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昨日は第一月曜日だったから、夜は恒例の防衛省前抗議行動に参加した。もちろん辺野古への基地建設に反対してである。午後から雨になったけれど、6時半からの一時間ほどの行動の間は雨脚も弱かった。そうして夜が深まっていくと、じき上がった。 行動には140人が参加。今月30日(日曜)には、これも恒例となった新宿デモがある。午後2時、アルタ前に集合だ。 今朝は秋晴れ。しかし気温はおそらく30℃を超えて真夏の暑さになるという。 さて『伝送便』誌10月号掲載の文章を転写します。 夏も終わろうとする頃、金沢市内にある石川近代文学館に行ってきた。詩人・濱口國雄の展示が見たかったからである。福井県に生まれた彼は、<風土に育まれた文学―加賀・能登・金沢の作家―>という部屋に、藤沢清造や鶴彬ら北陸出身の文士たちとともに展示されていた。よく知られた『便所掃除』という詩が掲げられている。 私がこの詩を知ったこと自体はずいぶん前だ。映画『男はつらいよ』の第二六作『寅次郎かもめ歌』(一九八〇年、マドンナ役は伊藤蘭)に定時制高校が登場する。教室で国語教師が読み上げ、「どうだ、詩っていいものだろう!」(記憶が不正確だけれど確かそういう意味のセリフだった)と生徒たちに問いかけるのである。このとき教師を演じていたのは松村達雄で、彼は寅さんシリーズの六作目から一三作目まで「おいちゃん」役だった。 濱口國雄は国鉄労働者だったから、仕事で駅構内の便所を掃除する体験から生まれた詩だろう。駅に限らず、公共の場の便所というのはあまりきれいには使われない。 扉をあけます 頭のしんまでくさくなります まともに見ることができません と詠い出され、それを清潔に磨き上げる過程が描かれて もう一度水をかけます 雑巾で仕上げをいたします クレゾール液をまきます 白い乳液から新鮮な一瞬が流れます そうして 便所を美しくする娘は 美しい子供をうむ といった母を思い出します 僕は男です 美しい妻にあえるかもしれません と結ばれる。映画に出てきた国語教師でなくとも「詩っていいなあ」と思う。しかし、作者の濱口國雄がどういう詩人であったかを私が知ったのは、ごく最近のことだ。ことし刊行された『朝鮮半島と日本の詩人たち』という本(卞 宰洙著 スペース伽耶)によれば、彼は一九二〇年生まれ、二〇歳のとき召集され中国・フィリピン・ベトナム・ニューギニアを転戦して四四年に捕虜になる。戦後復員して国鉄(現JR)に就職。国鉄労働組合(国労)の活動に身を投じながら詩人としても活躍して一九七六年、まだ五六歳の若さで亡くなった。 『朝鮮半島と・・』と題された本に濱口が採りあげられているのは、たとえば『むくげの花』のような詩を書いているからだ。槿(むくげ)とは、言うまでもなく朝鮮を象徴する。 花びらの芯から呻きがきこえてくる。 血を流しているむくげの花よ。 花を愛したことで人は殺害された。 花を植えたことで人は投獄された。 引裂かれたむくげの花。 朝鮮よ。 こう詠い出される詩の合間には「笞刑執行心得」なるものの文章が挿入されている。「笞刑は受刑者の両手を左右に・・・袴を脱し臀部を露出せしめて執行・・・」。朝鮮総督府が制定したもので、ほとんどは思想犯である朝鮮の囚人たちにムチ打ちの刑を加えるときの注意事項をこまごまと書く。植民地支配がいかに非道なものであったかが浮き彫られる。 朝鮮の人々に日本が何をやってきたか。濱口國雄の詩はもっと多くの人に読まれるべきである。
by suiryutei
| 2016-10-04 08:46
| 文学・書評
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