新人事制度 大阪での報告①~③
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暮れに出た雑誌『労働者文学』のコラム欄に寄稿した文章が『伝送便』誌2月号にも転載されたので、写真の下に改めて貼り付けます(去年の大晦日に更新した記事と同じものですが)。 http://suyiryutei.exblog.jp/27917436/ なお文中「雇用関連一括法案」とある「働き方改革関連法案」は、今月20日ごろにも閣議決定され国会に出されるとのこと。反対の声を大きくしていきたい。 こんど国会に出されるだろう雇用関連一括法案に盛り込まれる時間外労働の上限一〇〇時間未満というのは、厚労省の過労死認定基準と同じ数字をそのまま持ち込んだものである。労働者が脳や心臓の急な疾患で亡くなった場合(自殺も)、死ぬ前一か月間の時間外労働が一〇〇時間を超えていたなら死亡は業務と関連がある可能性が高いとするものだ。死なせてはならないのみならず健康で文化的な生活を送れる範囲内でなければならない労働時間規制を死んでしまった場合の基準に合わせるというのが、まずおかしいだろう。死ぬまで働けということかと批判される所以だ。 では、死亡した場合の基準としてのこの一〇〇時間の根拠は何か。一日六時間以上の睡眠が摂れているなら医学的には脳・心臓のリスクはないが五時間未満だと疾患の増加が証明されている。個人差はあるにしても六時間眠れるか五時間に満たないかが生死の分かれ目になる。ところが月一〇〇時間も残業をやる人は日割りして六時間はおろか五時間の睡眠を摂るのも困難である。そういう判断だ。 私は一昨年に六〇歳定年を迎えるまで都内の新東京郵便局で深夜勤を含む労働に従事していた。深夜勤は実労働一〇時間の夜間勤務で、昼間の勤務なら「昼休み」にあたる休憩時間一時間が間に入るが、仮眠時間は無い。この勤務が連続する週と昼間の勤務の週とが交互して、深夜勤の週は深・深・明け・深・深・明け・週休で一週間が終わった。深・深というのは朝、勤務を終え、夜また出勤する。昼間熟睡できるのは大体三時間だった。足りない分は明けや週休に寝だめしようとするが、これがうまくいかない。明けで昼間三時間ならいいけれど四時間も五時間も寝てしまうと今度は夜寝つけなくなってしまう。そんなこんなで均してみると一日五~六時間の睡眠ではなかったか。時間外労働なんかやらなくても前記認定基準に照らして結構ギリギリの線上である。いま振り返ってゾッとする。 今年一月十三日の朝日新聞朝刊によれば、航空機の整備士だった猪又隆厚さんは二〇〇八年六月、羽田空港へ通勤中、くも膜下出血を発症して翌月亡くなった。五三歳だった。彼を苦しめたのは夜八時半から翌朝八時まで続く夜間勤務である。しかし、太田労働基準監督署は労災を認めなかった。シフト制の整備士は原則として残業がなく、猪又さんの時間外労働も月平均で一〇時間未満だったからだ。 夜間変則勤務の従事者に「原則として」残業をつけないのは、時間外労働をしなくても勤務それ自体が身体にかかる負荷が大きいからである。猪又さんの当時の勤務シフトを仔細に見ると、私の現役時代のそれと似ている。すると睡眠時間も似たようなものだったのではないか。睡眠時間を根拠とする基準が、そもそも睡眠を充分とれない勤務での労災認定を阻む壁になるのでは本末転倒ではないか。
by suiryutei
| 2018-02-07 08:43
| ニュース・評論
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