新人事制度 大阪での報告①~③
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新聞『思想運動』5/15発行号に寄稿した文章を転写します。 郵政労資における2011年春闘は5月13日、ベースアップなし、定期昇給の実施と一時金年間3・0ヶ月(正社員)で妥結した。一時金の昨年実績が4・3ヶ月だったのだから、1・3ヶ月分も一気に引き下げられることになる。なお契約社員(非正規雇用)は時給制社員の時間給は「年間を通じて交渉」、月給制社員の基本月額は1000円引き上げ、同一時金がこれまでの0・3ヶ月×1・8が0・3ヶ月×2・0と微増。これは元々が低すぎる。これまで一時金の金額は正社員平均の十分の一ほどだった。 営業赤字の大半は解消? この1・3ヶ月分の減額を組合員一人あたり平均で約50万円と考えてみよう。日本郵政グループ四社(郵便局・事業会社・ゆうちょ・簡保)の正社員は約23万人。50万に23万を掛ければ1150億。四社のうち問題の郵便事業会社における2010年度営業赤字1185億円はあらかたカバーされる。こんなふうに掛け算引き算をやられてしまうと、かねてからの会社の念願であった賃金引下げ(一時金だって言うまでもなく賃金の一部)を実現するために、あの昨夏の混乱だって仕組まれたのではないかと言いたくなってしまう。勿論これはいくらか穿った見方。経営を厳しい状態に自ら追い込むことでそれをリストラの起爆剤に転じるという思惑はかねてあったにしても、あそこまでは「想定外」であったろう。お中元ゆうパック遅配騒動は現場を知らない会社上層の机上の計算がもたらした。準備のないまま膨大な宅配業務を抱え込みパンクしたのである。日通ペリカン便を統合しての新会社JPEXが総務省の認可が下りず流産した時点で巨費に達していた赤字は、遅配・誤配によって生じた損害賠償、顧客離れ、「羹(あつもの)に懲りて鱠(なます)を吹く」式の年末繁忙期における臨時ダイヤ増便等々でさらに膨らむ。しかし、この連中、転んでもただでは起きない。経営者としての面子丸つぶれの自らの失態を、しかしリストラを実現するための好機へと逆転させることに、これまでのところ成功している。 成功したというのは、当面の大赤字をあらかた解消する目途を立てたことだけを言うのではない。「会社あっての労働者」という企業意識の刷り込みが、これを機にいっそう謀られようとしていることを指す。「赤字は会社の責任だし、それを俺たちにまわすのには腹が立つ。でも、会社がつぶれたら、やっぱり困るからなあ」と、いま不承不承ながら職場はこの「現実」を受け入れさせられていないか。それは「会社を守るためなら非正規雇用の切捨てだってやむを得ない」という方向へとただちに誘導されるのだ。すでにこの春、勤務時間や出勤日数を減らされたことによる減収のため他の仕事を探さざるをえない非正規雇用労働者が多く出た。“震災不況”も理由にしながら、もっとあからさまな非正規切りが今後すすめられようとするだろう。正規労働者は、よほど気をつけないとそれに加担させられてしまう。分断工作に乗せられてはならない。経営の責任を労働者に転嫁するな。正規・非正規がともに声を挙げよう。 ここに至るまで、会社の根回しはなかなかに周到であった。「郵便事業会社、一千億円を超す営業赤字!」と、まず東京新聞がスクープしたのが去年の大晦日。今年に入ってから、赤字額の数字が職場で繰り返し周知される。「どんなことでもいいから、危機打開のためのアイデアを出してください」と目安箱よろしく箱が置かれる。四月には経営の現状についての図解入り資料が社員全員に配布された。その冒頭、鍋倉真一・郵便事業会社社長は『信頼と誇りの回復に向けて』という一文を寄せて、こう述べる。「厳しい経営状況の最大の要因は、郵便の減収トレンドという構造的な問題です。このままの経営状態が続いた場合、我が社は債務超過に陥りかねません」。 ここにはゴマカシがある。郵便の減収はたしかに構造的。だが、資金ショートの恐れとまで尻に火がついたのはJPEXの失敗あってこそだ。「JPEX承継に係るものが841億円と(赤字の)大半」とは、会社発行の資料にだって明記されてある。社長はその前段でこれについて詫び言を口にしながらも、そのあとスルリと責任逃れをしてしまう。「このままの経営状態が続いた場合・・」と脅すけれど、いったい昨夏のような不始末をこれからも毎年くりかえすつもりか。 だから民営化は誤りなのだ もっとも郵便の減収が構造的なのも、それはそれとして事実だ。そこから引き出される結論は、郵政民営化はだから誤りだということである。人口減少やインターネットの普及によって郵便事業が扱う紙媒体は逓減していかざるをえないだろう。ただし、インターネットと紙媒体とは性質が違うから前者が後者に完全にとってかわることもない。この『思想運動』紙にしてからがウェブサイトを持っているが、そこにアクセスして読めるのは一面に載った主要論説のみ。電子メディアの情報は局所的なのだ。多様な情報を総合的に得るには紙媒体がなお必要である。それに郵便ネットワークに乗った採算度外視の物流が止まれば日本経済は(つまり資本の利潤追求活動は)完全にとは残念ながらもう言えないにしても今日でもある程度は麻痺してしまう。これを要するに郵便は社会的に必要なしかし衰退産業だということ。民間企業がやるには無理がある。世の中に必要であったとしても成長はこのさき見込めない産業に民間の投資家は手を出さないであろうから。その無理が祟ったのが宅配便統合であった。ともかく“成長分野”ではある宅配業界に手を出して大火傷したのである。 東日本大震災で日本郵政グループの人的被害は死亡36人・行方不明25人に及ぶ(四月二十五日現在)。多くは配達中や窓口業務中に津波に襲われた。全壊した郵便局61という数字もある。鍋倉社長が前出文で亡くなった人々に対して哀悼の意を表しているのにはわれわれも思いを同じくする。けれども、震災被害がさらなるリストラの理由とされることがあるとすれば、われわれはこれを肯うわけには断じていかぬ。リストラによって軽んじられるのは安全配慮であり、真っ先に槍玉に挙げられるのは非正規雇用労働者だが、今次災害のことに原発事故現場でこんにち進行している事態は、非正規労働者を使い捨てることを黙認してきた労働運動のこれまでのあり方をこれでいいのかと問うているのだ。働く者の権利と安全の確立、わけても非正規雇用労働者への差別をなくすことは郵政の労働運動にとっても最大の課題。JP労組全国大会は6月15日から川崎市で開かれる。中央本部の労使協調路線に抗しつつ反リストラの方針確立へ向け奮闘しよう。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ※『郵政リストラ吹っ飛ばそう!』をテーマに討論と交流の会を6月19日(日)に予定しています。酔流亭も会の呼びかけ人のひとり。 この会については、下の過去ログを。 ☆『こんな集まりを企画しています』(11年5月1日)
by suiryutei
| 2011-05-23 08:37
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