新人事制度 大阪での報告①~③
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新聞『思想運動』2011/10/01発行号に寄せた文章を転写します。 たなざらしされていた「郵政改革法案」が、この秋の国会で重要テーマのひとつに浮上してきた。東日本大震災の復興財源に日本郵政株の売却収入を充てる構想が取沙汰されているからである。株を売るには法案を成立させなければならぬ。かねて言われてきた「小泉民営化による歪みの是正」ではなく株売却益に惹かれての浮上であることに留意しよう。 現政権の法案と小泉民営化との違いは何か。小泉改革は全株式を売るというのに対し、三分の二を売るという違いである。国有企業を売り、歳入不足を補おうという財務省の思惑は貫かれているのであって、財政が悪化すれば株式は売られる。三分の一保有などいずれ変更になる。 さて日本郵政の株式の帳簿上の価格は9・6兆円。改革法案が定めるように三分の二を簿価で売ることができれば6・4兆円で、これは復興に必要な財源(5年間で15・5兆円と試算される)の4割を賄うという皮算用だ。しかし、ならばいっそ法案を修正して全株式を売ってしまえという揺さぶりは当然つよまる。法案に今日までのところ自民党が難色を示しているのは、この揺さぶりに他ならない。復興財源化には与野党双方の中に慎重論・反対論があり当面先送りされそうだが、株売却への圧力はこのさき強まること必至。現政権による「郵政改革」は、いま凍結されている小泉民営化と結局は同じレールを走るだろう。 ひるがえって、われわれは去年夏、本紙851号において「改革法案は白紙に戻せ」という主張を掲げた。そのとき小泉民営化法は凍結されたものの改革法案もまた不成立に終わっていた(その責任をとって亀井静香・郵政改革担当大臣は辞任)。そうして生まれたいわば空白を衝いて、民営化そのものに反対する大衆運動を起こそうというのが言わんとしたところである。国会内の勢力配置だけに目を奪われては、民営化反対(に近い)立場に立つのは共産・社民の絶対少数でしかない。これを打開するのは大衆運動の力である。ところが、予想せざるをえないことではあったが、そのような運動を作ることはできなかった。われわれ自身が非力であったし、共産党にしても社民党にしても大衆運動で事態を変えていこうとするより、本来の自分たちの考え(民営化反対)を曲げて「小泉よりはマシな」改革法案の条件付き支持へと吸い寄せられていった。郵政ユニオン・郵産労が社民・共産と同様おそらくは不承不承ながら法案成立を要求しているのは、その心情はわかる。宙ぶらりん状態では会社の将来の見通しが立たず、働く者として不安でしょうがないからだ。だが民営化法としての改革法の下で拍車がかかるのはリストラである。一方われわれが活動の主戦場をそこに置くJP労組はどうか。この労組中央が思考停止のまま法案成立に全てを託しているのは10月13・14日開催予定の中央委議案からも窺われる。先の見通しが見えないまま会社と一蓮托生する以外のことは思い浮かばないのである。それが御用労組の性(さが)と言ってしまえばそれまで。JP労組23万の組合員のみならず郵政で働く全ての労働者の生活と労働はこの労組の路線を転轍できるかどうかにかかっているのであり、そのための心ある全ての人々との協働をわれわれは追求していきたい。郵政法案の決着がどうつこうとつくまいと向後つよまること必定のリストラに対して職場から抵抗を創り出していこう。 支配層にとっての「郵政改革」の眼目は恐慌緩和のための財政出動に充てる資金をどう捻出するかで、震災復興はダシに使われているにすぎぬ。ゆうちょ銀行とかんぽ生命が保有する国債は計220兆円を超し、発行残高の約3割を占める。人々の汗としての貯蓄は、かつては財政投融資、今日では赤字国債購入というパイプを通じて公共事業の原資となり資本主義経済のカンフル剤となってきた。戦争がそうであるように災害さえビジネスチャンス来たれりと喜ぶような大資本は、このカンフル剤が無くては生きられないのだ。小泉路線との違いは、小泉は郵貯を潰し、そのパイプの役をもっぱら銀行に任せようとしたこと。両者の間に本質的な差はない。郵政改革を巡る支配層内の対立とは、沈みゆく船の上で誰が甲板の掃除をするかでケンカするようなものであった。そして船はいよいよ沈む。「30年代と似てくればケインズ政策しかない」(榊原英資氏 朝日9/16朝刊)と説かれても、主要資本主義国ひとしなみの財政危機はもはやそれをゆるさぬであろう。やる元手が無いのだ。かくて、ケインズ政策(財政出動)をやるための元手づくりと称して新自由主義路線(民営化)に引き戻されていく。郵政改革の迷走とはつまりそういうことであり、資本主義がどんづまりに立ち至ったことがそこから透けている。 「農村漁村の地域社会を支える社会基盤の柱に郵便局があります。地域の絆を結ぶ拠点として、郵便局が三事業の基本的なサービスを一体的に提供できるよう、法案の早期成立をはかります」。これは野田新総理が所信表明演説において法案にふれたくだり。口先では何とでも言えるが、東日本大震災で全壊した郵便局は61。利潤原理にのみ事業が委ねられるなら、被災地の郵便ネットワークはズタズタのまま放置される。「民営化反対」の旗を捲いてはならない。 ※関連する過去ログとして ☆『郵政改革法案をめぐって』(10年7月7日)
by suiryutei
| 2011-10-08 08:00
| ニュース・評論
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Comments(2)
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フーテン
at 2011-10-08 12:05
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「ウォール街を占拠せよ」と、たくさんの人がデモをしていますね。失業率が高く、貧困人口が増大していることに対して、行きすぎた市場原理主義や、資本主義の暴走に怒りを向けたものとみられています。昨日コメントさせていただいたジョブス氏は、6,000億円にも上る資産を持っているそうです。フーテンが学生だった頃、資本主義と社会主義をパイにたとえて説明してもらった記憶があります。社会主義ではパイは平等に切り分けられるが、資本主義ではパイの切り分け方は不公平だ。しかし、資本主義ではパイを限りなく大きくしようと努力するので、不平等な一切れでも十分に満たされる量を得られるようになるのだ、と。酔流亭さんが書かれている郵政「改革」に対する見解を読んで、「民営化」のトリックにだまされるな、ということだと思いました。でも以前、酔流亭さんのブログで反原発デモで逮捕されたひとがいることに触れられていましたが、闘うということは命がけですよね。「火の魚」でも折見とち子が、最後の命を燃やすようにして、島に引きこもってしまった老作家を変えていきますね。人や社会を変えることについての酔流亭さんの思いが、このブログには通底しているんですね。
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suiryutei at 2011-10-08 21:32
アメリカのあのデモは随分ひろがっているようですね。イギリスでの暴動といい、世界はやっぱり変わってきつつあるように思います。パイの話は私もむかし聞いたような覚えが。「十分に満たされる量を得られる」というのは、どうも幻想であったようです。
「火の魚」をご覧になっているのですね。私は原作は読んでいなくてTVドラマしか知らないのですが、魅了されました。
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