新人事制度 大阪での報告①~③
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『思想運動』という新聞の新年号(1月1日・15日合併号)に寄稿した文章を下にコピーします。これは同紙が新たに始める企画『労働現場2008』という連載の初回とのこと。『伝送便』誌去年12月号に載せた文章と内容がいくらか重複していることをお断りしておきます。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 数ヶ月の間に二人の命を奪った民営化 その秋に民営化のスタートを控えた07年春を前にして、旧郵政公社における早期退職希望者は15000人に達していた。例年の倍である。抱える事情はそれぞれに違うのだろうが、定年まで働くことを諦めざるをえなかった人がこれだけの数にのぼった。 言うまでもなく、好んで退職を希望したのではない。勤務を続けることに耐えられないと判断したのだ。郵便内務では04年2月の深夜勤導入によるところが大きいだろう。この勤務の実態については藤田和恵さんの優れたルポ『民営化という名の労働破壊』(大月書店 06年)に詳しい。そして、これらの人々が去った後の職場では、どういう事態が現出したか。 07年11月、私の働いている課で57歳の同僚が急死した。前日まで出勤していて、勤務が休みだった日の朝、自宅で倒れているのを家族が発見した。死因は心筋梗塞。 この人は片道4時間近くかかる遠距離通勤だった。朝、勤務を終えても、その日の夜また出勤しなければならない深夜勤は、遠距離通勤者にはことにこたえる。この勤務が始まって満二年経った06年春の健康診断で不整脈が出た。深夜勤を続けることに医師からストップがかかり、昼間だけの勤務に変わった。血圧を下げるため服用した薬が身体に合わず心臓がめっきり衰えた。亡くなったときは深夜勤から外れていたとはいえ、やはりこの勤務の犠牲者だと私には思える。従事していた二年間が彼の健康を破壊したのだ。 肉体的な疲弊だけではない。「あいつら、動きが悪くてなあ。仕事をできないなら、さっさと辞めればいいんだ」。同僚をこう嘲る声を、ときに耳にするようになった。もちろん、人が減らされて自分もきつくなっているから、いきおい怒りは、思うように動いてくれない相手に向かうのである。深夜不眠の反復作業では、長年培ってきた業務知識よりも体力の勝負になる。その体力は加齢とともに衰えるのである。高校を出てすぐ就職したとすれば40年前後に及ぶ郵便局での生活の最後を、職業人としてのプライドを傷つけられて追われるように職場を去っていく人も少なくない。 そうして減員されたあとは非正規雇用の職員で埋めるわけだが、この人たちの状況はもっと酷い。やはり私の課で、7月に、49歳の非常勤職員が急死している。深夜勤を終えた早朝、ロッカーで倒れて、そのまま心肺停止だった。局で深夜勤に従事しながら、昼間は別のアルバイトをしていたようだ。亡くなる数日前に帰りが一緒だった同僚によると、しんじつ疲れきった様子だったという。この人には二人の娘と老いた母親がいる。非正規雇用の低賃金だけでは生活ができなかったのだろう。 それにしても、同じ職場で、わずか数ヶ月のあいだに、ふたつの命が続けて失われたというのは、相当に異常な状況である。これは何を意味しているか。ひとつは、全国の職場でも同じような事態がおそらく進行しているだろうということである。深夜勤は人を殺す勤務なのだ。もうひとつは、正職員も非正規雇用の職員も、どちらもきわめて危険な状態に置かれているのであり、生存権をかけての両者の連帯が強められなければならないということだ。かつての全逓労組は、旧郵政公社時代のJPU労組への名称変更を経て、07年秋、ついに全郵政労組と合併した。労働者を使い捨て、使い殺しにする企業側の価値観に立った御用組合の出現である。統一セレモニーに忙しい組合官僚たちには現場の実態は見えてこない。その足元をひっくり返す闘いを創り出していく年にしたいものである。
by suiryutei
| 2008-01-19 09:13
| ニュース・評論
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Comments(2)
労働環境の悪化伝わってきます。
無念です。 正-非正規の分断を突破しないと 前に進まない状況にあるのが。
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Commented
by
suiryutei at 2008-01-20 09:42
YUKI-archさん、おはようございます。
雨宮処凛さんの弟さんは正社員で就職して、いきなり管理職にされ、一日18時間働かされたそうです。すると月収32万円でも時給換算では700円。バイトより安くなる。つまり正社員も非正規社員もやられ方の形態は違うけれど同じように搾取されている。分断を突破する鍵もここにあると思います。
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