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『伝送便』誌新年号掲載文です。 新年の年賀状に、私は自作の短歌を二つ添えてみた。まず一首目。 この達磨 手あり足あり神技あり ただひとすじに蕎麦打ちてやまぬ 去年五月、飛騨にある馴染みの宿屋に行った。蕎麦打ち名人として知られる高橋邦弘さんを招いての蕎麦会がそこで開催されたからである。高橋名人はいま広島に[達磨]という店を置いて拠点としているけれど、日ごろ本拠そっちのけで全国を蕎麦行脚している。達磨とは幼少よりの彼の綽名。実際、丸顔の赤ら顔、小太りの風貌はダルマである。しかしダルマどころか、蕎麦好きの間では彼は神の如く崇拝されている。蕎麦会のあとの酒席で、畏れ多いかなと思いながらも箸袋の裏にその三十一文字を書きつけて渡すと、名人、まんざらでもなさそうな顔であった。 もうひとつの歌は、こう。 利彦と真柄の写真みかけたは何の縁(えにし)か比佐子忌の午後 これは秋に本誌の全国編集委員会に参加するため都内の麹町区民会館に赴いたときのこと。委細は本誌先月号に書いた(『黒岩比佐子さんのこと』)が、区民会館のロビーに堺利彦と娘・真柄の写真が掛けられているのが目に留まった。その日(十一月十七日)は、偶然にも黒岩比佐子さんの三回忌である。好著『パンとペン』で堺利彦ら我がくに初期社会主義者たちの姿を生き生きと描き出した彼女は、力を出し切ったかのように同書が刊行されて一月後の二〇一〇年晩秋に膵臓癌で逝去した。 そうして年賀状を仕上げて、あとはいよいよ新年を待つだけとなったとき、もう一首浮かぶ。 正月はたのしからずや朝に飲み夕べに呑みて妻と語らむ いま「年賀状を仕上げて」などと、いかにも自分で作ったかのように書いたけれども、パソコンの苦手な私のこと、作業は全て妻まかせ。ところが四週間のあいだに八度の深夜勤をやっている他、去年夏から本誌の編集作業の手伝いもするようになったので、家で夫婦ゆっくり夕食を摂れる晩というのがじつに少ない。だから、せめて正月くらいは夫婦でのんびり酒酌み交わそうかという思いを込めて詠んでみた。若山牧水の「白鳥は哀しからずや空の青うみのあをにも染まずただよふ」の替え歌ですけれど・・・。 余白がまだすこしある。去年の賀状に記した歌も紹介しましょう。 たのしみはビラを一枚書き上げて さかずき嘗め嘗め読み返すとき 橘曙覧という歌人がいる。幕末の人で、明治になってから正岡子規に高く評価された。この人に「独楽吟」と題する五十余首の歌があって、どれも「たのしみは・・・」で始まる。たとえば「たのしみはあき米櫃に米いでき今一月はよしといふ時」など。私が去年つくったのは、これまたその替え歌。どうもオリジナリティに乏しくて気がひけるけれども。正岡子規は「独楽吟」を評して「歌としては秀逸ならねど彼の性質、生活、嗜好などを知るには最も便(たより)ある歌なり」とした(子規『歌よみに与ふる書』)。私の下手な歌もそうしたものであればいい。実際、手書きのビラにせよ或いは本誌にせよ、出来上がったそれを眺めながら酒酌み交わすのは楽しい。この楽しさを、仲間とともに今年も繰り返し味わいたいと思っている。
by suiryutei
| 2013-01-02 08:32
| 身辺雑記・自然
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