのは日本郵政の全株のうち八〇%強である。郵政民営化法が定めるところによれば、日本郵政の株は三分の一を国の保有として残りは処分する。そこで現在保有の約八〇%から全体の三分の一(三三%超)を引いた部分(四七%くらい?)がこれから処分(売却)されることになるはずだ。 さて震災復興に関する時限立法は二〇二二年までに郵政株売却益から四兆円を捻出して震災復興財源に充てるとする。国としては二二年までに二回、間を空けながら、上場した時くらいの規模の株式売却を行ない、上場時の一・四兆円と合せて四兆円に充たす腹積もりであった。ところが今回のように株価が低迷して売却のタイミングを掴めないとなると、そのスケジュールにも赤信号が灯る。
民営化は袋小路に
もともと郵政民営化は制度設計に矛盾があった。親会社・日本郵政の下にある日本郵便・ゆうちょ・かんぽの三つの子会社のうち、郵便に加えて金融にもユニバーサルサービスを課せられた日本郵便は企業としての採算性は無い(だから日本郵便は上場はせず、この先も日本郵政が一〇〇%の株を持ち続ける)。稼ぎ手はゆうちょ・かんぽだが、日本郵政の子会社でいる限り経営の自由度を縛られる。日本郵政を通じて国が関与する間は純粋の民間企業とは見做されないのである。たとえばゆうちょは他の銀行と違って企業への直接の融資ができない。郵便貯金がいくら集まっても有価証券(国債や株券)を買うことで運用するだけだ。一四年度の数字で、融資の利回りは平均一・二九%だったのに有価証券の利回りは平均〇・八六%にとどまる(現在はどちらももっと低いだろう)。かつて財政投融資の全盛期には財投から郵貯へ相対的に高い金利が払われていたのでやってこれたが、民営化の流れの中でこれは廃止された。このままではゆうちょは今は資金が潤沢でも将来は立ち枯れてしまう。 日本郵政がゆうちょの株式売却を進めていって保有率が五〇%を切れば、ゆうちょの経営の自由度はひろがる。新規業務が今は認可制なのが届け出ればいいことになるから企業への融資なども出来るようになるだろう。ところが、その場合は、稼ぎ手の子会社が離れて行くわけだから親会社たる日本郵政の企業価値(株価)のほうは下がってしまう。そこで国も日本郵政も、二年前に上場はしたものの、その先に進めないのである。 かねてから予想されていたとおり、郵政民営化は出口のない袋小路に迷い込んでしまった。
東京五輪はこれでいいのか
ジェレミー・コービン党首ひきいるイギリス労働党が、旧国有鉄道の再国有化もスローガンに掲げ、六月総選挙で躍進して意気盛んであることは本誌七月号に触れた(『民営化の無理が露呈』)。われわれも改めて反民営化の声を上げて、地球の裏側の労働者の闘いに呼応するときではなかろうか。http://suyiryutei.exblog.jp/26960919/ 「何をいまさら」と言われるのは、三年後に迫った東京五輪を「今からでも遅くない、返上しよう」と求めるのと同じだろうか。しかし、五輪へ向けて、新国立競技場の建設作業現場で二三歳の男性労働者が月二〇〇時間を超す時間外労働などの働き過ぎに追い詰められて自殺したケースがすでに明らかになっている(三月失踪、四月に遺体発見)。これから競技場、選手宿舎その他の建築ラッシュが過熱していけば、五輪成功の名の下にどれほどの過密・過重労働がまかり通るか。現状でさえ、建設労働者一〇万人あたりの死亡率が日本は英国の五倍、ドイツの三倍というデータがあるというのに。 秋の臨時国会に上程される時間外労働上限規制案は、それ自体が過労死レベルのとんでもないシロモノ(月一〇〇時間!)だけれど、建設業は運輸業などとともにこのユルユルの上限規制さえ五年間の適用猶予になっている。東京五輪向けの工事がその猶予の理由となっているのである。 先に、郵政株式売却益は震災復興財源にまわると書いた。しかし、被災した人びとに本当に役に立つように使われるとは限らない。むしろ復興を名目とした土木や建設工事に流れてゼネコンを潤すだけだろう。それは福島を五輪会場の一部に組み込むことによって五輪ともリンクしてくる。効果の上がらない除染作業を形ばかり済ませることで避難住民を放射線の高い地域に無理やり追い返すことが「復興」の名のもと強行されようとしているが、二〇二〇年に向け、これに拍車がかかることを許してはならない。 東京五輪も郵政民営化も止めるにしくはないのだ。
反撃の秋へ
この夏、「高度プロフェッショナル制」をめぐって連合指導部は迷走した。同制度は年収一〇七五万円以上の労働者には労働時間を規制しないというもの。しかし導入されれば対象となる年収はいくらでも下げられるのは目に見えているし(財界は年収四〇〇万円以上あたりを考えている)、そもそも年収が高ければ何時間働かせてもいいというものではない。電通の高橋まつりさんの例にあるように、長時間労働が過労死を頻出させている現実をなんと見るのか。同制度の容認にいったんは傾いた連合指導部が、過労死遺族や学者たちの強い批判および組織内からの反発を受けて容認を撤回したのは、ひとまずはよかった。 けれども、それを横目に、トンデモ時間外労働上限規制・高度プロフェッショナル制新設・裁量労働制拡大を一本化した労働基準法改悪法案を政府は九月下旬召集の臨時国会に出してくる。これらがいかにトンデモナイかについては、本誌五月号にくどいくらい(延々五ページ、すみません)述べた(『これでは過労死は防げない』)。http://suyiryutei.exblog.jp/26823918/ 闘うべく秋が近づいている。
by suiryutei
| 2017-09-13 09:12
| ニュース・評論
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