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そして最新作『麦の穂をゆらす風』。 1920年前後のアイルランドが舞台である。イギリスからの独立を目指す運動が拡がっている。 デミアンは医学生で、同世代の若者たちが武力抵抗へとのめりこんでいくのも最初は醒めた目で見ていた。ところが、幼友達はイギリス軍に反抗的態度を示した(尋問に英語ではなく土着のゲール語で答えた)というだけの理由で殺されてしまう。留学すべくロンドンに発とうとした駅では、イギリス軍が乗り込んできた列車に暴力に屈せず乗務を拒否する運転士の姿を目の当たりにする。 かくて、デミアンも反英武装闘争に身を投じていくのである。 やがてイギリスとアイルランド義勇軍のあいだに停戦が成立する。独立が現実のものになろうとしたのだ。しかし、その講和条件は義勇軍にとって屈辱的なものであった。イギリス軍は撤退こそすれ、アイルランドがイギリスの支配下に置かれている構図そのものは変らないのである。 この講和を受け入れるか否かを巡って、独立運動内部の対立が激化する。この映画がいよいよ深みを増していくのは、ここからだ。 デミアンの兄、テディは、はやくから独立運動に挺身していて、若者たちのリーダー的存在であった。両手のなま爪をすべて剥がされるという凄惨な拷問を受けながらも、アジトのありかの口を割らなかった不屈の闘士である。 そのテディが、現状では講和受け入れやむなしとして、完全独立まで闘い続けることを主張するデミアンたちと意見が分かれるのだ。そして受け入れ派と完全独立派との間で武力抗争まで勃発する。 かつてテディが拷問にかけられるとき、デミアンは兄の身代わりになろうとした。それほど深い兄弟愛で結ばれていた二人の亀裂は、抜き差しならぬものになっていく。 この両者の対立を、映画は一方の側に立って他方を弾劾などしない。実際、どちらの決断(状況分析)がよりリアルであるかは、むずかしい問題である。前者が地主や資本家に軸足を置き、後者は社会主義的変革を遠望するという階級的対立が透けて見えるけれど、講和やむなしと考える派にしても、その条件が屈辱的だと考える点は同じなのだ。ただ、力関係の上でこれ以上は無理だと判断する。われわれは、たとえば現代の日本で国労の争議団が直面した苦境と分裂を思い出さざるをえない。そして同じような葛藤は、これまでも、現在も、地上の多くの地域で起きていることだろう。 監督ケン・ローチは、高い所からこの対立を愚かしいとかむなしいと言っているのではない。彼の視線はもっと切実だ。そこにこの作品のたぐいまれな深さと今日性があるように思う。
by suiryutei
| 2006-11-25 21:18
| 映画・TV
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Comments(4)
061207 日々歌う
隣国を七百年も虐ぐる痛みの重くケン・ローチ観て イラクをも想ひて撮らむケン・ローチその『麦の穂をゆらす風』をば 元凶はイギリスなれど暴力で抗ふ民も血にぞ溺るる 昨日やっと観て来ました。
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suiryutei at 2006-12-07 14:33
髭彦さん、こんにちは。
スペイン市民戦争に材をとった『大地と自由』もそうでしたが、ケン・ローチは闘う人々が抱える問題にも目を逸らしていないですね。しかも傍観者的にではなく、闘う側に寄り添いながら、そうしている。立派だと思います。
もう一本がこれです。またまたお邪魔します。
長野はかなり遅れて、先週一週間のみの上映でした。 すごい映画があったもんだと驚きます。 こういう映画がもっと長い時間かけて、 たくさんの人に観てもらえたらいいのになぁ~。 映画は確かに娯楽だから、楽しいものも良いんだけど、 それだけじゃ、やっぱりもったいないです。 たくさんの人が観るんだから、大切なメッセージを 贈ることができると思います。 子ども達にもみせたかったですね。
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suiryutei at 2007-03-06 10:41
園長さん、そうですそうです。
この映画は本当に素晴らしいと思いました。
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