新人事制度 大阪での報告①~③
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新聞『思想運動』No.997(3月1日発行)に書いた記事を転写します。 二月一五日のHOWS講座は島崎量弁護士(日本労働弁護団事務局長)を講師に「安倍政権の労働法制改悪政策」をテーマに開催された。電通事件や相鉄バス不当労働行為など具体的な事例に即しながら運動の方途を探る充実した報告であった。 「働き方改革」の背景 政権の労働政策は最初はわかりやすかった。三年前、二〇一四年一月のダボス会議(世界経済フォーラム)で安倍は基調講演をして「自らが既得権益の岩盤を打ち破るドリルの刃となる」と宣言、これは労働分野においては労働法なんかぶっ壊すということである。そうして有期雇用の無期転換ルールに特例を入れて元々うすかった実効性を一段と緩め、派遣法の改悪をやった。ところが最近はちょっと違うトーンも出てきているのではないか。「同一労働同一賃金」とか長時間労働是正などを言い出してきている。むろん初期の政策が撤回されたというのではない。派遣のいっそうの自由化、労基法改悪、解雇の金銭解決制度の導入をやろうとしていることの危険は変わらない。それに加えて「働き方改革」を目玉として出してきて、そこには労働側がかねてから主張してきたことも含まれているということだ。これをどう考えたらいいのか。 長時間労働是正といっても働く者の命や健康のことは何も言っていない。つまり経済を成長させるにも長時間労働ではダメだということなのだ。少子化の原因になる。結婚できない。子育てができない。子を持つ女性は職場から排除される。これ自体は間違った認識ではない。日本の労働組合の取り組みの弱かったところでもある。アベに言われたくはないよということはあるけれども。過労死のことなんか最初は何も言っていなかったが、電通事件が起きて国会の施政方針演説でも触れた。労働時間を減らすことも「同一労働同一賃金」もわれわれにとって無益ではない。だから、そういうところは押していけばいい。もともと私たちが言ってきたことだとしっかりアピールしながら実効性のあるものにしていけばいいのではないか。しかし、やる動機が違うし、初期の政策が残っている。政府の「働き方改革」には隠された猛毒があるのである。 その猛毒とは何か。 労働時間法制の改悪 いま迫っている大きな危険は労働時間法制の改悪だ。長時間労働是正とは矛盾する。それが裁量労働制の見直し(拡大)と高度プロフェッショナル制の創設。 労働者に裁量がある一定の業務について、実際の労働時間にかかわりなく一定時間を働いたものとみなすのが裁量労働制だ。現状でも平均みなし労働時間を八時間以下に設定している事業所が五割以上だが平均実労働時間が八時間~一二時間である事業所は七一・九%。最長労働時間が十二時間を超える事業所が四五・二%も存在する。一定の年収以上にだけ適用するという年収要件もない。その対象を拡大しようとしている。 高度プロフェッショナル制度の創設、これは対象が一〇七五万円以上の年収となっている。しかし年収が高いからといって労働時間を裁量はできない。本人同意といっても成果を挙げれば仕事がまわってくる。拒否はできない。拒否すれば査定で賃金が下げられる。 高度プロフェッショナル制では労基法の労働時間規制のすべてがとっぱらわれる。時間外労働や深夜労働の割増は残業させないためにある。労働時間を短くするための使用者に対する動機づけだ。適用除外されれば長時間労働になる。仕事量が多いから残業が多いと統計でも出ているのだ。健康確保措置も不充分だ。 ①仕事の終わりから次の仕事開始まで一定の時間を設ける(インターバル)、 ②一か月あるいは三か月間の働く時間に上限を設ける、 ③月休四日、年休一〇四日 の三つのうちどれか一つとればいい。すると例えば①のインターバルさえ入れれば他のあらゆる規制は取っ払っていいということ。十一時間のインターバルをとれば残り十三時間は休憩なしで働かせていいし、休日なしで三六〇日働かせていいことになる。現実的ではない仮定と思われるかもしれないが、業務命令で可能なのだ。常識的にやるというけれど規制がないことが問題なのである。 解雇し放題? 解雇の金銭解決は具体的な姿がまだ見えていない。海外にも金銭解決はあるがいろんなパターンがある。どれをとるか。労働者の申し立てに限られるなら現在でもそうなっている。いざとなれば戻れるのだけれど労働者が認めたときだけ金銭解決ならいい。しかしおそらくそうではないだろう。戻りたくても戻れない人が出てくる。活動家が理不尽な理由で解雇される。裁判闘争をやれば勝てる。しかし、解雇と同時に脱退工作がやられる。第二組合が作られる。不当労働行為で解雇された場合は(金銭解決は)適用されないという法律をたぶんつくるだろうけど不当労働行為だと証明する裁判をたとえば一年やっていたらその間に組織はズタズタになっているだろう。企業は最後は裁判で負けたとしても団結破壊という実をあげられる。負ける覚悟で組合の力を殺ぐために悪用するのではないか。 報告のほんの一部しか紹介できなかったことが残念だが、安倍労働政策についてはHOWSでは三月十五日にも横浜市従の吉良寛さんを講師に招く。さらに議論を深めていきたい。 http://www.hows.jpn.org/koza/2016kokiseries.html#2
by suiryutei
| 2017-03-05 08:54
| ニュース・評論
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