新人事制度 大阪での報告①~③
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『伝送便』誌今月号に寄稿した文章を転写します。 暮れの十二月十三日早朝、課の同僚が、深夜勤務明けの帰途、交通事故に遭って死んだ。 前夜の七時に始まって朝六時に終える勤務である。その十一時間に仮眠を摂れる時間はない。一時間の休憩を入れて実働一〇時間だ。六時をすこし過ぎた時刻に、道路を横断しようとしてトラックに跳ねられた。ほとんど即死だったと聞いた。 その日は私も同じく深夜勤であった。夜また出勤すると、始業前に休息室で 「今朝、交通事故で○○さんが・・・」 同僚たちが話している。 「怪我はひどいの?」 そう尋ねると 「死にました」 驚いた。ただ、同じ課といっても、元々隣り合わせだった別々の課が最近ひとつに統合された、そういう職場である。亡くなった人は、その隣のほうの人。非正規で働いていた。五〇歳。これまで親しく話をしたことはない。じつは「○○さん」と聞いた最初は別の人の顔を思い浮かべてしまったくらいである。数日後の葬儀当日、私は日勤だったけれども、深夜勤明けで今から葬儀に参列するという同僚と運よく朝ロッカー室で顔を合わせたので、些少ながら香典を彼に託することができた。その同僚は焼き場まで同道して故人の冥福を祈った。 交通事故というと、当人の不注意ということがまず言われる。現場は信号の無い横断歩道だという。不注意はあったのだろう。けれども、一晩寝ずに働いた後というのは、頭がいくらかはボウッとしている。不注意の背景に、深夜労働の疲れ、そこからくる注意力の低下がなかったはずがない。そして、その時間(早朝六時過ぎ)であれば、トラックを運転していたほうも深夜労働をくぐってきたところではなかったか。だとすれば、こちらも疲労と注意力の低下がピークに達していたろう。二〇一〇年、オーストラリアの研究者が行った「トラッキング」作業というものの実験結果が発表された。ゆっくり動く光の点を手で追わせて、その動きと時間との関係を調べたのである。午後十一時を過ぎたあたりから成績が急に悪化し、深夜から朝にかけては日本の基準では「酒気帯び」相当に飲酒させた被験者の成績を大きく下回った。 (深夜労働反対という)「お前の主張の宣伝材料に人の死を利用するのか」という反発が、あるいは寄せられるかもしれぬ。七年前、やはり職場の同僚が二人、わずか数か月の間にクモ膜下出血と心筋梗塞で相次いで急死したとき書いた文章(本誌二〇〇七年十二月号『二人の命を奪ったもの』)に対して、そのようなことを言われたことがある。 だが、脳・心臓疾患であろうが交通事故だろうが、こうした不慮の死と深夜労働による疲労の蓄積とに全く因果関係がないとは、私にはどうしても思えないのである。 亡くなった同僚の冥福を祈りつつ、このことを書きとめておかないわけにはいかない。 ※関連する過去ログとして ☆『二人の命を奪ったもの』(07年12月4日)
by suiryutei
| 2014-02-06 09:12
| ニュース・評論
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