新人事制度 大阪での報告①~③
最新の記事
タグ
労働(124)
辺野古(46) 郵便局(43) コロナウイルス(31) 文学(31) 韓国(19) 朝鮮半島(12) 映画(11) NHK朝ドラ(10) ひよっこ(9) 大西巨人(9) なつぞら(8) 神田まつや(8) 労働者文学(8) 神聖喜劇(7) ケン・ローチ(6) ブレイディみかこ(6) 関西生コン労組(6) 狭山事件(6) 蕪水亭(6) 最新のコメント
記事ランキング
カテゴリ
以前の記事
2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 more... ブログジャンル
画像一覧
検索
|
今日から6月だ。朝から青空が拡がり、気持ちの良いスタートとなった。梅雨入りは関東ではもうすこし先になるみたい。 しかし、世の中の動きは、今朝の青空のごとく、とはいかないようだ。たとえば「働き方改悪」関連法案は昨日、衆院を通過してしまった。参院で採択をゆるさず、廃案に追い込みたい。 昨日完成した『伝送便』誌6月号に寄せた文章を貼り付けます。 ![]() 何が言いたいか。JP労組大会議案は五月八日付で出されている。執筆されたのはおそらく四月中であろう。「働き方」関連法案が閣議決定され国会に上程されたのは四月六日である。この時点で、成立するかしないか同法案の帰趨は国会会期ギリギリにもつれこむだろうことは予想されたはずなのである。現に一号議案の[Ⅱ とりまく環境と政治的動向等]の<③政府の戦略と国政の動向>には「首相肝煎りの“働き方改革”に関する国会審議においては、野党の『裁量労働制は長時間労働を助長する』との指摘を政府が否定してきた根拠が崩れた」云々の記述がある(JP労組新聞五月八日付号外二ページ)。 議案執筆者は同法案をめぐる国会内外の動きを横目に、データ捏造が発覚して法案から裁量労働制拡大が削除されたことも踏まえて筆を進めているのである。 しかるに、「働き方」関連法案をJP労組がどう評価するかについて明確なことは議案には一切書かれていない。いや、むしろ法案が成立することを前提としたような記述が目につく。「・・ここ二年の春闘で“働き方改革”に対応していく考えであり、関連する法整備までの時限を見通す中で・・・」([Ⅰ 提案にあたって])。 高プロと郵政 裁量労働制拡大は削除されても、それ以上に危険な「高度プロフェッショナル制」新設は法案に残ったままだ。JP労組もその構成団体の一つである連合においてすら、昨夏の「迷走」はあったにせよ、しかしそれを経て改めて、「高度プロフェッショナル制」には反対することを組織として確認している。 高度プロフェッショナル制が新設され、いっぽう郵政においては「労働力構成のあるべき姿」に沿って正規雇用のうち地域基幹職が絞り込まれていくならば、絞り込まれることによって「少数精鋭化」していく地域基幹職に「高プロ」適用、すなわち労働時間や深夜労働への規制いっさいが解除される危険は現実のものとなる。この時期に開催される全国大会が、せめて連合の基本的立場程度にでも声を上げることがなぜできないのであろうか。 国会では共産・社民はもとより立憲・国民・自由党も高プロ切り離しにとどまらず「働き方」関連法案そのものの撤回を要求するようになってきた。裁量労働制におけるデータ捏造や野村不動産で起きた過労自殺をめぐっての安倍総理や加藤厚相の傲岸で不誠実な答弁にとどまらず、「もり・かけ」疑惑・自衛隊日報隠蔽など安倍政治の危険で強引な手法が呼び水となったし、裁量労働制データ捏造の「第一発見者」上西充子さんら労働研究者、弁護士、そして過労死遺族たちの奮闘が野党の背中を押した。いっぽう与党からの切り崩しもまた強まってきており、わずかな法案修正(高プロをいったん適用されても自らの意思で撤回できる等。この「自らの意思」というのが曲者だが)と引き換えに維新・希望は抱き込まれてしまった。 まさに今が日本の労働者の未来を左右する重大局面だ。それなのに肝心の労働組合主流の動きが鈍い。五月八日といえばJP労組の大会議案が公表された日だが、その同じ日に出された連合事務局長『談話』は微妙である。「働く者の立場に立った法案の実現を求める」という言い方は、そうはなっていない現法案を批判しているようにも、ともあれ成立を期待しているようにも読める。それでも「高度プロフェッショナル制は実施すべきではない」とは書き込まれた。JP労組はダンマリを決め込むつもりだろうか。 会社の側に立って ではJP労組は「働き方」に無関心なのかといえば、そうではない。「同一労働同一賃金」という言葉が議案には頻出するのである。しかし、JP労組はこの言葉をどう理解しているのであろうか。議案を読む限りでは、JP労組として格差是正に主体的に向き合うのではなく、郵政ユニオンが取り組む労働契約法二〇条裁判の影響や政府の「同一労働同一賃金」ガイドライン案に怯え、アタフタしているだけなのだ。 「働き方関連法案により『不合理な待遇差の是正を求める労働者が裁判で争える根拠となる法律』が整備されるまでの間に、集団的労使関係に基づく労使自治により、客観的に合理性のある姿を創造する必要がある」 「・・すでに起きている労契法二〇条に係る訴訟の状況も見定める中での、将来の訴訟リスクへの備え」 「・・今回のJP労組の交渉結果が訴訟の対象になるリスクは排除しておきたい・・」 (いずれも議案四ページ) 「集団的労使関係に基づく労使自治」とは字面は立派だが、JP労組がこの語を用いる場合は、その本来の意味(労使の対抗関係)とは異なって、会社にすり寄って労使一体化すること以外ではない。「労使自治」から非正規雇用労働者は排除されている。「訴訟の対象になるリスクは排除しておきたい」ことの結果が、二〇条を活用した非正規雇用労働者の待遇改善の足がかりを奪うために一般職から住居手当を失くすことを決めた今春闘の妥結であった。 一番の問題は、JP労組は労契法二〇条も武器として非正規労働者とともに闘うのではなく、会社の同伴者として(それが彼らの言う「労使自治」)、二〇条の力を殺ぐことにばかり腐心していることである。働く者同士の連帯より自企業が大事という、企業別労組の行き着くところまで行った醜態がここに露呈している。 「同一労働同一賃金」とは 「同一労働同一賃金」という概念は、労働組合運動創生期にあって労働力を資本に安く買い叩かれないために賃金(=労働力商品の値段)を揃える志向として生まれ、時代が進むにつれ性差や国籍の違いによる、また典型労働者(フルタイムの無期雇用労働者)と非典型労働者(有期雇用、短時間勤務)との違いによる賃金差をゆるさないスローガンへと発展していった。それは基本賃金における格差をこそあってはならないものとするのである。政府ガイドライン案作成をリードした水町勇一郎・東大法学部教授も、「同一労働同一賃金」の本丸は基本賃金の差を無くすことと明言している(『中央公論』今年三月号における駒崎弘樹氏との対談)。 だが、基本賃金における格差を無くすには、まず賃金の決め方を揃えなければならない。日本の企業は正規雇用には人を基準に賃金を払う。つまり定期昇給に査定を忍び込ませることによって企業への服従を担保してきた。いっぽう非正規には、この仕事は一時間いくら、という形で払う(時給制)。そのさい、その仕事の価値は測定されることなく、非正規なら安くていいとばかり最低賃金をぎりぎりクリアできる金額しか払われない。郵政の場合、議案書にも書かれているように(四ページ)、地域の最賃を一〇円単位は切り上げ、それに二〇円プラスしたところからスタートする。たとえば地域最賃が九五六円だとすると九六〇円に切り上げて二〇円足した九八〇円である。スキル評価が上がればそこから僅かに上積みされていくけれど、いずれ頭打ちになる。毎年定期昇給する正規雇用と差は開く一方だ。 政府ガイドラインの問題 そこで、正規労働者が闘い取ってきた賃金水準(それが今日なんとか生活できる水準である)を目安としつつ(ここが肝心!)、賃金の決め方そのものは正規も非正規も人基準ではなく職務基準(この仕事なら時間あたりいくら、という形)に改めていく方向が志向されるべきだろう。そうすることによって初めて「同一の労働」に「同一の賃金」へと進むことができる。 ところが政府も財界も、正規労働者からはこれまで通り企業への服従を汲み取り続けたいし、非正規労働者は安く使い捨てたい。だから現在の「賃金の二通りの払い方」に手をつけたくない。政府が唱える「同一労働同一賃金」が掛け声でしかない所以だ。前出の水町教授はおそらく、政府・財界がそれを容認しないだろうという「現実的判断」から自説を棚上げているのである。出来上がったガイドライン案は、基本賃金の格差は容認して諸手当における「不合理な格差」のみ是正するというきわめて不充分なものにとどまる。 JP労組は、その不充分な政府ガイドラインに抵触しない程度に手当等を手直しすることをもって「同一労働同一賃金の実現」と称するのである。非正規雇用の待遇改善に追い込まれないように正規から前もって手当を奪ってしまう「逆方向」もアリというわけだ。 議案から消えた3.11 ここ数年の大会議案と今年のそれとを読み比べて気づくのは、東日本大震災についての記述が今年は[提案にあたって]からまったく姿を消したことである。復興は進んでいると強弁して高線量地域への帰還を強制する安倍棄民政策に加担するつもりか。また非正規雇用における組合員を「パートナー組合員」といつまで呼び続けるつもりだろう。正規だろうと非正規だろうと働く者として同じ仲間ではないか。それなのに無用なカタカナをことさらに被せる。JP労組の言う「同一〇〇」の底の浅さがこんなところにも露呈していないか。 この議案書を吹き飛ばす大会論議を巻き起こすことを全国の仲間に訴える。 ![]()
by suiryutei
| 2018-06-01 08:56
| ニュース・評論
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||