新人事制度 大阪での報告①~③
最新の記事
タグ
労働(124)
辺野古(46) 郵便局(43) コロナウイルス(31) 文学(31) 韓国(19) 朝鮮半島(12) 映画(11) NHK朝ドラ(10) ひよっこ(9) 大西巨人(9) なつぞら(8) 神田まつや(8) 労働者文学(8) 神聖喜劇(7) ケン・ローチ(6) ブレイディみかこ(6) 関西生コン労組(6) 狭山事件(6) 蕪水亭(6) 最新のコメント
記事ランキング
カテゴリ
以前の記事
2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 more... ブログジャンル
画像一覧
検索
|
三年前に製作されたTVドラマ『火の魚』の劇場版DVDを視た。今月発売されたばかり。つれあいがさっそく購入したのである。以前、NHKBSで放送されたものの録画も録ってあるのだけれど、なにしろ我が家は夫婦そろって熱烈なオノマチ信者であるからして。 ![]() これがどういうドラマであるかの説明は、以前『伝送便』誌に書いた文章から引こう。 「NHK広島放送局制作のこの単発ドラマが、やはり主演・尾野真千子、脚本・渡辺あやという『カーネーション』と同じコンビであった(原作は室生犀星の小説)。そのとき尾野真千子さんが演じたのは女性編集者。瀬戸内海の小島に隠棲する老作家のところに原稿を取りに通う。作家に扮したのはその頃すでに体内に癌を進行させていた原田芳雄である(原田は去年、死去)。偏屈な老作家はあるとき女性編集者を問い詰める。「オレの小説の感想、正直に言ってみろ」。すると彼女、作中に登場する若い娘が男に都合よく安易に造形されているのを「まるでメイドカフェのメイドでございます」。ところが都会から離れて何年もたつ小説家にはメイドカフェの意味がわからない。頭の中の原稿用紙に「冥土珈琲」なんて漢字を書いてみたりする。そんなやりとりをへて、やがて二人の気持ちは通うのだが、老作家の目には若い生命の象徴のような編集者は実は不治の病を抱えていた。『火の魚』はそういうドラマだった」。 (「カーネーションを推す」『伝送便』2012年2月号) これに付け加えると、尾野真千子さん演じた女性編集者・折見とち子のモデルとなったのは伝説的編集者で装幀家の栃折久美子、原田芳雄さん扮した老作家・村田省三はもちろん室生犀星がモデル。劇場版DVDはドラマ本体のほか渡辺あやさんのインタビューとかロケ撮影のときの様子も収められていて、信者には購入しただけの価値はある。 ![]() 「お前ら編集者が腹の中でオレのことを馬鹿にしているのはわかっているんだ。オレが今いかに愚劣なものしか書いていないかは自分が一番よく知っている」。 そこで折見は居住まいを正して、かつてと比べての現在の作家の低迷を歯に衣きせず弾劾するわけだが、その重要な会話が行われるのは、窓から海が眺められる村田の書斎(古い民家の蔵の二階を使ってロケしたとのこと)。 このとき村田は甚平姿で孫の手で背中を掻きながらしゃべっている。 さて朝ドラ『カーネーション』の後半で、娘三人も成長して自分はそれなりの年齢になったヒロイン・小原糸子が、茶の間で孫の手を使う場面が一回だけある。ごく短い場面であり、放送を視たとき今のはきっとオノマチのアドリブに違いないと思ったものだが、これは『火の魚』を思い出して原田芳雄に捧げたオマージュではなかったか。原田芳雄が亡くなったのは去年7月19日であった。 ![]() ※関連する過去ログとして ☆『ドラマ「火の魚」のことなど』(10年10月10日) ☆『「カーネーション」を推す』(12年2月4日)
by suiryutei
| 2012-07-26 20:29
| 映画・TV
|
Comments(2)
わー、お買いになったのですね。このドラマは、私は、録画してダビングしました。DVDは特典があるんですねー、なるほど。そうか、栃折さんですか。なつかしいなー。あこがれの人でした。銀花や暮らしの手帖などに載っていたんですよね。まだお元気のはず・・
0
ginsuisenさん、おはようございます。3日ほど留守にしていたもので、レスが遅くなって失礼しました。
ヒロインの折見という名字はともかく、とち子とは変わった名を考えたなあと最初思ったものですが、栃折久美子さんがモデルなら納得です。原田芳雄の老作家は戦後市川に移ってからの永井荷風みたいだと思ったのですが、室生犀星の晩年もあんな感じだったのでしょうか。 ともあれ、「カーネーション」での、巻き舌でどやしつける糸子とまた違ったオノマチは、とても魅力的です。
|
ファン申請 |
||