新人事制度 大阪での報告①~③
最新の記事
タグ
労働(124)
辺野古(46) 郵便局(43) 文学(31) コロナウイルス(31) 韓国(19) 朝鮮半島(12) 映画(11) NHK朝ドラ(10) ひよっこ(9) 大西巨人(9) なつぞら(8) 神田まつや(8) 労働者文学(8) 神聖喜劇(7) 関西生コン労組(6) 狭山事件(6) ブレイディみかこ(6) ケン・ローチ(6) 蕪水亭(6) 最新のコメント
記事ランキング
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... ブログジャンル
画像一覧
検索
|
新聞『思想運動』09/15発行号に寄稿した文章を転写します。 今年五月の賃金支給日、大阪で郵便外務の仕事をしているAさん(三〇歳)は「給与支給明細書」を見て目を疑った。四月の賃金の振込額が十三万六九〇〇円でしかなかったからだ。四月の明細(つまり三月分の賃金額)では二十一万五一七七円が振り込まれていたのに。八万円近い減収である。どうしてこんなことになったのか。 今年四月からスタートを切った郵政の「新たな人事・給与制度」の目玉とされたのが「新一般職」導入であった。これが郵政版「限定正社員」とも呼ばれるのは、非正規雇用労働者から、その一部を従来の正規雇用とは待遇で大きな格差をつけて「正社員登用」したものであるからだ。Aさんは四月からその「新一般職」になった。三月までは月給制の契約社員で、基本給は二十六万九四〇円。時給換算すれば一五〇五円だった。通勤手当や祝日給やがそれに加算され、また保険や税金が引かれた結果が前記した二十一万数千円である。いっぽう新一般職の賃金水準は郵貯や簡保も含む郵政グループ全体の平均で三〇歳では十六万二六〇〇円。今回Aさんが手にした四月分の基本給は十五万九六〇〇円だった。それにやはり足したり引かれたりしたら、十三万六千円ちょっとしか残らなかったのである。 この事態をどう考えたらいいのか。確認せざるをえないのは、新一般職の本質とは正規雇用の低賃金化であったということである。労働契約法は二〇一二年の「改正」(施行は十三年から)によって、五年以上有期契約を反復更新してきた有期雇用労働者は希望すれば無期雇用に転換できるという新たな規定を設けた(十八条)。郵政新一般職はこの規定にそのまま従ったものではないにしても、それでも会社がこれを横目で見ていたのは言うまでもない。十八条だけでは、有期から無期に転換した労働者の労働条件については何の改善も保障されないのである。無期への転換を「正規雇用化」と位置づけなおし、けれども賃金など待遇面での改善は手を抜くならば、従来の正規と非正規の格差がそのまま正規雇用の中に持ち込まれる。前出のAさんの場合は、非正規のときは高いスキル評価を得て基本給に加算されていたのが登用によって加算部分が剥ぎとられたため「非正規と変わらない」どころか大幅なダウンになってしまった。スキル評価とは半年ごとに行われる習熟度のチェックで、Aさんの時給換算千五百円余というのは最高ランクである。新一般職としての基本給を時給換算すれば一〇五五円でしかない。 新一般職のモデル年収はどうなっているか。グループ平均の三九歳時点は四二四万円。連合構成員つまりほとんどが大企業の正規労働者における同年齢での平均額が五六〇万円(二〇一一年調査)だから、一三六万円も低い。のみならず問題はその先だ。最高額に達する五十四歳時点が四八二万円で、十五年かけて僅か五十八万円しか増えない。その時期が子どもの教育費など一番金が必要なのに。限定正社員について「解雇しやすくするもの」という批判は間違ってはいないけれども、生活給の破壊というもうひとつの本質がやや看過されてこなかっただろうか。 さて改正労働契約法には正規・非正規の均等待遇も盛り込まれた(二〇条)。闘い方次第では労働者の武器となる規定であって、現に郵政ユニオンに所属する非正規労働者がこれを手に裁判闘争に起ち上がった。私たちはこの闘いを全力で支援する。資本の意図も一瞥しておくならば、均等を非正規の低待遇に合せて実現したいというのが彼らの肚である。十八条からもそれは窺える。すなわち限定正社員の拡大がその受け皿なのだ。そんな転倒を許さぬためにも、法律だけに頼るのではなく、重要なのは職場からの闘い。多数派のJP労組は知らぬ顔を決め込んでいるが、この労組の中でも裁判支援の闘いを創り拡げていきたいと思っている。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 『限定正社員』をテーマにしたHOWS講座は明後日。報告では上掲の記事も活用する予定です。 9月24日(水) 拡大する限定正社員問題 ── 郵政現場に導入された新人事制度のなかで 報告=土田宏樹(JP労組) 18時45分~ HOWSホール 東京都文京区本郷3-38-10 さかえビル2階 小川町企画内 TEL.03(5804)1656 FAX.03(5804)1609 http://www.hows.jpn.org/
by suiryutei
| 2014-09-22 10:12
| ニュース・評論
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||