新人事制度 大阪での報告①~③
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昨夜(09/25)、本郷三丁目HOWSホールで開催されたパネルディスカッション「完全民営化で働き方はどうなる?! 郵政職場からの報告」で、冒頭に行った発言は以下のとおりです。 JP労組全国大会報告 JP労組定期全国大会は先月、長野で開催されました。これからの働き方に重大な影響を及ぼす人事制度の変更が焦点でした。本部が提案した議案の投票結果は賛成336、反対124、無効3。つまり「新たな人事給与制度」というものが通ってしまった。その内容はおおまかに言うと二つの柱がある。まず昇給にあたって査定の幅を拡げることです。そしてもう一つは「新一般職」というものを入れる。これはいま世間で盛んに言われている「限定正社員」の郵政版と考えてください。これについては後でまた触れます。 まず大会における投票結果をどう見るか。本部提案が採択されたのだから、この一年間の私たちの闘いは敗北しました。これははっきり認めなくてはならない。次に、しかし124票という反対票は私たちが予想していたより多かった(別紙参照)。 何が反対票をここまで膨らませたのか。 「新人事制度」に対する不安はもちろんある。それ以上にJP労組中央に対する不信が拡がっているのではないか。それは大会直前の参議院選挙の結果によく顕われています。JP労組の中執、さだみつ克之氏は全国比例区でわずか12万票しか獲れず落選した。JP労組の組合員は24万人近くいるのに、その半分の数字しか獲れなかったのです。彼は原発には賛成だし沖縄へのオスプレイ配備にも何も言わない。そして改憲賛成です。福島県で高線量の下、バイクに線量計を付けて配達している組合員が彼に投票するだろうか。またJP労組の支部の中には沖縄に若い組合員を派遣して平和交流に取り組んでいるところもある。こうした活動をやってきた人たちが「さだみつ選挙」に力が入らなかったのは当然です。 つぎに微力なりといえども私たちの運動もまた反対票を膨らませる上で寄与したことは間違いないと思う。これは大会会場前でビラを撒いていて肌で感じたことです。我々は会場の中に入れないけれど全国からの代議員・傍聴者の中に『伝送便』の読者がいる。こういう人たちがビラを撒いている我々に声をかけてくれるのです。これには元気づけられました。逆にこの人たちも自分の持ち場で声を上げるとき『伝送便』誌の記事に力づけられたのではないか。 で、その私たちはどんなことをやってきたか。去年11月に『伝送便』の全国編集委員会が東京で行われまして、「新人事制度反対」の取り組みに全力を挙げることをその場で確認しました。プロジェクト・チームを作り私が一応キャップということになった。そして今年1月号から6月号まで半年にわたって「短期集中連載」という形でキャンペーンを張りました。新左翼党派の機関紙に載った記事で、この「集中連載」から丸写ししたような文章をいくつか散見しております。私たちのキャンペーンの影響がこんな形でも窺えます。 それから65歳雇止めに反対して裁判を闘っているNさんからは、65歳裁判原告第九準備書面において、『伝送便』記事ー短期集中講座 新人事給与制度をぶっつぶせー労働力政策、その不都合な真実ーを書証として提出したとのお便りをいただいています。あの学習会の記録はとても参考になるとも。 いま東京地裁で行われている裁判に記事を活用してくれているというのです。光栄なことです。 誌面でのこうしたキャンペーンの他、2月に東京で「U-sayネット」主催で20数名、4月には大阪においてJPネット大阪主催で約100名を集めての学習会が行われています。東京は人数がちょっと少なかったですが、100人を集めた大阪の学習会のようなものが、もっとあちこちで開催できたら全国大会の結果はまた違ったものになっていたのではないか。ここらあたりが私たちの運動の成果でありまた限界です。 郵政民営化の現段階 続いて郵政民営化の現段階を説明します。まず日本郵政にはどれくらいの人数が働いているか。別紙の表は一昨年春の数字ですから、ちょっと古い。この図では親会社たる「日本郵政」の下に事業会社・郵便局・ゆうちょ・かんぽの四社が並んでいますが、今は事業会社と郵便局がくっついて日本郵便になりました。人数も全体にもうすこし縮んでいます。しかしグループ全体で正社員が23万人くらい。非正規雇用の人が20万人くらいというところ。雇用人数は3万人くらいの金融二社(ゆうちょ・かんぽ)の儲けが、雇用人数40万人だが採算性の低い郵便事業を支えている。ところが民営化論者の関心はもっぱら金融二社なのです。小泉さんだって郵便事業は100%民営化しろとは言わなかった。政府が三分の一の株を持つ親会社・日本郵政による全株所有です。彼らは郵便事業のことなんかどうだっていい。今すぐ完全民営化しろとも言わないかわり金融二社が完全な民間会社になって郵便事業との関係が切れ、その結果、郵便事業が野垂れ死にしようが知ったこっちゃないのです。 その下の図。一番上の<民営化後>というのは小泉民営化の図です。これが民主党に政権交代したとき凍結されまして、真ん中の<改革法案三社案>というのはそのころ出されたもの。これは日の目を見ず、結局一番下の<改正案四社案>に落ち着いた。ミソはすったもんだの挙句ゆうちょ・かんぽは「全株処分」となったことです。つまり結局小泉民営化に限りなく戻ってしまった。違いは「10年以内」という期限を小泉は付けたけれどそれは入っていないということだけ。それでも民営化推進論者は「それでは不充分だ、民営化の後退だ」と不平ですが。 しかし何の規制も設けなければ最後は全株を売るところまで行きます。そのスピードにいくらかの違いが出るくらいだ。そしてゆうちょ・かんぽの金融二社が100%の民間企業となれば、国が三分の一の株は持つ日本郵政―郵便事業との関係は切れます。儲かる金融二社が採算性の低い郵便事業を支えるというこれまでの構図は成り立たなくなる。郵便事業はどういうことになるのか。ユニバーサル・サービスを放棄し、リストラをもっと進め、それでも追い付かず崩壊していくのではないか。 「限定正社員」をめぐって 最後に「新人事制度」の柱のひとつ<新一般職>を通して「限定正社員」の問題を考えてみたい。日経連の「新時代の『日本的経営』」による労働力のグループ分けを挙げておきました(別紙参照)。この3グループ化は有名です。しかし、この通りに進んできたかというと、真ん中に位置する「高度専門能力活用型」というのはあまり実態が無いのではないか。そういう労働者がいないことはないけれど数は少ない。他の二つと並ぶほどの存在でしょうか。じつはこれは当て馬で、あの提言の狙いは「長期能力活用型」すなわち正規雇用を抑え「雇用柔軟型」すなわち非正規雇用を増やすだけであったという説があります。 そして今度の「限定正社員」は「長期能力活用型」を二つに割って、より精鋭化された部分とそうでもない(したがって待遇も低い)部分を作るということです。「雇用柔軟型」と併せて労働力の新たな3グループ化です。 同時に、ここには私たちが考えなければならない問題提起も含まれています。従来の正社員のような働き方でいいのか、という問題です。これは「限定」という言葉より「ジョブ型正社員」として考えたほうが問題を捉えやすい。メンバーシップ型とジョブ型という対比です。私はジョブ型に変わっていったほうがいいと思う。企業の構成員(正社員)になることと引き換えに無限の忠誠を強いられるような、いわゆる「日本的雇用」の在り方がいいわけはない。しかし問題は、本来そう進むべき方向が資本に都合よく変形され労働者に不利益な形に歪められていることだ。「限定社員」をめぐる現在の議論はその典型のように思います。郵政の新一般職にしても、従来の正社員と大きな格差がつけられるわけだから、そこにおとされないために・そこから這い上がるために競争=労働強化が激しくなることは目に見えています。謳われているワークライフバランスどころの話ではなくなる。メンバーシップ型の抱える問題点には手をつけずに、そこからの脱却口としてジョブ型を提起するだけでは問題は解決しない。むしろ悪くなるのではないでしょうか。これは郵政だけの問題ではないので、のちほどの討論でもっと深められればいいと思います。
by suiryutei
| 2013-09-26 09:18
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