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『伝送便』誌10月号に載る予定の文章を昨日、入稿した。 『フォーラム色川』のフィールドワークで木曽に行ったときの話。はじめは明治村のことも書くつもりだったのが、誌面一ページ分では収まりそうにないので馬籠と妻籠のことだけに絞った。 『伝送便』来月号は来週末には発行されると思う。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 馬籠と妻籠 近現代史を学んでいる友人たちに連れられて、犬山市にある明治村と木曽路の馬籠・妻籠を巡る一泊旅行をしてきた。近代化遺産と言うべき明治の建築物が明治村には全国から移築されているし、馬籠と妻籠は島崎藤村の小説『夜明け前』の舞台となったところ。我が国近代の息吹を、いくらかは感じとれたような気がする。 一日目は明治村。夜は名古屋駅に近いビジネスホテルに泊まった。歩いて行ける距離にある[菊井かつ]という串揚げ屋で飲む。ここの馬肉の串揚げが絶品だった。名古屋駅の近くということは、名古屋中央郵便局からも近いということであるから、本誌読者に同局で働いている人がいたら、ご存知かもしれない。西区那古野二丁目にある。 さて翌日は木曽へ。まず馬籠に向かった。 馬籠宿の本陣であり庄屋だった藤村の生家は、いまは藤村記念館になっている。その隣りの[大黒屋]という茶房で昼食。藤村が生きていた頃、ここは造り酒屋で、初恋の人と言われるおふゆさんはこの家の娘。 外は強い雨が降っている。肌寒い。熱い蕎麦をすすった。品書きに「七笑」があったから、これももらう。木曽の地酒である。 それからバスで妻籠に移動した。妻籠の本陣も島崎家で、こちらが本家らしい。藤村の母はこちらの島崎家から馬籠に嫁している。すぐ近くに脇本陣の林家があって、ここもかつては醸造業をやっていた。前述のおふゆさんは藤村とは結ばれず、この家に嫁に入った。昭和8年に倒産したというから、もう飲むことはできないが、「鷺娘」という銘柄の酒を出していたそうだ。 いったい、江戸から明治にかけての庄屋とかそれに準ずるいわゆる旧家には酒造業を営んでいたケースがじつに多い。そして、この階層から幕末には“草莽”と呼ばれる人々が輩出して維新へ向け活発に活動するのである。たとえば今年のNHK大河ドラマ『篤姫』では玉木宏が演じる坂本竜馬だって造り酒屋の倅である。坂本家というのは、土佐の豪商・才谷家が郷士の株を買って分家したものであって、才谷家は醸造業も経営する近代的ブルジョアジーとしての顔も持っていたのだ。司馬遼太郎は竜馬の開明性をもって「維新史の奇跡」と述べた。司馬さんは階級的な分析というものを頑なに拒むから奇跡というような言い方をされるけれど、マニュファクチュア段階のブルジョアジー(幕末の醸造業は一種のマニュファクチュアであろう)から民主主義的な気分と合理的思考を身につけた人物が出てきたからといって、それほど不思議がることはない。 しかし南国土佐に生まれた快男児の話はここでは措くとして、木曽谷の草莽たちが信奉したイデオロギーは平田派国学であった。青山半蔵(『夜明け前』の主人公)も、その例にもれず。万世一系の天皇の前に世界はひれ伏すという素朴な国学イデオロギーは、明治の絶対主義が近代的帝国主義とも混淆してゆく過程で祭政一致の奇怪な侵略思想と化して亡国へと導いていったことを青山半蔵(実在の人物としては藤村の父・島崎正樹)は知らずとも後世の我々は知っている。 菓子屋に「新栗!」と貼り紙されていたので、旅の終わりに土産は栗きんとんを買った。花季が長いことから百日紅と書くサルスベリはなお鮮やかだが萩は盛りを過ぎ、里はずれの棚田にギボウシの白い花と彼岸花の赤とがコントラストをなす。彼岸の木曽路に秋が訪れていた。 ※9月24日のブログに、当日の写真をUPしてあります。
by suiryutei
| 2008-09-26 10:25
| 旅行
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