新人事制度 大阪での報告①~③
最新の記事
タグ
労働(124)
辺野古(46) 郵便局(43) 文学(31) コロナウイルス(31) 韓国(19) 朝鮮半島(12) 映画(11) NHK朝ドラ(10) ひよっこ(9) 大西巨人(9) なつぞら(8) 神田まつや(8) 労働者文学(8) 神聖喜劇(7) 関西生コン労組(6) 狭山事件(6) ブレイディみかこ(6) ケン・ローチ(6) 蕪水亭(6) 最新のコメント
記事ランキング
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... ブログジャンル
画像一覧
検索
|
例の「罪を憎んで人を憎まずは孔子の言葉」という小泉総理の国会答弁は間違いらしい。『論語』のどこにも、そんな言葉は載っていない。こう明確に指摘してくださったのは、中国文学者の一海知義さん(朝日5/31朝刊)。懐かしい名だ。高校の漢文の授業を思い出す。まだご存命であったか。 じつは酔流亭も、あの答弁のあった日、我が本棚から『論語』を引っ張り出して大急ぎでパラパラめくってみたのだが、確認できなかったのである。家に『論語』が置いてあるといえば、ご大層だけれど、我が家の『論語』は「ちくま文庫」から出ている文庫版で、しろうとを対象に桑原武夫がわかりやすく講じたものだ。 故桑原武夫といえば、"洋学紳士”の代表選手みたいな方である。その先生がなんで『論語』かと、本屋で見つけたときはいぶかったものだけれど、考えてみればお父上は我が国における中国学の泰斗であった。『論語』は子供のころから接して血肉となっていたのだろう。 それにしても、あの小泉答弁は先月16日のことだ。その日のうちに誤りを指摘する人が、酔流亭の知るかぎり、TVや新聞ではいなかったのは、どういうことだろう。「論語が血肉となっている世代」が、一海先生や桑原先生あたりを最後に絶えてしまっているということかしら。 いま洋学紳士という言葉を使ったけれど、これは中江兆民の造語か。彼の『三酔人経綸問答』に、豪傑君・南海先生とともに登場して、国の行く末をおおいに語る。言うまでもなく、豪傑君はのちの大陸浪人や右翼の壮士につながり、洋学紳士は進歩的文化人の原型である。そして南海先生は中道というか、漸進的改革論の立場に立つ。この三者それぞれが著者・兆民の分身だから、議論がじつに生き生きして、いま読んでも面白い。そういえば、この名著を現代語に訳したのは桑原武夫の仕事であった(島田虔次と共訳)。 中江兆民は“東洋のルソー”なんて呼ばれている。先々月ごろだったかな、NHKBSで『幕末』という映画を放映していた。仕事から帰ってチャンネルを合わせると、もうラスト30分くらい。つまりほとんど視ていないのだが、ラストシーンは坂本竜馬と中岡慎太郎が京都の隠れ家で暗殺されるところである。竜馬は萬屋綿之介、中岡慎太郎を演ずるのは仲代達矢。その竜馬の手元にはルソーの本が置いてあった。 酔流亭はこれが印象に残っている。しかし、事実としては、ちょっとありえないように思われる。明治10年代ならともかく、幕末にルソーの翻訳はあったろうか。それとも、竜馬は読めないながらも原書を手にしていたのか。その映画で、綿之介演じる竜馬は中岡を前に民主主義の原理を語り、なんと天皇に「人間宣言」をさせる構想まで漏らすのである。「おまん、そんなことしゃべったら、皆に殺されてしまうぞ」と仰天する仲代の慎太郎。 明治維新における倒幕をもって我が国における市民革命が成就したとし、坂本竜馬をその革命の指導者とするのは、後世の贔屓目が過ぎると思う。我が国の民主主義革命運動は、むしろ倒幕後に、明治政府を相手に闘われるのである。自由民権運動がそれだ。そして竜馬がテロリストの凶刃をまぬかれて、もし維新後まで生き延びたとすれば、その革命運動で一働きする可能性はあったと夢想するのは面白い。中江兆民だって、若いころは竜馬の海援隊にいたのだから。
by suiryutei
| 2005-06-03 17:37
| 文学・書評
|
Comments(3)
Commented
by
さいとうです!!
at 2005-06-04 21:30
x
今日テレビで美空ひばりさんを特集した番組が
あったのですが、その中の昔の映像の中で 尾崎咢堂さんが写ってました。 今の首相の答弁、いわんや国会、国政というものを 見られたら、どのように思われるのでしょうか。 映像の中の咢堂さんはおじいさんになられていましたが お髭がかっこよく、ビシッとされていました。
0
Commented
by
さいとうです!!
at 2005-06-04 21:34
x
Commented
by
suiryutei at 2005-06-05 10:01
さいとうさん、コメントありがとうございます。
今朝のTV『サンデー・モーニング』で、田中優子さん(法政大学教授)が「日本が挑発的な態度をとりだしたような気がする」と話していました。 職場にもいるけれど、空威張りする人はイヤだね。
|
ファン申請 |
||