新人事制度 大阪での報告①~③
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『ゲゲゲの女房』と一緒に貸してもらった本。こちらは水木しげるさん本人の自伝的エッセイである。『・・女房』も面白かったが酔流亭はこっちのほうがもっと読み応えがあった。 いちばん印象に残るのはやはり、水木さんが片腕を失うことになる戦地での体験談だ。 翌日、上等兵が呼びに来た。 「何ですか」 「南方の第一線に行かされるらしいぞ」 「えっ」 南洋のラバウル行きとなったのだ。南の島へはつくまでに沈められる。うまくついたとしても玉砕という全滅死。いずれにしても、海のもくずと消えても惜しくない兵隊としてぼくが選ばれたのらしい。(74ページ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 船は七ノットくらいののろい速度で進んでいく。 これが、ちょうど、敵の潜水艦の魚雷の目標にもってこいなのだ。(78ページ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 現に、その前の船団も、その前の前の船団も、とちゅうで全部沈没させられていた。そして、それ以後、ラバウルに船団が派遣されることはなかった。(79ページ) これでは、ラバウルにたどり着いたのさえ奇跡的である。そして戦地では勿論さらに大変な目に遭う。左腕を失うのは、マラリア蚊に刺されて40度を超す熱で倒れていたとき。 そこへまた悪いことが重なってきた。敵が上陸してきて、敵機が爆撃してきたのだ。目の前がぴかっと光って、あーっといったら、腕の負傷で切断である。(92ページ) 水木さんの語り口はユーモアがあるし、深刻な体験もさらりと触れるだけ。生き残っただけでも僥倖という状況であったのだろう。 水木さんは1922年生まれ。戦争で「国のために」死ぬために育てられたような世代だ。召集令状を受ける直前のことは、こう回想している。 新聞やラジオでもエライ人たちが訓話をやった。スパルタでは、戦争に行く若者に、母親が生きて帰るなといったとか、国のために死ねるのは若人(わこうど)の特権だとかいうのだ。 若者たちは、まるで全国民におどかされて死におもむいているようなものだった。(70ページ) 抑制されたところに水木さんの表現者としての非凡が伺われる。これは優れた反戦の書でもある。 ところで本の題名は、水木さんは少年時代アホ扱いされていたことに由来するようだ。自分が興味を持てないことに対してはまったく頭が働かないタイプだったらしい。昆虫とか妖怪のことには小さいときから詳しかったけれど、算数なんかはまるでダメ。得手・不得手は誰にもあるが、それが極端なのである。酔流亭もちょっとそういうところがある。こういうタイプは学校では落ちこぼれてしまう。だが、「スタートにおくれたからといって、クヨクヨする必要はない」。そう「あとがき」に書かれた言葉に酔流亭も同感する。 『ほんまにオレはアホやろか』(ポプラ社) 762円+税
by suiryutei
| 2010-08-15 08:03
| 文学・書評
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Comments(6)
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by
ぴ
at 2010-08-15 17:47
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今日,終戦記念日ということで
「キャタピラー」を観てきました その前にゲゲゲの女房劇場番のCM流れたのでが, 何だかよかったですよ!
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今朝、枕もとにあるテレビのスイッチをいれたら、たまたま水木夫妻と荒俣宏の鼎談番組を放送していました。水木さんの飄々としてとぼけたような人柄がなんとも魅力的でした。
寝るのが大好きだという水木さん「幸福の値段(基準)を下げれば、そんなにあくせくすることはない」が人生訓とのことです。
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suiryutei at 2010-08-16 08:54
ぴさん、おはようございます。
『キャタピラー』、若松孝二監督の映画ですね。寺島しのぶさんがベルリン映画祭で女優賞を獲った・・・。 映画評をつい最近、新聞で読んだ覚えがあります。いい映画のようですね。 『ゲゲゲ・・』の劇場版のポスター、銀座松屋の『ゲゲゲ展』にも貼ってありました。
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suiryutei at 2010-08-16 08:57
この本は持っていませんでした。
「スタートにおくれたからといって~」いい言葉ですね。 日本の教育界の訓示にすべきですわー。我が家のもっぱらの話題は、荒俣さんが連ドラにチラッと出るのではないか。もしくは出たいとNHKをおどしているのではないかです。松屋・・こんでそうですね。漫画知らずの一般おばちゃまもくるので高橋留美子展をしのぎそう。
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suiryutei at 2010-08-16 09:55
ginsuisenさん、おはようございます。
この本、1978年に出たものが今年5月に新版となったようです。発行はポプラ社ですが、じつは印刷は私の知り合いの印刷会社がやっています。本が売れれば知り合いもすこし助かります。 ところで5月ごろだったかな、水木さんがドラマにチラッと出ていませんでしたか。
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