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『伝送便』誌の2月号に書いた文章を転写します。ちょうど視聴率トップになったり話題を集めているときなので、なかなかいいタイミングの記事になったなと自賛。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ TVドラマ『カーネーション』を推す 「今日、戦争が終わりました」。 「十何年も続いた戦争が急に終わったと言われてもな・・・」。 年末年始の一週間の休みのあと一月四日から再開されたNHK朝ドラ『カーネーション』の冒頭で、ヒロイン小原糸子(尾野真千子)は、こうつぶやく。一九四五年八月十五日のことである。さりげない台詞だが脚本家(渡辺あや)の歴史認識がしっかりしていることが窺える。というのは、あの戦争は一九四一年十二月から始まったと思い込んでいる人が少なくないからである。そういう人たちは日本が負けたのはアメリカの物量にやられたのだと考える。だから戦争に対しても本当の反省が出てこない。事実は、1930年代から日本は中国大陸での侵略戦争に深入りしていた。ヒロインの幼友達の勘助も、1937年に赤紙が来て大陸に出征している。勘介は気が弱くて、ヒロインに「このヘタレが!」といつもあしらわれているのだけれども心の優しい若者であった。ところが二年後に除隊してドラマの舞台・岸和田に帰ってきた彼は、人前に出てくることができず、魂が抜けたよう。心配するヒロインに「心を失くしてしまった・・・」とつぶやく。 勘助に何が起きたのであろうか。ドラマは具体的には語らないから推測するしかないのだが、軍隊の中で苛められたというようなことだけではないのではないか。彼が出征した1937年といえば、暮れに南京で日本軍による住民虐殺事件が起きている(南京事件)。虐殺は南京市内でだけ起きたのではない。日本軍が進軍する途中でも引き起こされていた。勘助が「心を失くした」のは、そうした侵略戦争の実情を目の当たりにしたからではないのか。敗戦が迫るころ勘助はふたたび召集され、一月後には死んでしまう。 さて『カーネーション』はファッション・デザイナーとして有名な小篠綾子の生涯をモデルとしたもの。女性のファッションなどおよそ縁の遠い私がこのドラマにすっかりはまっているのは、三年前のドラマ『火の魚』による。NHK広島放送局制作のこの単発ドラマが、やはり主演・尾野真千子、脚本・渡辺あやという『カーネーション』と同じコンビであった(原作は室生犀星の小説)。そのとき尾野真千子さんが演じたのは女性編集者。瀬戸内海の小島に隠棲する老作家のところに原稿を取りに通う。作家に扮したのはその頃すでに体内に癌を進行させていた原田芳雄である(原田は去年、死去)。偏屈な老作家はあるとき女性編集者を問い詰める。「オレの小説の感想、正直に言ってみろ」。すると彼女、作中に登場する若い娘が男に都合よく安易に造形されているのを「まるでメイドカフェのメイドでございます」。ところが都会から離れて何年もたつ小説家にはメイドカフェの意味がわからない。頭の中の原稿用紙に「冥土珈琲」なんて漢字を書いてみたりする。そんなやりとりをへて、やがて二人の気持ちは通うのだが、老作家の目には若い生命の象徴のような編集者は実は不治の病を抱えていた。『火の魚』はそういうドラマだった。 去年の暮、友人たちと職場で発行しているビラ(『VOICE-UP!』)の新しいのが刷り上がったので少し置かしてもらいに『伝送便』の事務所を訪ねた折のこと。事務所へはJR秋葉原駅から歩いた。メイドカフェの並ぶ通りを抜けて行く。ネオンを眺めているうち私の頭にも冥土珈琲の四文字が浮かんで、消えない。 ※関連する過去ログとして ☆『ドラマ「火の魚」のことなど』(10年10月10日)
by suiryutei
| 2012-02-04 15:36
| 映画・TV
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Comments(4)
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酔流亭さんも、すっかりカネラーですね。今日は、小篠綾子さんのドキュメントがありました。素朴でシャイな人柄・・高齢化時代の星として、渡辺あやさんが夏木さんに替えてでも、書きたかった「いつでも青春」がわかったような気がしました。
PC壊れていて、なかなかこちらにたどり着けず、遅いコメント失礼しましたー。
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ginsuisenさん、こんにちは。
あの番組、まだ視ていないのですが、妻が録画しておいてくれました。“おのまち”ちゃんがあと一か月だけというのは残念ですが、ドラマは最後まで快調に行きそうですね。上記文章のコピーを職場にすこし置いておいたところ「オレも毎日視てる」と何人からも声をかけられました。パソコンはやくなおるといいですね。
追記です。私もオノマチが~と思っていますが、渡辺あやさんとしては、老いてもなお青春していた、綾子さんを書きたかったのだなーと、思いました。この老人社会への時代への活力になるのではないでしょうか。さすがにハイビジョンで老け顔は大変かもです。夏木マリさんも気合を入れて、おばあちゃんをしてくれると思っています。あと、直子役の人いいですわー。迫力満点で。気に入ってます。新山さんもがんばってますし・・
直子さん、迫力ありますね~。ずっと前、まだデビューしたばかりの松嶋菜々子さんがヒロインだった朝ドラ(『ひまわり』だったかな)で、夏木さんはたしかヒロインの母親を演じていましたね。
それにしても、寒い今年の冬ですが、春(4月)が来ないでほしいような。
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