新人事制度 大阪での報告①~③
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蕎麦屋の食べ歩き日記として始めたこのブログだが、最近はデモへの参加を呼びかけることもある。たとえば昨日の日記。酔流亭も変われば変わったものである。 いや変わったのは世の中のほうかもしれない。数百人から始まった首相官邸前の脱原発デモには、今日では毎週金曜の夜、10万余(主催者発表)の人々が集まる。初めは知らん顔を決め込んでいたマスメディアも、さすがにもう無視できなくなって報道するようになった。のみならず様々な解説や分析を加える。一見したところデモに好意的な論調のようだが、「ちょっと違うんじゃないの」と言いたくなることもある。 たとえば朝日新聞の7月24日夕刊「文芸時評」に載った五野井郁夫・高千穂大学准教授の文章に、こうある。 「こんにちのデモでは見知らぬ人が出会い、そこで会話し、参加者はお互いに学びあう」。 この認識そのものは、そのとおりである。だが、ひっかかるのは、昔のデモはそうではなかった、政治党派や労組に動員されたものであって人々が(今日のように)自発的に参加したものではなかった、という前提に立って五野井氏が語っていることだ。「いまのデモには、かつてのデモに付きまとっていた暴力的なイメージはない」。 酔流亭に言わせれば、これはあまりに単純化された二項分類であって、事実の少なくとも半分を切り落としてしまっている。 酔流亭が初めてデモに参加したのは1971年、高校二年生のときで、ベトナム戦争に反対するデモであった。このデモでもやはり「見知らぬ人が出会い、そこで会話し、参加者はお互いに学びあ」っていたものだ。自分の息子くらいの年齢の機動隊員に向かって、戦争はいけない、アメリカのやっていることは間違っている、それを支持している日本政府も間違っていると諄々と説く年配の男性もいた。たしかに政党や労組が旗を振ったが、人々は自発的な意思でそれに応じたのである。ベトナム反戦運動そのものが、ベトナムという小さな国の人々に加えられていた巨大な暴力に対する、非暴力主義の抗議であった。 もちろんそれが当時のデモの全てなのではない。暴力化したものもあった。新左翼党派の学生たちはヘルメットを被り角材をふるって機動隊に突進しては弾き飛ばされていた。やがて学生集団同士が角材をふるうようになる。圧倒的な力の差がある権力には刎ね返されても、同じ程度の力量の集団同士の抗争なら勝つ場合もある。だから、むしろこちらに熱中しだす。角材は鉄パイプに、さらにはバールへとエスカレートしていって殺し合いまでやるようになった。 五野井准教授の分析が載っている7/24朝日夕刊の同じ紙面の別のコラム(『時の回廊』)に歌人・馬場あき子さんのインタビュー記事もある(『苦悶の姿を安保に重ね』)。60年安保のとき教職員労組の婦人部長としてデモの先頭に立った馬場さんは、そこで70年のころをこう回想している。 「60年安保のときに中学生だった教え子たちが学生になっていて、学生運動が分裂し暴力が始まり、ぼろぼろになっていった」。 これも事実であり、40年後の今日ではこっちのほうが印象として強く残っている。だから1979年生まれの五野井准教授はそれが当時の運動の全てと思い込んでしまったのだろう。 けれども、たとえば1972年の晩秋ベトナムに送られようとしていた米軍戦車に、ヘルメットも被らず道路に座り込んで立ちふさがった人々の闘いと、陰惨な内ゲバ合戦とを、それが同時代のことであったからといってごっちゃにしてしまうのは正当であろうか。7月16日に行われた「脱原発17万人集会」では、「全共闘」の旗の下に集っていた一団を見かけた。40年ぶりに集ったのであろう。これはひとつの例に過ぎず、伏流水のように地下を流れていたものがまた湧き出してきているのだ。この流れと、新たに動き始めた人々とは、分断されるのではなく正しく結びついていかなくてはならないだろう。
by suiryutei
| 2012-08-03 09:00
| ニュース・評論
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