新人事制度 大阪での報告①~③
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NHK朝ドラ『ひよっこ』は今朝が最終回だった。このドラマ、酔流亭はけっこうハマッてしまって、月曜から土曜まで毎朝たのしみにしていた。 『伝送便』誌10月号に書いた文章を貼り付けます。なお10月号は昨日完成して発送も行なった。先日の郵政労働契約法20条裁判の勝訴(東京地裁)を特集している。同裁判について酔流亭が書いた記事は明日UPします。 一九六五年春、高校を卒業して奥茨城の農村から集団就職で上京してきたヒロイン・谷田部みね子(有村架純)は初め向島の電機工場に就職する。トランジスタ・ラジオを生産する工場である。ところが東京オリンピック後に襲ってきた不況で工場は操業を停止してしまう。引取り業者の作業員たちが機械を工場から撤去しにくる。そのとき、みね子の同僚の女子工員・豊子が「いやだ!」と叫んで工場に入り、内側から鍵をかけて閉じこもる。結局は仲間たちに説得されて豊子はそこから出てくるのだが、職場占拠→自主生産へと進んでいったかもしれない闘いの可能性、萌芽を松元さんはこの場面に見たのだろう。 この突発事に初めは「こっちだって時間が決められているんだ」「出てこないなら押し入るぞ」と不平顔だった業者側の作業員たちも、同じ働く者として、職場を奪われる者のかなしみはわかる。機械の撤去が終わった後、かれらと工場の女工員たちがお互い目を見つめ、頭を下げあって「お疲れさま」と言葉をかけあった場面は、労働者同士の気持ちの通い合いといったものが感じられて、私にも印象に残った。 その場面は六月初めの放送だったと思う。もう少し前にも印象深いところがある。工場がまだ順調だった頃、ベルトコンベアを流れてくるラジオに部品を加えていく組立作業をしている女工員たちの後ろを歩いて回りながら、工場長らしき男性がストップウオッチで一人一人の仕事の速さを計っているのである。同じころ、「働き方改革」をテーマとした民放のTV番組が、今日の紳士服量販店ではストップウオッチではなくスマホで店員の作業速度が測られているのを紹介していた。時代が移って、使う器具は変わっても、やっていることは同じだなあと感心するというか呆れる思いがしたものだ。 いや、ちょっと考えてみると、同じではない。みね子が工場で働き始めたばかりのとき、失敗が多かった彼女をカバーし、仕事を教えるのは同僚たちだ。彼女たちは、工場長が乱暴な言葉で工員のミスを叱責したときは「それは言い過ぎです!」と堂々と抗議もする。ベルトコンベアのスピードにしても熟練の度合いを見ながら彼女たちが決めているようだった。つまり、そこにはかなり自立した労働社会がまだ息づいていたように見える。おそらくはドラマの時代(一九六〇年代なかば)あたりから、工場長が手に持つストップウオッチに象徴されるような労働管理が徐々に浸透して、それまでのそうした自律性を押しつぶしていくのである。そうして、それが今日の過労死社会を現出させていくのだ。 このドラマは登場人物たちが誰も彼も善い人ばかり、あるいは大女優・川本世津子(管野美穂)との絡みはリアリティを欠く。しかし、ヒロインの叔父やヒロインが工場を失職したあと働くことになる洋食屋のシェフが語る戦争体験には耳を傾けさせられた。八万六千人の兵のうち四万人が餓死または病死、三万八千人が戦死して「第二次大戦中最悪」「地獄」と言われたインパール作戦に二人とも従軍していたのである。戦後おそらくはこういう人たちによって憲法九条は守られてきたのだ。
by suiryutei
| 2017-09-30 09:13
| 映画・TV
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Comments(2)
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隅田のカッパ
at 2017-09-30 17:58
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こんばんは。今回の朝ドラはよかったですね。録画を忘れたり、仕事で全部を見られませんでしたが、豊子の工場立てこもりは、出先の食堂でこの回を見ることができました。豊子が泣きながら部屋の鍵を閉めたときは、「異議なし!」と言ってやりたくなりました。乙女寮に出てくる登場人物は、東京から東や東北の出身ですね。向島電機という墨田区を連想する設定も印象的です。ちょうど山手線の日暮里や上野の東側から見ると、西側の高台が線路に沿ってそびえているのが見えますが、東北出身の多くの労働者は、この山手線の壁を越えられないのです。
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suiryutei at 2017-10-01 08:42
墨田のカッパさん、おはようございます。
そういえば彼女たちは東京以北でしたね。寮の舎監だった愛子さんだけは実家は小田原でしたが。 私もルーツは東北(岩手県)です。 このところの朝ドラは起業家の一代記みたいな話が多かった中で「ひよっこ」はよかったです。有村架純は「あまちゃん」に出ていた頃こんなに可愛かったかなあ。
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