新人事制度 大阪での報告①~③
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酔流亭もそこの組合員であるJP労組の第三回全国大会が9日から千葉で開かれる。その議案について思うところを新聞『思想運動』に寄稿したので、以下に転写します。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「民営化反対」の旗を掲げなおせ! ~JP労組第三回全国大会とわれわれの課題~ 高校の授業料無償化から朝鮮学校を除外せよと先頭に立って旗を振った中井洽・国家公安委員長は、恥ずかしいことに我がJP労組の組織候補なのである。去年仙台で開かれた全国大会にも来賓として挨拶して、間近に迫っていた衆院選での応援を訴えていた。そうして自身も当選し、また実現した政権交代で国家公安委員長に就任、以来、目にあまる数々の言動である。差別・排外主義者を組織を挙げて支援したことに真摯な反省がなされねばならぬ。運動路線を巡る対立を超えて、この認識は全ての組合員に共有されるべきだ。 しかしながら、そんな反省が中央本部の口から聴かれることのないまま、今月9日から千葉で開かれる今年の全国大会で2010年度の重要課題として議案に提起されているのは次の三点。 ①「なんば奨二」勝利の取り組み ②組織基盤の強化 ③郵政改革への対応 「小泉なき小泉路線」を走るのか つまり前書記長を組織内候補として前面に立てて、頭は7月の参院選のことで一杯である。その選挙闘争は、政権与党の中で影響力を高め、JP労組がめざす「郵政改革」を実現するためと位置づけられる。ではJP労組がめざす「郵政改革」とは何か。政府案とほぼ変わらない。4月30日に閣議決定された郵政改革法案は、あれこれ混沌しているものの株式会社として民営化していくという方向は小泉改革と同じ。違いはせいぜいそのスピードである。あるいは小泉改革が特定郵便局に怨念をぶつけたのに対して、特定局長会をバックにした国民新党が噛む「民営化見直し」には特定郵便局の旧利権の回復を図る狙いがある、といったあたりの違い。JP労組はこれを全面支持するのであるから、小泉―竹中に対する呪詛という化粧をほどこしながらも、そのじつは政府・郵政労資あげて「小泉なき小泉改革」というレールを走っているのである。 だが、ダイレクトメールなど企業の大量発行物は採算を度外視して引き受ける郵便事業や、窓口の手数料だけが収入源の郵便局は、株式会社では「あまねく公平なサービス」を維持することはできない。儲からないところからは撤退する自由が無ければ株式会社はもたないからだ。新自由主義の波に乗って郵政民営化は海外でもひところ流行した。経営的にはとりあえずうまく滑り出したようにみえる例(たとえばドイツ)もあれば破綻した例(たとえばニュージーランド)もある。共通するのはユニバーサルサービスの破壊(郵便局の大幅減など)と、働く者の状況悪化が進行したことである。後者は、日本では郵便事業会社において正社員は9万人台に減ったのに対して非正規雇用社員は15万人を超したことに端的に現れた。全体の6割を超す非正規雇用社員の平均年収は200万円に届かない。郵政改革法案は「国民生活の安定向上」を謳うのに、その労働現場はワーキングプアの卸し元になっているのだ。人減らしが進み、訓練もおざなりな職場では死亡事故を含む労働災害が多発している。亀井静香・郵政改革担当大臣が打ち出した非正規雇用の正社員化は、このままでは社会の底が抜けてしまうという保守主義者なりの危機感からであろう。自分が影響力を行使できる郵政において雇用のあり方について範を示したいという志はよい。だが、その原資を稼ぐためとして郵貯の限度額拡大(一千万円→二千万円)などを持ち出すのであれば、せっかくの大臣の決断も郵貯拡大のためのダシということになってしまう。「非正規社員を一人正社員にすると年間200万円のコスト増」(5/15朝日朝刊)と言われる。非正規雇用が会社にとっていかに安上がりであり、働く者にとっては強搾取であるか如実だが、その是正は何を措いても果たされねばならない課題であってマネー・ゲームの帰趨に左右されていいものではない。郵政民営化論の錦の御旗とされた「郵貯が集めた金で国債が買われるから国家財政の赤字が膨らむ」とする論の誤りについては、本紙姉妹誌『社会評論』の2010冬号で触れた(『郵政民営化を「潰した」亀井大臣』)。それは原因と結果が逆立ちした議論である。だが、かつての財政投融資の焼き直しになるにせよ、あるいはよりリスキーな投資に向かうにせよ、郵貯は庶民の汗を吸い取って資本の利潤を潤すパイプである。民間銀行よりは安定した金融であるというのは、その半面にすぎぬ。 JP労組は郵貯の限度額撤廃を求めている。全てを事業の拡大にゆだねる労資一体路線が然らしめたものだが、それは誤りだ。民営化反対の初心に戻れ。利潤原理の恣の横行こそ掣肘されなければならない。 「新たな人事・給与制度」葬り去れ 議案では僅かに触れられているだけで、したがってその内容が組合員に充分知らされることのないまま、交渉妥結に向けて大詰めを迎えているのが「新たな人事・給与制度」である。現行の賃金制度も能力給の要素を持つものだが、「まだまだ格差が足りない」として、成績評価による増減を拡大しようとするもの。さらに基本給の大幅カット(三割減)によって低賃金構造の会社への作り変えが狙われる。これが導入されれば、前述の正社員化にしても、その内実は大きく損なわれてしまう。賃金そのものが削られた上で、成績評価部分では昇給できるのは社員のうち少数(35%)であり、半数は増減なし、15%の社員は減給になるのだから。言うまでもなく一番の毒は査定をめぐって“イスとりゲーム”を強いられること。日経連「新時代の『日本的経営』」が打ち出す、労働者同士がしゃにむに競い合うしか企業内で生き延びられないシステムの郵政版だ。この人事・給与制度の交渉妥結を許さず、さらには葬り去ることは今大会にあたっての最大の課題である。 さて旧全逓と旧全郵政の合併によるJP労組がスタートして三年目。労組内反対派は、主に旧全逓いらいの組合員になお残る反骨に依拠しつつ、中央本部の労資一体化路線に批判をくわえてきた。全国大会代議員選においても、反対派に不利な選挙制度にもかかわらず地区によっては反対派候補がそれなりの票を獲って奮闘していることは貴重な成果だろう。同時に、民営化を背景に、企業防衛意識が職場に浸透してきている現実からも目をそらせてはなるまい。われわれが依拠してきたものを労働者性と呼ぶとすれば、これが解体されようとしているのである。その状況に切り込み、どう立て直していくか、このことがいよいよ問われる。 ☆『郵政民営化を「潰した」亀井大臣』(10年1月10日) ☆『郵政民営化とは何であったか』(10年1月11日) ☆『真の対立点は何か』(10年1月12日) ☆『郵政、正社員化の陰で』(10年4月9日)
by suiryutei
| 2010-06-04 11:34
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