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イスラエル最高の文学賞と言われるエルサレム賞が村上春樹に贈られ、その授賞式が15日に首都エルサレムで行われたが、村上さんはその授賞式での記念講演で、イスラエルによるガザ攻撃を批判したという。昨日(16日)の夕刊の記事で知った。 酔流亭は10日のブログに『大江健三郎と村上春樹』という記事を書いたけれど、あれは拙いながら酔流亭なりの村上春樹論のつもりであった。それを書いたすぐあとで、村上春樹にエルサレム賞が贈られたこと、今その賞を受けるのはイスラエルがやったあの殺戮を擁護することになるのではないかという声が出ていることを知った。だから、村上さんがどうするのか、酔流亭も気になっていた。村上さんの態度は立派だと思う。 酔流亭は村上春樹の本をいくらも読んでいないけれど、それでもいくつかは読んだ作品の中で一番印象に残っているのは、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』で主人公の影が主人公に向かって言う、こんなセリフである。 「・・・いいかい、弱い不完全な方の立場からものを見るんだ。獣や影や森の人々の立場からね」 「物事は一番弱いものの立場から見なければだめだ」 エルサレムでの記念講演では、村上さんは体制を壁に、個人を卵に例えて、「高い壁に挟まれ、壁にぶつかって壊れる卵」を思い浮かべた時、「どんなに壁が正しく、どんなに卵が間違っていても、私は卵の側に立つ」と強調し、「壁は私たちを守ってくれると思われるが、私たちを殺し、また他人を冷淡に効率よく殺す理由にもなる」と述べたという。イスラエルが進めるパレスチナとの分離壁を念頭に置いてのものであろう。 村上さんのこれらの発言は、『世界の終わり・・・』のあの言葉の立場を作者が貫いているということだ。そういえば、あの作品にも壁が登場していた。 イスラエルでは、政府の情報操作のせいだが、国民の9割以上がガザ侵攻を支持している。そこへ出かけて行って侵攻を批判するのは、よほどの強い意思と覚悟がなくてはできることではない。エルサレムに来たのは「メッセージを伝えるためだ」とも村上さんは語っている。 彼に拍手を送る。 ※関連する過去ログとして ☆『ガザの惨状を止めよ』(09年1月9日) ☆『大江健三郎と村上春樹』(09年2月10日)
by suiryutei
| 2009-02-17 10:05
| 文学・書評
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Comments(6)
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by
saheizi-inokori at 2009-02-17 10:51
>どんなに壁が正しく、どんなに卵が間違っていても
この部分に少しひっかかりました。 たとえ、だとしても、ということなんでしょうが。
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suiryutei at 2009-02-17 17:25
佐平次さん、こんばんは。
そこは私もちょっとひっかかったところです。ここは辺見庸氏なら、あるいは亡くなった加藤周一氏だったら、もっと明晰な言葉で諫言したかもしれないですね。ただ、聴衆が、おそらくはほとんどが侵攻を支持しているだろうイスラエル市民であることを考えると、あの言い回しは彼らへの働きかけ(説得術)の枠内と考えていいのではないでしょうか。
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suiryutei at 2009-02-17 17:28
酔流亭さん、ごめんなさいね。
僕はこう言う、うがったやり方嫌いです。
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suiryutei at 2009-02-18 19:06
YUKI-archさん、こんばんは。
まあ、人の考えはそれぞれですから。
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