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同人誌『トルソー』の第二号が刊行された。創刊号が去年10月刊だから、待ち望まれていた一年間である。 創刊号については雑誌『季刊社会評論』2017年冬号(No.187)の<BOOK WATCH>という欄に短い紹介みたいな文章を書いた。 http://suyiryutei.exblog.jp/26534584/ 同人の中心にいる立野正裕さん(ことし明治大学文学部教授を定年退職)にそれで目をつけられたのか「短いのでいいからお前も何か書いてみろ」と言われて第二号に寄稿した文章を写真の下に貼り付けます。 執筆したのは夏で、そのころ酔流亭のまわりでは「ルンペン・プロレタリアート」について小さな議論が起きていたのである。 ![]() ルンペンについて このごろ不快に堪えないのはルンペンと非正規雇用労働者を同一視するかのごとき言説だ。ルンペンプロレタリアートと繋げるのが間違いの元だろう。しかしマルクスはすぐ「旧社会の最下層」と述べて労働者階級とは区別しているのに、そう呼称された以上やはりプロレタリアートの一部には違いないと勘違いされたのだ。すると正規に雇用されている部分はまさかルンペンとは言わないだろうから、以外の、つまり有期雇用・派遣など一昔前までは例外的と見做されてきた雇用関係にある人たちをそれにあてはめようとするのである。 しかし、これはまったくの誤りだ。ルンペンとはもはや勤労する意欲を失ってしまった人びとのことである。中野重治は「ルンペンとはあらゆる階級からの脱落者のことだ」と述べている(『ルンペンのこと』一九三一年)。「金がないとか職がないとかいうことだけで失業者とルンペンをいっしょにするものは、労働者を侮辱するものだ」とも(同)。正しいと私は思う。いっぽう一九九五年に当時の日経連が発した『新時代の日本的経営』以降、日本の経営者は正規雇用を絞り込んできた。非正規雇用は労働力を流動的かつ安上がりにしたい経営側の都合で拡げられてきたのであり、働く側が勤労の意欲を失ってそうなったのではない。 フーテンの寅さんがルンペンにたとえられもする。これは正しいか。フーテンとは仕事も学業もせずふらふらしている人のことである。なるほど寅さんが奇妙な口上で街かどで売る品物の仕入れ先はいかがわしかろう。しかし彼は勤労を厭いはしない。呑む酒代は自分の稼ぎだ。彼の自嘲しつつの自称(フーテン)を真に受けるとしたら「風天」と号して俳句の達人だった故・渥美清はあの世で苦笑する。 もう三〇年以上前だが郵便局の同僚に病欠しては映画館に通っていた男がいた。いくら古きゆるやかな時代といっても病気休暇なんか無限に使えはしないから、結局退職した。そのあと一人で出版社を起こし、米国の女性詩人の詩集を一冊だけ出して倒産、今は消息不明だ。文化人のようなものに憧れ、勤労をとことん嫌がっていた。ルンペンという言葉に私が想起するのは彼のごとき人である。
by suiryutei
| 2017-11-18 09:52
| 文学・書評
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Comments(2)
![]()
勤労とは何か? 働くとは何か? 変に?考えると判らなく成ってくる。 ある分野では報酬を得る人が与える人から勉強させて頂いているし、、 いや、殆どの分野で、、
大昔「ルンペンプロレアート以下が学生だ」と云ってた奴も居たなあ、、 まあ、アルコールを勤労の後に美味しく飲めて充分に休めて佳き未来が夢見れば良しとして、、 今日一日を健康に、 風邪に気を付けて下さい。
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