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『座りこめここへ ~名護市長選直前の辺野古を訪ねて』、今回が最終回です。ここまでご愛読ありがとうございました。 ![]() 翌二月五日は第一月曜日である。毎月、第一月曜は市ヶ谷の防衛省前で辺野古基地反対の抗議行動が行われる。夜六時半から一時間ほどだ。その夜も約一〇〇人が集まった。誰もが無念の思い。それでも声を励まして「辺野古に基地をつくるな!」とシュプレヒコールを上げる。沖縄と電話がつながった。マイクから聴こえる声の主は安次富浩さんである。ヘリ基地反対協議会共同代表。名護市長選挙と一緒に行われた同市の市議補選に立候補していた。市長選で戸具知候補が基地問題を徹底的に避けるので、基地問題こそが争点であることを明確にするための立候補であったと聞く。一万九七八二票対一万五九二七票で負けた。 私の横に、団塊世代と思われる男性が立っていた。背負ったナップザックのポケットにペットボトルを挿し、いかにも活動馴れした雰囲気。じじつ辺野古には何度も出かけていることが隣りの男性との会話から知られた。運動の内部事情にも詳しいらしい。 「いっそ、秋の県知事選じゃ翁長に代えて稲嶺を出しゃいいんだ」 そんなことを延々としゃべくる。それが耳についてマイクを通して流れる安次富さんの話が聴きとれない。 「ちょっと! 静かにしてよ。話が聴こえないじゃないか」 堪らず私はそう声をかけた。彼の基地反対の思いは純粋であるに違いない。また、私にしてもそうだが、誰もが辺野古へは自腹を切って出かけて行く。運動仲間が、自分たちも苦しい中から一〇〇〇円札を一枚二枚とカンパしてくれる。「辺野古で座り込んでいるのは何万円も日当を貰った運動のプロだ」というのは事実無根の中傷だ。ただ、いくらか擦れっからしたようなタイプがいないことはない。私が彼に覚えたような不快を県外からの活動家に地元の人が感じることもあるのではないか。ゲート前では福岡から応援に来た共産党の地方議員が「地区委員会から言われて来ました。・・」と、目の前にいるのは自党員ばかりかのように思いこんで自己紹介する場面も見た。ああいう感覚で市長選の応援にも入ったとしたらかえって足を引っぱる。 私が辺野古を訪れてから三か月後の四月下旬、ゲート前では六日間の集中座り込みが行われた。初日の二三日は七〇〇人、翌日八〇〇人、最終日の二八日(この日は一九五二年にサンフランシスコ講和条約が発効した、沖縄にとって「屈辱の日」だ)には一五〇〇人もが結集したという。機動隊との激しいせめぎ合いの中で、本稿にも登場した高里鈴代さんは左鎖骨と肋骨四本を折る重傷を負った。 現場は厳しさを増している。しかし、基地はまだ造られてはいない。闘いはこれからだ。
by suiryutei
| 2018-07-27 09:03
| 文学・書評
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