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昨夜、帰宅したらTVでアニメ映画『風の谷のナウシカ』の放送が始まっていた。 視たのは途中からだし、夕食を摂りながら(当然、酒も飲みながら)、妻ともオシャベリしながらだったので、見落としてしまったものがたくさんあるだろう。そういう中途半端な視方で何か言うのは作者に対して失礼なのだけれど、これは映画に対する感想というより、そのとき酔流亭の頭にボンヤリ浮かんだことである。 地球環境や戦争という、人類が直面する最難問に正面から向き合っているのは立派というほかない。憎悪と暴力に愛が勝つ結末も美しい。しかし、ちょっと不自然さを感じてしまったのは、作品が作られた1984年以降の20数年の間に、世界はさらに暴力的となり、憎悪が深くなってきたからだろうか。 それで、映画を視ているとき酔流亭の頭に浮かんだのは何かというと、新年早々に朝日新聞に寄稿された藤原帰一・東大教授の「『理想主義』を超えよう」と題する文章であった(1月の何日の朝刊であったか、切り抜きに日付を書いておかなかったので、わからないのだが)。 イスラム原理主義と米国内の通称ネオコンの双方を「観念的で不寛容な、友愛二元論」と斥けた上で、藤原教授は、こう筆をすすめる。 「さらにいえば、憲法9条と絶対平和主義が展望を開くとも考えない。・・・・他者の排除なしに平和がありえないと信じ込む勢力を前に、戦力を放棄した世界を説いても意味はない。・・・・世界平和といえばユートピアのように響くだろうが、本来の平和は戦争のない状態に過ぎない。その平和を支えるのは、もちろん各国の武力による威嚇であるが、それに加えて、互いの交渉、取引、妥協がなければこの散文的な平和を支えることはできない」。 「理念の対立を利益の対立にまで引き下ろし、妥協と取引の可能性を探ること。ごく散文的な出口には違いないが、終末論的な世界の対抗から実際的な国際関係を取り戻すためには避けられない作業だろう」。 これに対して、朝日の投書欄で「憲法9条を蔑ろにするのか」といった反発・批判も散見したが、藤原教授とすれば、憲法9条の意義は充分承知した上で、しかし理想の言いっぱなしではすまない世界の現実があること、理想とリアリズムとの協働作業こそ必要であると言いたかったのだろう。そして酔流亭は彼の考えにかなり共感する。 アニメ『風の谷のナウシカ』の映像にひろがる世界は終末論的である。ヒロインであるナウシカの行動は、そこに一縷の光をさし示す(彼女は、じつに魅力的ですね)。しかし、同じ作者が、いま同じテーマで作品を作ろうとしたら、また違った結末を用意しなければならないかもしれない(そういえば、原作マンガの結末は違うという話を聞いたことがあるような気がするが、詳しいことは知らない)。 憲法9条が抱える苦悩を、酔流亭は勝手にそこにかさねてみたのである。もちろん、苦悩をも併せ持つからこそ、その理想には価値があるのだ。
by suiryutei
| 2006-02-04 10:14
| 映画・TV
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