新人事制度 大阪での報告①~③
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先週は月・火・水曜が出勤、木曜日が休みで金・土とまた出勤。いずれも昼間の勤務である。今日と明日は休んで明後日の火曜日は3月31日だから、この日に「定年退職」の辞令を受けることになる。つまり現役としての現場での労働は昨日の土曜日が最後であった。 朝9時から午後5時45分までの勤務である。早朝の5時45分に起床。熱々の味噌汁と炊き立てのご飯で朝食を摂っている間に連れ合いがお弁当を作ってくれる。「再雇用」となる4月からは出勤日数が大幅に減るので弁当はもういいよと言ってあるから、これが最後のお弁当になる。鶏の唐揚げ(プチトマトとレタスが添えてある)・塩鮭の切り身・バターで炒めたアスパラガス・椎茸の煮たの。酔流亭の好物ばかり。あと卵焼きも焼くつもりだったそうだが、これでオカズ箱がぎっしり一杯になって、もう入らない。 オカズ箱とご飯と二段になっている弁当箱とまだ読んでいない前日の新聞(朝日)と文庫本一冊(吉田健一著『金沢』講談社文芸文庫)をカバンに入れ、7時少し前に家を出た。駅まで連れ合いが車で送ってくれる。 行きの通勤電車の中で新聞を読むのと帰りは神田で途中下車して蕎麦の[まつや]で一杯やる(これは毎日というわけではないけれど)のが出勤にあたってのたのしみであった。4月からは、このたのしみも回数が減ってしまうけれど。 業務が一番錯綜するのは金曜の深夜だが、土曜の昼も結構たいへんである。前夜からの忙しさが持ち越される恰好だ。この日の酔流亭の担務は、全国また都内各郵便局から運び込まれる郵便物の受け入れ。ほとんどトラック輸送だが、羽田からの航空コンテナや稀に鉄道コンテナ便もある。動き回っているうち正午になり、前述した弁当を開いた。美味しかったですよ。仕事ではうっかりミスの多い酔流亭が職場でのことで唯一胸を張って言えるのは、これまで弁当は全てご飯粒ひとつ残さず完食してきたことである。これは自分が自慢することではなく連れ合いに感謝する筋のことですね。 午後の時間もどんどん過ぎて行く。5時45分の勤務終了まで1時間を切るところまできた。 「今日は会えないな」 女性のトラック運転手Oさんのことは前にも書いたことがあるし、去年発表したルポルタージュ『深夜労働』(雑誌『労働者文学』No.75掲載 2014年度労働者文学賞受賞)にも彼女は登場する。この人が埼玉のほうの郵便局から荷を運んでくるのはいつも午後4時前後なのだ。5時近くなっても姿が見えないというのは、今日は休みなのだろう・・・と思っていたところに彼女の運転するトラックが入線してきた。道がだいぶ渋滞していたという。やはり年度末である。 「オレ、今月いっぱいで定年」 「おめでとうございます!」 「でも、まだ再雇用で残るから」 「ここで? 良かった!」 そう親指を突き上げてみせたOさんはショート・カットだから『じゃりン子チエ』みたいで可愛らしかった。『じゃりン子チエ』というのは1978年から約20年、雑誌『漫画アクション』に連載された漫画で、ヒロインのチエは大阪のホルモン焼き屋の娘(20年間ずっと小学生だった)。 もうじき勤務時間終了というところに羽田空港からのトラックが到着した。熊本と那覇からの航空コンテナを積んでいる。4台のコンテナに積み込まれた郵便物を積み下ろすことが酔流亭の現役最後の仕事になった。20本入り瓶ビールのケースを一回り小さくしたくらいの大きさのケースに郵便物がぎっしり詰まっている。ビールケースに負けないくらい重いのや軽いのや重さは様々。まず熊本からの2台を処理し、残る那覇からの2台にとりかかった。 この時間に那覇から届くコンテナにはその日の『琉球新報』と『沖縄タイムス』も積まれている。この2紙は首都圏にも読者が多いのだ。どちらも一面は辺野古のニュースである(積み降ろし作業をしていれば一面の見出しくらいは自然、目に入る)。中央のマスコミが報じない、あるいは報じてもほんの僅かの紙面しか割かない沖縄現地の声を伝えている。 これは偶然のめぐり合わせなのだけれども、40年間に及ぶ郵便労働者としての現役最後の仕事が、沖縄の声を伝えることに関わるものであったことを心から嬉しく思う。 一緒に作業をしたのは非正規雇用の気持ちの良い若者である。 「ご苦労さまでした」 「お世話になりました」 こう挨拶して、勤務を終えた。
by suiryutei
| 2015-03-29 10:44
| 身辺雑記・自然
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Comments(2)
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隅田のカッパ
at 2015-03-29 19:17
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こんばんは。最後までご苦労さまでした。先日、豊田正子と「小さいおうち」をご紹介いただきありがとうございます。ほんとに偶然で面白いですね。きょうのブログは、一個の小説になってますよ。奥様が作ってくださるお弁当を残さず食べることは大変重要なことで、誇っていいことですよ。写真に出ている、弁当箱を包む布の赤色がとてもいいですね。弁当の中身がいかにすばらしいかその布の色から想像できます。仕事柄見聞した離婚の場合、大体最初の夫婦関係の破綻は、飯がマズイなどということが発端になることが多いです。食事に対する見方はその人の文化程度を表しているので、不味かったら自分で作ればいいのに、男の女性に対する蔑視がいかにつよいか。
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suiryutei at 2015-03-29 21:28
墨田のカッパさん、こんばんは。
お弁当の中身も写真で公開したいところでしたが、それは連れ合いが恥ずかしがるだろうし、そもそも撮る前に私の胃袋に収まってしまいました。布は季節に応じて色々替えてくれました。秋なら月にウサギの絵が入っているものとか。 映画『小さいおうち』もなかなか良かったです。倍賞千恵子さんは十代の頃からファンでしたが、とても魅力的な老女になりましたね。声は寅さんの妹さくらのまま若々しかったです。
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