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昨日の夕方、近くにある図書館分室に高村薫『新リア王』の上下を返しに行った。朝は蝉の鳴き音がぱったり止んでしまったと昨日のブログに書いたが、夕方のその時間、ひと頃よりずっと弱々しくなっていたけれど、蝉が鳴くのが聴こえた。夏のあいだに 『晴子情歌』(2002年) 『新リア王』(05年) 『太陽を曳く馬』(09年) の三部作(つまり、いずれも高村薫の作品)を読むことを自らの課題とした。夏が終わる前にそれをどうにか果たせたことになる。 オウム信者たちに死刑が執行された後、それについて高村薫さんが朝日新聞に寄稿した文章は心に残るものであったので、そのことを7月10日のブログに書きとめておいた。すると関西にお住まいの吉田智弥さんがメールをくださって、上記三部作のことを教えてくださったのである。酔流亭はそれまで、高村薫の作品を読んだことがなかった。 https://suyiryutei.exblog.jp/28437788/ 『晴子情歌』→『新リア王』→『太陽を曳く馬』という順に発表されているので、その順序にしたがって読み進もうとしたが、『晴子情歌』をまず読みおえて図書館に返しに行ったとき『新リア王』が見当たらない。『太陽を曳く馬』はあった。そこで手順が少し狂って『新リア王』を読むのが一番最後になってしまった(『太陽を曳く馬』を返しに行ったときは『新リア王』が置いてあった)。 作品について内容を紹介しているとべらぼうに長くなってしまうので省略する。興味のある方はインターネットであたってください。書評や作品についての著者インタビュー記事等たくさん出てくる。 三作それぞれに読みごたえがある。ことに『太陽を曳く馬』はオウムの問題に取り組んでいる。それだけに教義のことなんかが出てきて難解でもある。 酔流亭がいちばん惹かれたのは一番先に出た『晴子情歌』だ。この小説は、晴子という女性が息子の福澤彰之に宛てた手紙によってページの多くが占められている。この手紙の文章がいいのだ。理知的でありながら、しかもなんとも肉感的なのである。たとえば彼女が娘だったころ心を惹かれたことがある谷川巌という男について触れるときの文章の生気! すなわち酔流亭は読み進むうち晴子さんという女性にほとんど惚れてしまった。 ![]()
by suiryutei
| 2018-08-23 09:38
| 文学・書評
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