新人事制度 大阪での報告①~③
最新の記事
タグ
労働(124)
辺野古(46) 郵便局(43) 文学(31) コロナウイルス(31) 韓国(19) 朝鮮半島(12) 映画(11) NHK朝ドラ(10) ひよっこ(9) 大西巨人(9) なつぞら(8) 神田まつや(8) 労働者文学(8) 神聖喜劇(7) 関西生コン労組(6) 狭山事件(6) ブレイディみかこ(6) ケン・ローチ(6) 蕪水亭(6) 最新のコメント
記事ランキング
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... ブログジャンル
画像一覧
検索
|
10月20日記事の続きです。こちらは新聞『思想運動』11/01発行号に掲載されました。 郵政における現行の賃金制度だってかなりの能力給である。賞与を例にとればAからDまで四ランクあって同一号俸の者の間でも最大で年間〇・六ヶ月の差がつく。月収三〇万円ならば年十八万円。少ない数字ではない。ふりかえれば、まだ郵政省だった一九九七年に導入された「新昇格制度」が当局による査定拡大への途を開いた。当時、全逓横浜の組合員だった芝久巳さん(小説家としては『四万十川』の著者・笹山久三氏)が同制度反対を訴えるアッピールを全国の組合員に発し、私などもこれに応えて職場で反対署名に取り組んだものだ。力及ばず導入を許してしまったが、上部機関からの指令以外は目も耳も塞ぐことが習い性になっているごく一部の役員を除く、ほぼ全組合員の署名を所属分会で集めた。続いて郵政公社時代(二〇〇三~二〇〇七)の二〇〇四年に、成果主義をはっきり打ち出した現行の人事制度がスタートする。 拡げられる格差 だが現行では格差がまだまだ足りぬと、会社およびJP労組中央が足並み揃えて持ち出してきたのが「新たな人事・給与制度」。しばらくもたついていたのが、これも一昨年の宅配便統合失敗による大赤字が再起動の起爆剤になった。新会社も発足したことだし、今中央委および来年二月の第十一回中央委で論議して、来夏の全国大会で妥結承認してスタートを切りたいという腹だ。詳述は避けて大略だけ述べれば、従来の基本給から二割を切り離し、これを「役割成果給」とすることで会社のサジ加減がもっと効くようにしようという。A~Eまでの五ランクに分かたれ、基礎昇給の四号俸に最高のAランク(全体の五%)なら四・八号俸が上積みされる。逆に下のほうのD(同一〇%)は基礎昇給分は上がるも、それと別に一号俸を引き下げられる。最低のE(一%内)は二号俸下がる。最大差六・八号俸で金額にすると七千四百円~八千六百円にも。しかも最低のE以外は相対評価だから全員が「成績優秀」だったとしても必ず下げられる層が出てくる。プラスマイナス〇のCランクが六〇%。下から一〇%のDランクならオレは陥らない自信はあるぞと安心するなかれ。その必ず生まれる「一〇人のうち一人」に入らぬためにと全体がどれほど激しい競争に投げ込まれることか。 賞与では前述した現行最大年間〇・六ヶ月差が一・三ヶ月まで押し広げられる。計算の基準になる号俸の昇給スピードは今のべたように年ごとに差がつけられるのだから、差はみるみる開いていく。 新一般職導入の狙い もうひとつの問題は「新一般職」なるものの新設である。正規雇用ではあるけれども従来の正社員と非正規雇用社員との中間くらいの待遇と説明されている。具体的には最高年収となるはずの五〇代なかばでも約四百五〇万円にしか達しない。転居を伴う転勤がないかわり役職登用もない。一〇月に提示された会社のシュミレーションでは退職金の最高額は約千二百万円。従来の正社員(地域基幹職という呼称になる)で標準的なC評価の主任なら一八八〇万円だ。非正規雇用からの正社員登用の全て及び新規採用のほとんどはこの先この新一般職にするというから、現在の正社員がやがて定年を迎え退職していけば郵政労働者の多くはこれになる。会社は、すこし時間はかかっても低賃金構造の会社への体質転換を労使交渉抜きに達成できるわけだ。この春、新一般職の構想が明らかにされたと同じ頃、斉藤次郎・日本郵政社長は会見で「郵政の社員の給料は他の物流会社のそれより二割がた高い」と不平を鳴らしていた。誇張であって、旧郵政ユニオンの調査によれば二〇〇八年時点で日通の四〇・四歳、勤続一七・二年の社員の年収は五九七万円。郵政の四二・一歳、勤続二〇・二年は六五〇万円。郵政のほうが高いといっても一割弱だ。しかし、新一般職導入の狙いどおりに郵政の年収がやがて四百万円台に下がった暁には、今度は「郵政に比べて他社の賃金は高すぎる」と、労働者全体の賃下げの材料に使われるのだろうか。こんなことはもちろん許してはならない。 亀井静香の正社員化構想がはや忘れ去られ、登用が針の穴のごとき現状では、新一般職がハードルをすこしでも低くしてくれるかという期待が生まれるかもしれない。会社も労組も格差是正に努めようとしている証がこれと言いつくろう人もいる。しかし、肝心の当事者たる非正規雇用の仲間たちの与り知らぬところで話は進んでいるのである。人数枠も今日に至るまで明らかにされていない。人をとことん飢えさせて、毒入りの饅頭をちらつかせるようなやり方だ。それでいいのか。 バイクで郵便を配達中に別のバイクに追突されての死亡事故が、つい最近も都内で起きた。配達中の交通事故は非常に多い。私は内務だから職場の外に出ることはないが、集配の労働者は事故の危険と背中合わせの毎日だ。大敵は急く気持ちだろう。時間内に配りきれず超勤をやればマイナス評価される給与制度が持ち込まれることがどんなに危険なことかと想像してみる。やはり反対の声を上げなければならないと思う。 ※この記事の前編は ☆『民営化の矛盾あらわに新会社発足』(12年10月20日) ※関連する記事として ☆『郵政「新人事制度」その他』(12年11月8日)
by suiryutei
| 2012-11-14 15:52
| ニュース・評論
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||