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それにしても、日米安保にまつわりつく人たちの腐臭はすさまじい。 この激しい言葉は、いま発売中の雑誌『世界』二月号に載った寺島実郎氏の論文『常識に還る意思と構想』の中のもの(120ページ)。 この論文の副題が『日米同盟の再構築に向けて』であることでも知られるように、寺島氏は酔流亭などと違って日米安保条約を支持する立場に立つ。だが、その寺島氏をして上掲の言葉を吐かせたほど「アメリカを怒らせたぞ、さあどうする」と言わんばかりの言説の跋扈には酔流亭も目を覆いたくなる。寺島さんは、こうも書く。 「普天間問題を巡る2009年秋からの報道に関し、実感したのはメディアを含む日本のインテリの表情に根強く存在する『奴顔』であった。日米の軍事同盟を変更のできない与件として固定化し、それに変更を加える議論に極端な拒否反応を示す人たちの知的怠惰には驚くしかない」(118ページ)。 「奴顔」とは、20世紀の初めの中国で、植民地状況に慣れきった自国人の顔を指して魯迅が嘆いた言葉である。強いものに媚び、自分の置かれた状況を自分の頭で考える気力を失った虚ろな表情のことだ。 たとえば昨日(13日)の朝日新聞朝刊『オピニオン』欄における川上高司 拓殖大学教授の主張をみよう。「軍事的脅威がある限り必要」として在日米海兵隊の必要性を強調する。「沖縄に海兵隊が集中しているのは地政学的に重要だからだ。沖縄から台湾、朝鮮半島へは一日で部隊を投入できる。・・・」。 ところが川上教授は記事の後段では、こうも言う。 「例えば沖縄の海兵隊はアフガニスタンなどに派遣され、実際には沖縄にいないことが多い『バーチャルプレゼンス』」。 そうであっても沖縄に海兵隊の『戸籍』があることが相手への抑止力になるというのが教授の主張だが、しかしアフガニスタンの話が登場すること自体が沖縄にある米軍事力の性格を露呈するものだろう。それは極東の防衛というよりアメリカの覇権的な世界戦略のために存在しているのだ。アフガニスタンでアメリカがやっていることは他国への侵略であり殺戮ではないか。 朝日紙面に載っている川上教授の顔写真に、寺島氏言うところの「奴顔」を見ざるをえない。 寺島氏の論考に戻ろう。 「日米安保条約とは冷戦を背景に、暫定的なものとしてスタートした。その後1980年代末まで、東側との冷戦期の安全保障の仕組みとして『日米安保』が有効に機能したことは評価すべきである」(121ページ)。 冷戦であった時代には日米安保は必要であったし機能もしたという考えだが、酔流亭はこれには同意できない。というのは、日米安保のような軍事同盟こそが冷戦状態を形作ってもきたからである。だから、冷戦であったればこそ軍事同盟を解消に向かわせることによってそれ(冷戦)を解きほぐしていく努力がなされねばならなかったと思う。 だが、寺島氏が凡百の日米安保肯定論者と違うのは、次の認識。 「冷戦の時代を経て、1989年にベルリンの壁が崩れ、世界は冷戦後の時代へと入って行った。冷戦を前提とする『日米安保体制』も、世界情勢変化を背景として根本的に見直されるべきであった」(121ページ)。 つまりヨーロツパではある程度そう進んだように同盟の軍事的側面は大幅に削減・縮小されるべきだったし、そうできる条件も生まれた。ところが日米の間ではそうはならなかった。その反対に、1997年の『ガイドライン見直し』は軍事同盟の拡大つまり「世界のどこで起こった事態であれ、日本の平和と安全を脅かすと判断すれば、米軍と共同して動く可能性を開いてしまった」(121ページ)。 アジアで過剰となった軍事力を、過剰だから削減しようという方向に持っていかなくてはならなかったのに、そうはせずに世界中で使えるようにしてしまったのだ。 どうして、そうなったか。 「世界にも他に例がないほどの、受け入れ国が米軍基地の経費の七割を負担しているという事実が、逆に現状変更を困難にする要素になっていることに気付く。『米軍を配備するうえで、最も安上がりの場所』という認識が米軍関係者にまで浸透し、日米双方に『日米安保で飯を食う利害関係者』を増幅させてしまったからである」(122ページ)。 こうした状況を打破することを寺島氏は「現代における条約改正」と呼ぶ。 ※関連する過去ログとして ☆『普天間のこと』(09年12月17日)
by suiryutei
| 2010-01-14 11:32
| ニュース・評論
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