新人事制度 大阪での報告①~③
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地元の図書館から借りてきた本の中に森岡孝二著『雇用身分社会』(岩波新書)があることは一昨日のブログに触れた。 https://www.iwanami.co.jp/book/b226355.html 題名からも察せられるとおり、こんにちの働かされ方の歪みを鋭く告発する書だが、初めのほうでは戦前日本の労働社会も概観している(第一章「戦前の雇用身分制」)。 中で、諏訪湖畔の[片倉館]も登場する。「戦前の日本資本主義と長時間労働」(45~49ページ)という小見出しのところだ。 ・・・・私は先年、諏訪地方を訪れたことがある。同地には「千人風呂」の名で知られる温泉施設がある。製紙産業で「王国」を築いた片倉財閥の二代目片倉兼太郎が手がけて、1928(昭和3)年竣工した。浴槽の広さは4メートル×7.5メートルだからそれほど大きいとはいえない。驚くのは1.1メートルという深さである。タクシーの運転手から聞いた話では、浴槽を立ったままでは入れないほど深くしたのは、大勢の製糸女工たちを短時間で入浴させるためらしい。女工が座って眠らないようにするためという説も聞いた。この「千人風呂」がある温泉施設が[片倉館]である。建物は重要文化財になっていて現在も営業している。 http://www.katakurakan.or.jp/index.php 三年前のちょうど今ごろ、郵便局で定年を目前にした酔流亭は信州から飛騨に抜ける一人旅をした。そのとき[片倉館]にも寄ってたっぷりと湯に浸かった。これは『卒業旅行』という小文にして『伝送便』誌2015年4月号に寄稿している。 https://suyiryutei.exblog.jp/24314057/ その三年前の文章では、こんなふうに書いた。 ・・・いささか厳粛な気分になって夕食後は近くの片倉館に行く。共同浴場なのだが、元々は片倉製糸の厚生施設。一九二八年に建てられた洋風建築が残っている。その時代のしかも諏訪地方の製糸工場といえば思い出されるのは『あゝ野麦峠』(山本茂美)だ。糸ひき女工たちの一日一〇数時間に及ぶ厳しい労働である。仕事が休みの日はここで湯に浸かり身体を労わったのであろうか。日本資本主義発達史の残り香のようなものが立ちのぼってくる。このとき酔流亭は、戦前の糸ひき工女たちの労働を具体的にはイメージできず、「日本資本主義発達史の残り香のようなものが立ちのぼってくる」などと妙に文学的(?)な曖昧な表現で流してしまった。森岡さんの本は『女工哀史』や『職工事情』などの文献を引きながら彼女たちの働かされ方を紹介している。諏訪の製糸工場では徹夜業こそなかったが、午前午後の休憩時間を与えないだけでなく、食事時間もなるべく短縮しようとする。規則に「食事時間は5分を過ぐべからず」という項目がある工場も。食堂に集めては時間がかかるからと握り飯を女工たちが働く繰釜の側に配り、女工たちはこれを頬張りながら作業を続けるところもあった。 なるほどこんなにこき使われていたら、仕事のあと湯に浸かったら湯ぶねで寝てしまって不思議ではない。そうさせないための底の深い浴槽であったか。 1927年といえば[片倉館]が竣工する前年。その年の半年間に諏訪湖周辺で自殺した女工の数は47人に上るという。過労自殺は今日だけのことではなかった。 今日といえば、休憩がとれない、食事時間も、というのは、宅配の配達員がそうである。クロネコヤマトもゆうパックも一日休みなし、昼食は運転席でおにぎりとかバナナを頬張ってすますというのが常態化している。こちらは戦前の哀史が今日に再現しているのだ。 そういう戦前状況を無くすために作られたのが戦後の労働基準法であり、労働時間規制であった。いま喧しい「働き方改革」は、この規制を緩める・取っ払うというもの。だから改革ではなく改悪だというのだ。
by suiryutei
| 2018-03-16 09:51
| 文学・書評
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Comments(2)
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by
通りすがりの一労働者
at 2018-03-16 15:43
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今年の郵政春闘
・3年連続ベアなし ・年末手当廃止(年始のみ存続、期間雇用にも支給) ・寒冷地・隔遠地手当縮小 ・新一般職の住居手当廃止 ・年間一時金4.3ヶ月(期間雇用は最高で2万円上積み) ・新卒社員の初年度年休発給日数20日から15日に削減 ・期間雇用に夏期冬期休暇支給(各1日) 同一労働同一賃金裁判で会社が負けたので、 期間雇用の待遇を一般職並に合わせるのではなく、 一般職の待遇を期間雇用に合わせて住居手当廃止という結果でした。 なお、将来的に扶養手当も見直ししたいとか。 (おそらく縮小・廃止の方向で) 賃貸物件から都内の局に通勤している一般職は、 ただでさえ薄給なのに、大減収確定です。 組合曰く、 「同一労働同一賃金の実現に向けて、手当の廃止や見直しを行うことになるものの、トータルでは処遇の底上げにつながる改善を実現しました。」 だそうです。やっぱりJP労組は御用組合でした。
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suiryutei at 2018-03-18 08:40
<通りすがりの一労働者>さん、コメントありがとうございます。昨日は福島に日帰りで行っていたため一日留守にしたので公開およびレスが遅くなってしまいました。申し訳ない。
「同一・・・」の会社流の解釈で攻め込んできたわけですね。JP労組のその言い分はひどい。 情報提供ありがとうございます。また訪ねてきてください。
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