新人事制度 大阪での報告①~③
最新の記事
タグ
労働(124)
辺野古(46) 郵便局(43) 文学(31) コロナウイルス(31) 韓国(19) 朝鮮半島(12) 映画(11) NHK朝ドラ(10) ひよっこ(9) 大西巨人(9) なつぞら(8) 神田まつや(8) 労働者文学(8) 神聖喜劇(7) 関西生コン労組(6) 狭山事件(6) ブレイディみかこ(6) ケン・ローチ(6) 蕪水亭(6) 最新のコメント
記事ランキング
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... ブログジャンル
画像一覧
検索
|
小説家の丸谷才一さんが文化勲章を受章したと知ったのは、丸谷さんの随筆集『月とメロン』(文芸春秋社)を図書館に返してきたすぐあとのことである。その本は数年前に刊行されたもの。図書館の返却期間である二週のあいだに全部読むことはできなかったので拾い読みしただけであったけれど、ちょっと時間のあるとき丸谷さんの文章を眺めればいいやというつもりで借りたのであった(じつはこの本は二年前にも図書館から借りて、やはり拾い読みで終わっている)。 その拾って読んだいくつかの章に、服部之総が登場したり、安田徳太郎のことが話題になったりしている。服部之総は羽仁五郎と並び立つマルクス主義史学の巨星。安田徳太郎は医者として岩田義道や小林多喜二の遺体を検死して、警察発表とは違い、拷問死であることを明らかにした人である。かつて故・大野晋が丸谷さんについて語った言葉をまた思い出した。 「・・・挙げられた例文の中に反戦・反軍国的内容のものが多いことである。世間には丸谷氏の国字問題に対する姿勢を一見しただけで、氏を目して復古的なあるいは反動的な思想の持主であるとしている人もあるように見える。しかし、こういう文章にまで目を配り、かつその中の佳汁を取って全く無知の人々の目前に提示できることの背後に何があるか。それは見る人によって異なるかもしれないが、氏を簡単に復古主義者と断じるとすれば、話はそれほど簡単ではないと私には思われるのである」。 上の引用は、丸谷さんの『文章読本』が文庫になったとき(中公文庫)その解説として寄せられた大野さんの文章から。丸谷さんが名文の例として挙げた中に幸徳秋水の文章を始め「反戦・反軍国的内容のものが多い」ことに大野さんは注目したのである。 丸谷さんというと、旧仮名遣いを固守しているし、王朝和歌なんかにやたら詳しいし、それに山崎正和氏のような保守派と仲良しだったりして、大野さんが誤解するなと注意を促しているように、つい復古主義者に間違われそうだが、どうしてどうして。 最近亡くなった北杜夫の父上にも触れていたな。斉藤茂吉という人は短歌こそ抜群に上手かったけれど、論争のやり方はひどかったらしい。無茶な主張をゴリ押しして、それで相手が呆れ辟易し黙ってしまうと、勝った勝ったと喜ぶ。こういう手合い、今もいますね。酔流亭も時々この手でからまれる。茂吉には歌があったからまだ格好がついたけれど、何の能もないくせに彼の真似をやる連中は悲惨だ。 最後の章はスッポンの話。題に月が入る本の最後がスッポンの話題というのがいいですね。月とスッポンというのは、丸谷さんの文章と酔流亭のそれとの関係みたいだ。 ※関連する過去ログとして ☆『丸谷才一さんの語る服部之総』(09年11月26日)
by suiryutei
| 2011-10-28 16:05
| 文学・書評
|
Comments(2)
北杜夫は、純文学の数冊は購入しましたが、「マンボウ」シリーズのほとんどを本屋の立ち読みで済ませました。この作家のユーモアは大好きです。青春時代の思い出深い作家です。合掌。
0
Commented
by
suiryutei at 2011-10-29 16:47
umeさん、こんばんは。秋が深まってきましたね。
そういえば丸谷才一さんの『食通知ったかぶり』という本に、松本の[鯛万]という洋食屋に行って「ドクトルまんぼう」のことを思い出し、北杜夫が旧制松本高校にいた頃は戦争で物のないときで料理をたのしむどころではなかったろうと述懐するくだりがありました。
|
ファン申請 |
||