新人事制度 大阪での報告①~③
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しばらく更新をサボッていました。言い訳をすれば連休や正月はブログのアクセス数も減るので、その期間はお休みしてもいいかな、と。 でも大型連休も明日まで(10日までの人もいるかな)。家を空けていた人たちもそろそろお戻りか。ぼつぼつ更新を再開したいと思います。 まずは『伝送便』今月号に書いた記事の転写です。同誌を定期購読している方はもう読んでくださっていると思うけれど。 四月初めの、都心では桜が散りかけた頃である。旧知の人と連れ立って都内の蕎麦屋に行くと、小泉純一郎氏がそこに客として居るのと鉢合わせた。あちらも旧知らしき人たち数人で酒を飲んでいる。 ナマ小泉を見たよと、後日、職場の友人に話したら、 「酒が不味くなったんではないですか」 たしかに郵政民営化断行の首謀者・小泉氏は我ら郵便労働者にとっては恨み骨髄の相手。しかし、あの日あの場での彼の振る舞いには人を不快にさせるようなものはなかった。静かに飲み語らい、勘定を終え店を出るときは周囲に軽く会釈する。私も会釈を返しましたよ。そうして思った。個人的に付き合ったとしたら彼はきっと面白い人だろう、と。それにしても氏は今日の郵政株式上場の動きをどんな思いで見ているのだろうか。小泉氏の動向でこの頃なにかニュースになるとすれば例の脱原発のことばかり。郵政について何か言ったという話は聞かない。氏の脱原発が本心からのものであればそれはそれで結構で、文句をつけるつもりはないけれども、二〇〇五年の夏には広島の原爆慰霊式に出席しても平和公園での記者会見でさえ話すのは郵政民営化のこと、被爆者代表にも会わず東京に取って返した人である。株式上場という民営化にとっての重要局面に来てのこの淡泊ぶりはちょっと不思議な気もする。 小泉改革から政権交代まで 二〇〇五年夏、郵政民営化関連六法案が参議院で否決されたのを受けて、同法案の是非を問うて衆議院解散に打って出た小泉氏は、第四十四回衆議院選挙で自民党に圧倒的多数をもたらし、郵政民営化へ血路を開いた。民営化法が成立したのは同年一〇月十四日、日本郵政公社が解散して民営化がスタートするのは二年後の二〇〇七年一〇月一日である。 ところが、二〇〇六年に小泉氏が退陣したあと安倍(第一次)→麻生と政権が替わっていった下、二〇〇九年夏に行われた第四十五回衆議院選挙では今度は民主党が大勝する。民主・社民・国民新三党連立の鳩山由紀夫内閣は郵政民意化の見直しに動くのである。格差と貧困の拡大をもたらした小泉流改革に対する人々の不満が政権交代の背景にはあったし、その小泉流の象徴が郵政民営化であったからだ。 けれども、小泉流改革に対する不満を背に受けたといっても、ではあのとき成立した民主党中心政権が働く者の立場に立って進もうとしたかといえば、これは今日ふりかえれば一層明らかなことだけれど、残念ながら否だったという他ないだろう。普天間基地県外移設を打ち出しながらもそれを貫かなかった鳩山由紀夫氏の“挫折”のあと政権を継いだ管直人氏も野田佳彦氏も、その沖縄に対する姿勢は歴代自民党政権と変わるところはなかったし、労働政策では民主党中心政権の置き土産であろう二〇一二年の労働契約法改正は企業の手を縛るにしては抜け道も用意されているのは本誌前号でも指摘した(拙稿『労契法十八条と新一般職問題』)。 民営化「見直し」の推移 では郵政民営化の見直しは? 民主党中心政権が当初構想した郵政改革法案と二〇〇五年成立民営化法との一番大きな違いは、郵便貯金と簡保の金融二社について民営化法が一〇年以内に全株を処分するとしたのに対して、改革法案は株の処分は三分の二まで、三分の一は親会社たる日本郵政株式会社が持ち続けるとしたことである。その親会社・日本郵政の株式は国が三分の一を持ち、三分の二は処分するというのは民営化法も改革法案も同じ。三分の一保有にこだわるのは、それだけの株を持っていれば株主総会における特別決議(事業譲渡とか合併など会社の基礎がひっくり返されるような事態)を阻止できるからだ。これについては当時から 「亀井さん(民営化見直しを主導した国民新党の亀井静香氏のこと)大丈夫ですか。あなたの改革は小泉路線と変わらない道を歩んでいるのですよ。財政が悪化すれば株式は売られる。三分の一保有などすぐ変更になる。・・・新政権の郵政案は、小泉案の路線上と見るのが正しいだろう。それでよいのか」(雑誌『世界』二〇一〇年三月号誌上での経済学者・伊東光晴氏の問いかけ) といった批判があった。が、その程度の改革法案さえ結局日の目を見ることはなかった。与野党合意(この時点ではまだ民主が与、自民が野党)成って二〇一二年四月に成立した法律は、その名も改革法から郵政民営化法等改正法に変更されて、名称からして更に腰が砕けたことを印象付けられたものだ。親会社・日本郵政による金融二社株三分の一保有は取り下げられ、全株処分に戻った。これでは小泉路線と何も変わらない、大山鳴動して結局ネズミ一匹出てこなかったではないかと当時私などは冷ややかたらざるを得なかった。すると小泉氏が今日、郵政については何も語らず、昼下がりの蕎麦屋酒なんぞ愉しんでいられるのも、この問題については自分が敷いたレールがひっくり返されることは最早ないという自信の顕われであろうか。 二匹の鼠 けれども上場が具体化してきたこの期になって思う。老獪な亀井静香氏は、後退を強いられながらもギリギリの仕掛けは打ったのではないか。というのは、あのときの郵政民営化を巡るスッタモンダから、少なくとも鼠が二匹は這い出したからである。一匹は、かつての民営化法にあった金融二社全株処分まで一〇年という期限が民営化等改正法ではなくなったことだ。小泉さんが敷いたレールの方向は変わらなくとも、そのレールの上を走る機関車のスピードが落ちたのである。 もう一匹は郵便のみならず金融にもユニバーサルサービスが義務付けられたこと。誤解しやすいのだが、金融にもユニバーサルサービスが課せられたというのは郵貯・簡保の金融二社に同サービスが課せられたというのとは違う。課せられているのは日本郵政と日本郵便だけである。この両社は自分では金融業なんかできないから、金融業務をやる会社(現時点では郵貯と簡保)を繋ぎ止めておくなり新たに探し出してこなくてはならない。ところが、株式売却が進み日本郵政のコントロールから離れた暁、民間金融会社たる郵貯と簡保は儲けの出ない過疎地で郵便局の窓口に業務を委託するであろうか。業務委託手数料に加えて、それへの消費税だってかかるのである。同様の理由から、他の民間銀行や保険会社が手を出すとも思われない。 だからであろう、職場で配布された説明資料にも 「株式上場後も過疎地におけるユニバーサルサービス提供をとりやめることは現時点では予定していない」 と書かれている。ユニバーサルサービスはやめないということに力点があるのか、現時点ではという但し書きのほうが本音であるのか、なかなか微妙な表現である。つまり法律が書き変えられてユニバーサルサービスが削除されることを会社は視野に入れているのだ。 実際、郵政民営化法等改正法は、金融二社全株処分を取り下げるか金融のユニバーサルサービスを放棄するかの選択を早晩迫られるであろう。この二つは両立しない。その一方(ユニバーサルサービス)を公然かつ強引に切り捨てにかかったのが小泉民営化であった。その突破力は敵ながら天晴れと言えぬことはない。 抵抗の時空間へ 私たちはどうするか。ユニバーサルサービスは維持されるべきであろう。なら小泉路線の逆を張ろう。少なくとも金融二社の株式売却をやめさせなくてはならない。『日本郵政の株式上場を問う』と題して先日都内で開催されたシンポジウムの模様については今号に報告記事が載る。同シンポジウムは<株式上場にあたっての提言>として、上場は親会社の日本郵政株式会社だけとすることなどを挙げた。政策面では当面ここが抵抗線となろう。もっとも金融二社の株式処分がどう推移しようと、日本郵政の株が上場され売却が始まれば民営化は進む。採算がとれないからこそ国営でやられてきた郵便を民間企業として採算がとれるようにしろというのは無理難題である。その無理難題に乗じて労働現場ではリストラが進むだろう。これへの抵抗が職場に創られなくてはならない。郵政産業ユニオンが取り組んでいる労契法二〇条裁判や六五歳定年裁判はそうした抵抗線となるものだし、JP労組内にいる仲間は上場成功に向け会社と二人三脚という同労組の愚方針を覆すために闘おう。亀井氏がおそらく予想したように株式売却は簡単には進まず、一種の膠着状態が現出するであろう。それは私たちの抵抗を広げる時空間ともなりうるのだ。
by suiryutei
| 2015-05-05 11:09
| ニュース・評論
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